短編小説っぽい何か(331~340)/それに関する説明つき
公開 2024/05/26 12:11
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▽短編小説331(2024/3/16)/最期に見せた夢と巻雲(けんうん)の水たまり
 明るい葬式に彩る花束
 小さな空間に静かな夜の風
 閉じた瞳からこぼれ落ちる思い出が
 後悔と悲しみを誘い続ける

 壊れた心が見せた夢のはじまり
 見慣れた街の知らない路地の入り口
 暗闇のあとに開けた中華街
 歩道を進む人々はまちまちで
 迷う子の私は外に出られない

 食らいつくされた体も
 穢れに染められた無も
 正夢に近い間違いも
 集めた記憶の繋ぎ合わせのはずなのに
 現実にかすった傷に置き換わる

 長くは生きられないと
 人である限り課せられた罪
 記憶に残された過去の出来事が
 何年も映像として脳は覚え続ける

 涙隠して心に落ちた雫が冷たく
 今日も天気は雨に変わる

※この話は祖母が亡くなってから見た夢を繋ぎ合わせたもの(一週間の記憶)とそれ以外は感じ取ったもの。

▽短編小説332(2024/3/23)/四季の勾玉 春の記憶と偽りの絆
 春の記憶 迷いの声
 交わりは四季の途切れ 二人目の犠牲者
 静かな心は雲に隠れて真実を映し出しても
 少女の死を快く思わなかった

 流れゆく夜の日に両親を殺された少年は
 犯人探しを依頼しようと少女の元に辿り着く
 しかし断られて彼女は口にする
 「必要なのは依頼じゃなくて復讐するための力」

 師匠と弟子の関係 彼は弓の使い手となる
 多くの暗殺依頼をこなしながら情報を集めた
 その真実は裏切りに隠されたものだった
「依頼のために少女の手によって葬られた両親の死」

少女は人ではなく妖怪の血を濃く持つ人妖
『生まれを否定し 妨害の行く末に命尽きる』
いつか自分のことを殺してくれる人間を探していた
そして復讐の終わりに彼女の望みは果たされる

記憶は暗闇の奥に仕舞われて
春の勾玉は消え去った
その目が開いた時
少年は表情を隠していた

※『四季の勾玉と修正される前の世界で』に登場する春の勾玉の記憶。かなり前のもので思い出しながら書いたため、設定が変わっている可能性が高い。

▽短編小説333(2024/3/30)/四季の勾玉 夏の記憶と厄災の命
 夏の記憶 集いの声
 交わりは四季の外れ 三人目の犠牲者
 温かい心が雷に打たれて壊れても
 少女の想いが届くことはなかった

 生まれつき癒しの力を持つ少女
 幼い少年を救って数年後
 彼は彼女の守護者となり
 少女は皆から崇められる巫女となる

 集まりし外からの願いを引き受け
 その力の噂は広がり始めた
 そしてその力を巡って争いが起きる
 「一緒にいたいだけなのに」

 笑顔の絶えなかったあの頃に戻れたら
 彼は刀を振って彼女のために戦い続けた
 『その治癒は争いを生み 本当の心は届かない』
 揺らぐ視界が彼を捉えて彼女は手を伸ばしていた

 記憶は鮮血の中に流れ落ち
 夏の勾玉は消え去った
 その目が開いた時
 少年は無関心になっていた

※『四季の勾玉と修正される前の世界で』に登場する夏の勾玉の記憶。かなり前のもので思い出しながら書いたため、設定が変わっている可能性が高い。

▽短編小説334(2024/4/6)/穢れた運命に儚く危険な輝きは目覚める
 星の輝きに導かれ 歩き出すこの夜
 流れゆく白い光に隠れる灰の雲なく
 春を告げる風は青と水の空の境界線に
 蕾開いて満開の桜に酔う

 偽りの罪に繋がれし半分の意識
 隠されし記録の奥に輝く灯火
 夕焼けの橙が傾く前に散る桃の花
 暗闇に眠る悪戯は誰も歓迎しない

 紅茶を飲み干す霊の手に
 物語を紡ぐ光の手が重なり
 導かれる答えは聖なる緑の光を失い
 警告を示す黄色を点滅させていた

 願い叶えられし崩壊の世界
 本当の祈りは歪められた宴会場に
 紫の霊は空間の狭間に謎の色を見る
 それはかつてとある者が見た未来の終わり

 煌めく星の輝きは遮られて檻の中に
 止まった運命は悪戯の思いのまま
 しかし永眠の記録者が降り立ち
 二つの魂は改修されて本は閉じる

※この話は『霊の話 外伝③ 描いた未来と本当の願い』で「―――」が干渉できず、少女が暴走した世界で、時間の記録者であるストルンも世界から弾かれてしまう。その後で現れた永眠の記録者が原因となった少女と操られた橙の霊の魂を改修という名の死によって一度消し去り、登場人物として復活させている。

▽短編小説335(2024/4/13)(修正版:2024/4/15)/忘れられた魂は記録に漂う影となる
 消去された世界に忘れられた魂
 その存在は共鳴を知らず漂い続ける
 霊とも神とも天使とも言わず
 ただその世界に浮かぶ幻

 雨の霊に救われた橙の霊の姿
 それを見届けるは記録する者
 それを見捨てるは消滅する者
 彼はどちらにも当てはまらない魂

 翆色(すいしょく)が浮かぶ魂の後に
 天も地も味方はしない
 色を無くした者達は見向きもしない
 ひとりぼっちは回収されない

 透明の記録者はその魂を見る
 本を片手にその魂を包み込む
 不可能な未来は本に刻まれ
 隔離された魂は世界を見届ける

※この話は幻の十五人目の霊になるはずだった翆色の魂が『霊の話(第三部)』の舞台である消去された世界に漂っているところから始まる。色つき霊は橙の霊を最後の霊として定められており、それ以降の霊は数えられないことになっている。しかし何の縁か、舞い降りていた透明の記録者が持つ「世界を消滅させる力」によって存在を得る。ただしこの設定はこの話のみで機能する。
 修正前は縹色になっていたが青すぎるという感じがしたので、修正後は翆色となっている。
 縹色(はなだいろ)とは、古くから知られた藍染めの色名で、藍色よりも薄く浅葱色よりも濃い色のこと。
 翆色(すいしょく)とは、翡翠(カワセミ)の羽色のような鮮やかな緑色のことで、別名は『翠緑(すいりょく)』。

▽短編小説336(2024/4/20)/閉ざされた未来に煌めく新しき霊の色
 暗闇の水面に浮かぶ少女
 物語を紡ぎし創造主にして
 すべての世界を閉じた者

 目覚めし暗闇に浮かぶ翆色の魂
 流れ着いた世界はすでに閉じられた
 色を取り戻すのは橙の霊だけで十分だから

 透明の記録者が消滅させるには惜しいと
 物語に残された少女に届けた彷徨いの魂
 見つめられた瞳は光を奪い闇に変える
『塞ぐのは記憶のせい それとも皆のせい』

 不明な感情とともに姿は人型へ
 誕生した光は目覚めて幻の霊となる
 少女の瞳は閉じられて暗闇は濃くなる
「その声があなたを作り出す」
最後に少女はそう言い残して
暗闇が剥がれ落ちるように光が覆い尽くした

目覚めは道路の真ん中で車はなく
静かな空間に佇む穢れた風の霊
痛む頭に無い記憶を覚えて
翆の霊は耳を塞いで目を閉じていた

※この話は短編小説335とは違う経緯で翆色の魂が翆の霊としての姿を得るまでを描いている。創造主とは『記録者』における「―――」のことであり、その名を呼ぶことが出来るのは現状、世界の観測者と永遠の機械人形と記録者達のみで、その他は発音できないという設定になっている。

▽短編小説337(2024/4/27)/瑕疵(かし)から生まれた霊は舞い降りる奇跡の光
 それは御伽噺のように語る霊の姿をした何か。色を奪われて閉じ込められた者達。喇叭(らっぱ)と笛が奏でる音に重なる鍵盤の和音が響き、それに導かれるように歩き出して手を伸ばした真実の記録。しかし何もかも失われた世界に残された彼らはあと一歩で巻き戻されて、すべてを無くした状態で最初に戻っていた。

 自由を求めた彼らに課された神の我儘。強大な信仰は神にとって脅威でしかなかった。最後の霊である橙の霊を捕まえて消去すれば神の思い通りになる。けれど世界の狭間から拾われた魂を神は知らない。それが姿を得ていることも知らない。

 繋がる音は交わって彼らの前に現れた新しき霊。その背後に見えぬ透明の記録者がいた。伸ばされた手を取って透明な霊は消去されたはずの記憶を取り戻した。咲き続けた花は役目を終えて枯れ、思い出した蝶は彼らの色となって復活した。

 神に抗うための奇跡の霊
 幻と言われたその姿は色つき霊のために
 新たな魂は記録されて
 物語は次の頁を開いていた

※この話は短編小説271、276、303、306が元となる『霊の話(第三部)』における青い霊、紅い霊、水の霊、黄の霊が色を奪われて閉じ込められているという場面と短編小説335及び336で登場した翆の霊(と透明の記録者)が出会うもの。

▽短編小説338(2024/5/4)/雫が鳴らす音に必然の理(ことわり)が動く
 眠る未来に破壊の予感
 二つの世界に終焉を
 もう一つの命が目を覚まし
 溶けゆく氷に起き上がる剣

 想いを置き去りにして
 永遠の機械人形は剣を振り下ろす
 かつての誓いを忘れて
 すべてを消滅させる破壊神となる

 『神の仰せのままに』
 反逆の心は失われて
 侵食された心に涙は映らない
 すべては―――を殺すために

 水晶の影に消去された記録が映る
 封じられた記録者が目覚め
 本はあの世界を思い出す
 約束を叶えに解き放たれる

※この話は二つの世界が終わったことで眠りについたはずの『永遠の機械人形』が神側の心で動き出し、すべての世界を作り出した「―――」を殺そうと行動を始める。その同時刻、「―――」に出会った氷柱の記録者は『光無くし水晶の謎』に登場する「世界の観測者」としての記憶を取り戻す。
(『光無くし水晶の謎』で登場する「世界の観測者」は『二つの世界』における世界の観測者とは別の扱い)

 「封じられた記録者」は氷柱の記録者であり、『光無くし水晶の謎』に登場する「世界の観測者」
 「あの世界」は『光無くし水晶の謎(不明)』の世界

▽短編小説339(2024/5/11)/崩壊の想いは何も感じない言葉となる
 悲しみを受け取るは最初の本
 降り止まない雨が窓を伝い
 無音に落ちる雫が空を覆う
 『誰も知らない物語』

 尊き命が尽きるその日
 流した血が刃に伝い
 染まる赤が静かな部屋に映る
 『無意識の赤い海』

 見上げる星々の光
 遠く見つめた夜の輝きに
 割れた心が張りつく棘とならんことを
 『救われぬ虚ろな瞳』

 平穏と謝罪と苦しみと
 理解されない真実は涙に落ち
 切り裂かれた夢は現実となる
 『痛み無くし未来の果て』

 散らばった本を手にし
 すべてを飲み込んだ体は
 幾度となく無感情の影に嘘をつく
 《囚われた少女を助けるために》

▽短編小説340(2024/5/18)/悲劇の真実に染まる紅い炎が静寂に語る
 燃え盛る炎に魅入られた獣道
 遠くから歩みを進めた者を引き摺り
 答えは血溜まりに消えて
 精霊の影に沈む日の瞳となりて
 灯された命はとうに尽きた過去

 真っ赤に染まった日々を繰り返した先に存在した世界の果て。壊れたと形容しなくてもわかるほど崩壊した未来の果て。炎に巻かれた精霊の悲鳴が救済を求めた悲劇のはじまりだとしたら、その声に杭を打ちつけた愚か者の笑いが呪いを広げる毒となる。
『救いなど最初からなく、精霊達は朽ち果てるだけ』
 燃え尽きた羽根が灰へと変わる時、悲鳴が尽きても広がり続けた毒がある限り、永遠の呪いは未来に繋がる厄災となってずっと続く最悪の結末しか残さない。

 静かに流した涙も蒸発して地面に落ちず
 空気に流れるはずの感覚も失われて
 小さな炎は尽きて跡形もなく消える
 「さよなら……我が箱庭へ」
 手招く闇がすくう世界に精霊は頷く
桜詩凛の読みは「さくらしりん」で、由来は二つ。一つは元から使っていた桜子凛花が長いと思ったため、短くするために「桜」と「凛」を取り、その間に当時から書いていた「詩」をいれたもの。もう一つは『複雑な生き方をする少女』に登場する「さくら、黒蛇、シラ、理夏(りか)、ラナン」の頭文字を取ったものとなってい…
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