短編小説っぽい何か(411~420)/それに関する説明つき
公開 2025/11/30 12:58
最終更新
2025/11/30 13:04
▽短編小説411(2025/9/27)/未熟な偽物の呪い “魔女”は死の道をゆく
吊られた命は天に召されて
次の光へと導かれる
けれど穢れた命が吊られる時
燃え盛る炎に溶け落ちる
かつて皆を守った者は
その強大な力に怯え
同じではない才能に恐怖し
悪しき者へと変えられた
聖なる力は邪なる力へと
心は徐々に虚ろへと
悲しみは憎しみへと
壊れた感情は世界を赤く染めた
失われた十字架の呪い
叶って終わった繰り返しの惨劇
“少女”の死をもって解き放たれた
しかし穢れた命は死の間際 それを掴んで取り込んだ
※この話はかつて世界を守った者だったが、人々にその力を恐れて阻害した挙句、十字架に張りつけて燃やすという酷さ。その死の間際、意識朦朧とする者の前に失われたはずの十字架が現れ、その力を取り込む。しかし本物である〈―――〉の力ではなく、その一部を引き継いだだけの偽物の力となっている。そのため十字架に残された呪いだけが使える。
▽短編小説412(2025/10/4)/遠くから眺める人々の想いの記録
白紙の本に刻まれた記録
明るい未来は少しずつ暗くなり
新たな道は一瞬で過ぎ去った
楽しさを願う旅へと向かって
人の形を失っても風は流れ続けた
暗闇に消えた赤色の隅に
飛び立つ紫煙(しえん)の香り
輝く黄色い星が煌めいていた
朝あける藍色の空 変わる橙色の空
記録は翆色の中で紡がれる
また崩壊を招くようなことが起きても
今を信じて歩いていたい
澄み渡った青い空に
似つかわない紅茶を飲んで
笑い合った奇跡を想って
ずっと続くように願う
※この話は縛りとして九色(青、紅、風、黄、茶、紫、赤、橙、翆)を文章を構成しています。その理由は諸事情により語れない。
▽短編小説413(2025/10/11)/世界を紡ぐ少女が複雑な道に足を踏み入れるまで
遠くも儚い世界を見届けた
未知も奇跡も生み出し続けた命
繋がりも途切れも紡がれた物語
書き記した「―――」の本達
止まった未来を歩み始めた少女は
天界の指輪の力を使って最初の世界に漂う
二つ目の世界は埋もれた教科書から
数学が苦手な少女は戦士として運命に取り込まれる
嫌いなものを消してほしい、と願った少女は
何もかもなくなった世界で自らを嫌悪して消滅した
魔女の弟子の少女は古びた教会に住んでいた
そこに少女の命を狙う名も無き暗殺者が現れる
「―――」の手によって世界は広がっていく
終幕と継続、放置を繰り返して
けれど誰も「―――」の代わりはいなかった
そして終わらない〈さくら〉の物語は生まれた
勾玉と十字架、呪いの力をもって
複雑に絡み合う世界は真実と嘘を繰り返す
夢を見続ける「―――」がいる限り永遠に
静かな時が訪れるまで……
※この話は「―――」が『天界物語』から『複雑な生き方をする少女』を書くまでの間の話。『天界物語』(最初の世界)、『不思議な国の七人の戦士』(二つ目の世界)、『はじまりは絶望へ』(消滅した少女)、『魔女の弟子と暗殺者』、そして『複雑な生き方をする少女』〈さくら〉となる。他にも作品はあるのだが、この話の構成上説明するにはあまりにも難しいため省かれている。
また勾玉は「修正される前の世界」、十字架は「修正された後の世界」の意味も含んでいる。そして「静かな時が訪れるまで」は「死ぬ時まで」を意味する。
▽短編小説414(2025/10/18)/悪意から始まる新たな未来の創造
世界の書庫 「―――」の物語が眠る場所
一度書き記された世界に毒が流れる
鏡の中に映るその姿
真実に塗りつぶされた“写身(うつしみ)”よ
負の感情を持つ影の青年とも
正の感情を持つ光の少女とも違う
鏡から生まれた赤い瞳の写身
殺意と嫉妬……を宿して
少女の体を乗っ取り現れても
影の青年はすぐ違和感に気づいた
ひとりぼっちに差し伸べられた手は
隠した寂しさを包み込んだ
幸福な結末は“本当の願い”か?
読み終えた『創作者』は語る
その殺意は“偽物”か?
揺らぐ心に問いかけた悪意が巡る
これはとある『創作者』の計画に過ぎない
すべてがいなくなった世界を壊す
ただ『空白の記録者』は気づいていた
最初からこうなる、と分身に伝えていた
※この話は『複雑な生き方をする少女 記憶編』を読んだ「創作者(きろくしゃ)」が「世界を作る力」を悪用し、そこに登場する鏡の写身〈理夏(りか)〉の殺意を増幅させて崩壊させようと計画する。しかし「空白の記録者」はすでに気づいており、その話の登場人物の少女に伝えている。
また「すべてがいなくなった」は「空白の記録者」以外世界の書庫には誰も存在しない世界線を指す。この分岐は『世界の観測者』と『永遠の機械人形』が眠りについた後、『記録者』が現れない世界で、幼い少女が「空白の記録者」として覚醒するというもの。
▽短編小説415(2025/10/25)/世界から切り離された記録とともに浮かぶ者
多くの人間が羽化して生まれた
僕も「―――」の中から生まれた形
空っぽの心に植えつけられた知らない記憶
受け入れ拒否を貫通して色は与えられた
振り分けられた世界と役割に呑まれ
操り人形の感情に押し潰され
僕自身の意味を考える暇もなく
なぜ生きているのか分からない
従順な洗脳に浮かび上がる異物の僕の姿を
揺らぐ視界に映る風景の外で見ている者は
“終焉を迎える世界”と認識して剣を振り下ろした
崩壊する世界の中で僕は少女に助けられた
〈何度繰り返しても彼はいつも気づく〉
〈けれど彼は初期状態に戻されて私を知らない〉
〈彼は別世界の世界の観測者?〉
〈でも“この世界”にはいるから不要と判断して……〉
少女は僕に白紙の紙切れをくれた
しかしそれを受け取ると視界が暗転した
暗闇の中に倒れた僕に手を差し伸べた“少女”は
「また……眠っていたの? 呑気ね」と言った
※この話は別世界の世界の観測者が原因不明の事象により、“この世界”の「―――」から生み落とされて、少女=“この世界”の『永遠の機械人形』に助けられる。何度も繰り返す(世界は毎度違って、消滅する力を振るう)中で少女は彼が“この世界”にいるべきではないと気づき、『世界の観測者』を知るために奪っていた白紙の紙切れをダメもとで渡した。
“少女”は世界の観測者の世界にいる永遠の機械人形。持っている力も同じだが、性格の一部が異なっている。
▽短編小説416(2025/11/1)/最初に観測された厄災の恐ろしい真実
長く遠い世界のはじまり
創造と破壊を繰り返して
手に入れた宝物は
こぼれ落ちて儚く消える
未完成な世界に入り込んだ音
天使の招きに漂流の影が映る
止まることのない変わりを
風と迎えた最後の日
明るい日差しが暗闇に染まり
空は快晴の言葉を失った
雲一つない星の輝きを
見上げる命は願い浮かぶ
奇跡の夢を見た旅人は
決められた運命に抗えず
消滅したはじまりの世界
けれどそれは何度目の“はじまり”だっただろうか
※この話は『複雑な生き方をする少女 厄災編』本編が始まる、厄災が観測された最初の“はじまり”で、本当の“はじまり”はすでに過ぎ去っている。何度目かと語られているようにこの世界は厄災によって多くの“はじまり”を失っている。
その後、魔女が厄災の封印に関わることで“はじまり”に戻ることはなくなるが、それまでは永遠に“はじまり”を観測し続けている。
▽短編小説417(2025/11/8)/若き魔女が生まれる『厄災』のはじまりの詩(うた)
生まれた時から恐れられた
宿した魔力は膨大で制御も出来ず
多くの種族を傷つけた人間の少女
その手を魔女は握ってくれた
魔女の支援のおかげで少女の魔力は制御出来た
そして弟子となって魔法を学び
幸せな日々を暮らしていた
しかし厄災はすぐそばまで来ていた
“はじまり”の厄災を宿す人物を突き止め
この世界に存在する魔女達は封じ込めた
多くの種族達からの祝杯が上がる中
厄災から新たな『厄災』の赤子が生まれた
赤子は十人 その中の一人が動いて
魔女達の半数を消し飛ばして死に至らしめた
そして少女を守ろうとして
結界を張った師匠は……
数年後 少女は捨虫(さんし)の魔法を使い
『厄災』によって左腕の感覚を失い
その治療のために旅を始めた
そして旅する中で『厄災』に深く関わることとなる
※この話は『複雑な生き方をする少女 厄災編』に登場する数百年生きている魔女の人間だった頃の話。魔力を宿す人間はたまにいるが、制御出来ないほどに魔力を宿す者は今までいなかったため、生まれながら多くの種族を傷つけることから隔離されていた。その手を取ったのは師匠となる魔女で、彼女から制御と魔法を学んで一緒に暮らしていた。しかし師匠は他の魔女達とともに“はじまり”の厄災を封じ込めたが、その後に発生した『厄災』によって少女の目の前で死亡する。
数年後、成長と止めて不老になるために捨虫の魔法を使い、人間から魔女となった少女は旅を始めた。『厄災』の影響で止められなかった腐食が左腕の感覚を失わせ、その治癒は自らの魔法でも治すことが出来なかった。しかし〈治療の神〉の話を噂で聞き、最後の希望としてその村へ向かう。
また「捨虫(さんし)」は「捨虫の法」という道教に由来する言葉からとったもので、人間の体内にいるとされた三つの「三尸(さんし)」と呼ばれる虫(上尸、中尸、下尸)を退治する法のこと。意味として体の寿命を縮めるとされる「三尸」を排除する道教の教えやそれに関する行事を指す。
上尸(じょうし)は人間の頭の中、つまり脳に居て、首からの病気を引き起こしたり、大食を好ませたりする。
中尸(ちゅうし)は人間の腹の中に居て、臓器の病気を引き起こしたり、宝貨を好ませたりする。
下尸(げし)は人間の足の中に居て、腰から下の病気を引き起こしたり、淫欲を好ませたりする。
▽短編小説418(2025/11/15)/降り舞う毒は『厄災』の脅威に触れる
取り除かれた厄災が残した毒
山に住む種族を襲った血の香り
良好な優しさは喰らう肉のため
変異した体は力の象徴となる
か弱い鬼は泣き叫ぶ赤子を
拾って育て上げたは運の尽き
新たな『厄災』は継がれて宿る
死した毒は広がり恐怖を与える
鬼から妖怪へとなり下がった者
人喰らいの鬼はそう呼ばれたが
脅威はすぐに除かれて封された
だがその鏡は何も知らぬ愚か者が割った
封印された人喰い鬼はほぼ処した
しかしただ一人 凶悪な力をつけた者がいた
血を吸った妖刀を振り回し 追いつけない速さを持つ
誰も止められない歪な体の鬼だったもの
目的は何もなく すべてを返り討ちにして
多くの種族を殺した〈人喰い鬼〉
静かな時間に出会った片腕の動かぬ魔女
同じように殺して喰らうだけ そう思っていた
※この話は『複雑な生き方をする少女 厄災編』に登場する〈人喰い鬼〉となった鬼族の少女の『厄災』の毒に触れて鬼から妖怪へとなり、同族含めて多くの種族を殺して最悪な人喰い鬼と呼ばれ、若き魔女と出会うまでの話。
拾われた赤子は“はじまり”の厄災から生まれた十人の赤子の一人で、『厄災』の力は宿していなかったがその残滓を受け継いでいた。その毒は“はじまり”の厄災以上の繰り返しを一瞬で受けて変異させる恐ろしいもので、それによって一部の鬼が〈人喰い鬼〉へと変わってしまう。少女もその影響で変異し、代々受け継いでいた刀を振り回して妖刀化した。一度は大量の鏡によって封印されるが、何も知らない迷い人が割って解かれた後は鬼族の長でも倒すことが出来ないほど凶悪になり、体は鬼であった面影もなく歪な形へと変わっていく。血肉を喰らうたびに鬼であったことの記憶を失い、何のために喰らっているのか分からなくなる。
▽短編小説419(2025/11/22)/狂った悲しみは優しすぎた故の厄災に沈む
むかしむかし 病で苦しむ村がありました
それを見た神様は治癒(ちゆ)で取り除きました
感謝とともに伝承で語り継ぎました
しかしそれは続きませんでした
“はじまり”の厄災が繰り返した罪
忘れた村人達と見守る〈治癒の神〉
信仰が途切れて力が弱くなる時
神様を狂わせる出来事が起きた
努力の結晶で作り上げた薬
それは頼らないための善意
しかし神様は望まない悪意
気づかない苦しみは心を壊した
村に広まった新たな病
狂った神様は自分以外では治せない病をばら撒いた
忘れたことの憎しみと必要である依存
逃れようとする死は神様が受け止めて閉じ込めた
その村に現れた〈若き魔女〉と〈人喰い鬼〉
魔女の左腕を治すために訪れていた
それに気づいた神様は
新たな『厄災』の香りを嫌う
※この話は『複雑な生き方をする少女 厄災編』の本編が始まる前に起きた〈治癒の神〉と村の話。この「忘れる現象」は“はじまり”の厄災が繰り返すたびに少しずつ悪化していて、魔女達が止めた時にはもう完全に忘れられていた。忘れられただけでも悲しいがもっとつらい出来事は繰り返す過程で薬を作る頻度が高くなり、その薬が完成したのはこの世界が初めてであること。その二つが重なったことで〈治癒の神〉は狂って堕ちてしまい、新しい病をばら撒く悪しき神へと変わってしまう。
新たな『厄災』の香りを嫌ったのは今の状態を壊されると察していたため、どうにかして訪れた二人を除外しようと考えていた。
▽短編小説420(2025/11/29)/終わりを知らない『厄災』と新しい風の匂い
終わりを告げた結末に
溢れ出した『厄災』の穢れ
意図しない変異は
正常に進む世界を壊す
魔女を脅かす侵食
〈治癒の神〉に取り除かれ消滅
鬼族を妖怪へと分けた毒
〈人喰い鬼〉は血肉を喰らい狂気に染まる
『厄災』の印を持つ者
あの日 “はじまり”の厄災から生まれた赤子達
宿らずとも処刑の対象へ
暴走を未然に防ぐために
しかし『厄災』は引き継がれる
あの子達を宿主として
少しずつ穢れは膨れ上がり
最後の一人になるのを待っている
数百年が経って五人いなくなった
だが『厄災』はまだどこかで身を潜めていた
ある日 魔女は誘拐された子供達を助けるため洞窟に
そこで不思議な少年と出会う
※この話は『複雑な生き方をする少女 厄災編』の第一章内からすでに起きていた出来事で、『厄災』を取り除くために十人の赤子を殺す計画が作られる。しかしその現状は『厄災』の印を持った者以外にも被害が出ており、その一つとして〈人喰い鬼〉も例外ではなかった。第一章に登場する〈人喰い鬼〉の数はかなり少なくなっているが、一度封印されたことで力を失っており、脅威と呼ばれる〈人喰い鬼〉は理夏のみとなっている。
最後の出てくる少年は第二章に登場する人物で『複雑な生き方をする少女 厄災編』における重要人物となる。
吊られた命は天に召されて
次の光へと導かれる
けれど穢れた命が吊られる時
燃え盛る炎に溶け落ちる
かつて皆を守った者は
その強大な力に怯え
同じではない才能に恐怖し
悪しき者へと変えられた
聖なる力は邪なる力へと
心は徐々に虚ろへと
悲しみは憎しみへと
壊れた感情は世界を赤く染めた
失われた十字架の呪い
叶って終わった繰り返しの惨劇
“少女”の死をもって解き放たれた
しかし穢れた命は死の間際 それを掴んで取り込んだ
※この話はかつて世界を守った者だったが、人々にその力を恐れて阻害した挙句、十字架に張りつけて燃やすという酷さ。その死の間際、意識朦朧とする者の前に失われたはずの十字架が現れ、その力を取り込む。しかし本物である〈―――〉の力ではなく、その一部を引き継いだだけの偽物の力となっている。そのため十字架に残された呪いだけが使える。
▽短編小説412(2025/10/4)/遠くから眺める人々の想いの記録
白紙の本に刻まれた記録
明るい未来は少しずつ暗くなり
新たな道は一瞬で過ぎ去った
楽しさを願う旅へと向かって
人の形を失っても風は流れ続けた
暗闇に消えた赤色の隅に
飛び立つ紫煙(しえん)の香り
輝く黄色い星が煌めいていた
朝あける藍色の空 変わる橙色の空
記録は翆色の中で紡がれる
また崩壊を招くようなことが起きても
今を信じて歩いていたい
澄み渡った青い空に
似つかわない紅茶を飲んで
笑い合った奇跡を想って
ずっと続くように願う
※この話は縛りとして九色(青、紅、風、黄、茶、紫、赤、橙、翆)を文章を構成しています。その理由は諸事情により語れない。
▽短編小説413(2025/10/11)/世界を紡ぐ少女が複雑な道に足を踏み入れるまで
遠くも儚い世界を見届けた
未知も奇跡も生み出し続けた命
繋がりも途切れも紡がれた物語
書き記した「―――」の本達
止まった未来を歩み始めた少女は
天界の指輪の力を使って最初の世界に漂う
二つ目の世界は埋もれた教科書から
数学が苦手な少女は戦士として運命に取り込まれる
嫌いなものを消してほしい、と願った少女は
何もかもなくなった世界で自らを嫌悪して消滅した
魔女の弟子の少女は古びた教会に住んでいた
そこに少女の命を狙う名も無き暗殺者が現れる
「―――」の手によって世界は広がっていく
終幕と継続、放置を繰り返して
けれど誰も「―――」の代わりはいなかった
そして終わらない〈さくら〉の物語は生まれた
勾玉と十字架、呪いの力をもって
複雑に絡み合う世界は真実と嘘を繰り返す
夢を見続ける「―――」がいる限り永遠に
静かな時が訪れるまで……
※この話は「―――」が『天界物語』から『複雑な生き方をする少女』を書くまでの間の話。『天界物語』(最初の世界)、『不思議な国の七人の戦士』(二つ目の世界)、『はじまりは絶望へ』(消滅した少女)、『魔女の弟子と暗殺者』、そして『複雑な生き方をする少女』〈さくら〉となる。他にも作品はあるのだが、この話の構成上説明するにはあまりにも難しいため省かれている。
また勾玉は「修正される前の世界」、十字架は「修正された後の世界」の意味も含んでいる。そして「静かな時が訪れるまで」は「死ぬ時まで」を意味する。
▽短編小説414(2025/10/18)/悪意から始まる新たな未来の創造
世界の書庫 「―――」の物語が眠る場所
一度書き記された世界に毒が流れる
鏡の中に映るその姿
真実に塗りつぶされた“写身(うつしみ)”よ
負の感情を持つ影の青年とも
正の感情を持つ光の少女とも違う
鏡から生まれた赤い瞳の写身
殺意と嫉妬……を宿して
少女の体を乗っ取り現れても
影の青年はすぐ違和感に気づいた
ひとりぼっちに差し伸べられた手は
隠した寂しさを包み込んだ
幸福な結末は“本当の願い”か?
読み終えた『創作者』は語る
その殺意は“偽物”か?
揺らぐ心に問いかけた悪意が巡る
これはとある『創作者』の計画に過ぎない
すべてがいなくなった世界を壊す
ただ『空白の記録者』は気づいていた
最初からこうなる、と分身に伝えていた
※この話は『複雑な生き方をする少女 記憶編』を読んだ「創作者(きろくしゃ)」が「世界を作る力」を悪用し、そこに登場する鏡の写身〈理夏(りか)〉の殺意を増幅させて崩壊させようと計画する。しかし「空白の記録者」はすでに気づいており、その話の登場人物の少女に伝えている。
また「すべてがいなくなった」は「空白の記録者」以外世界の書庫には誰も存在しない世界線を指す。この分岐は『世界の観測者』と『永遠の機械人形』が眠りについた後、『記録者』が現れない世界で、幼い少女が「空白の記録者」として覚醒するというもの。
▽短編小説415(2025/10/25)/世界から切り離された記録とともに浮かぶ者
多くの人間が羽化して生まれた
僕も「―――」の中から生まれた形
空っぽの心に植えつけられた知らない記憶
受け入れ拒否を貫通して色は与えられた
振り分けられた世界と役割に呑まれ
操り人形の感情に押し潰され
僕自身の意味を考える暇もなく
なぜ生きているのか分からない
従順な洗脳に浮かび上がる異物の僕の姿を
揺らぐ視界に映る風景の外で見ている者は
“終焉を迎える世界”と認識して剣を振り下ろした
崩壊する世界の中で僕は少女に助けられた
〈何度繰り返しても彼はいつも気づく〉
〈けれど彼は初期状態に戻されて私を知らない〉
〈彼は別世界の世界の観測者?〉
〈でも“この世界”にはいるから不要と判断して……〉
少女は僕に白紙の紙切れをくれた
しかしそれを受け取ると視界が暗転した
暗闇の中に倒れた僕に手を差し伸べた“少女”は
「また……眠っていたの? 呑気ね」と言った
※この話は別世界の世界の観測者が原因不明の事象により、“この世界”の「―――」から生み落とされて、少女=“この世界”の『永遠の機械人形』に助けられる。何度も繰り返す(世界は毎度違って、消滅する力を振るう)中で少女は彼が“この世界”にいるべきではないと気づき、『世界の観測者』を知るために奪っていた白紙の紙切れをダメもとで渡した。
“少女”は世界の観測者の世界にいる永遠の機械人形。持っている力も同じだが、性格の一部が異なっている。
▽短編小説416(2025/11/1)/最初に観測された厄災の恐ろしい真実
長く遠い世界のはじまり
創造と破壊を繰り返して
手に入れた宝物は
こぼれ落ちて儚く消える
未完成な世界に入り込んだ音
天使の招きに漂流の影が映る
止まることのない変わりを
風と迎えた最後の日
明るい日差しが暗闇に染まり
空は快晴の言葉を失った
雲一つない星の輝きを
見上げる命は願い浮かぶ
奇跡の夢を見た旅人は
決められた運命に抗えず
消滅したはじまりの世界
けれどそれは何度目の“はじまり”だっただろうか
※この話は『複雑な生き方をする少女 厄災編』本編が始まる、厄災が観測された最初の“はじまり”で、本当の“はじまり”はすでに過ぎ去っている。何度目かと語られているようにこの世界は厄災によって多くの“はじまり”を失っている。
その後、魔女が厄災の封印に関わることで“はじまり”に戻ることはなくなるが、それまでは永遠に“はじまり”を観測し続けている。
▽短編小説417(2025/11/8)/若き魔女が生まれる『厄災』のはじまりの詩(うた)
生まれた時から恐れられた
宿した魔力は膨大で制御も出来ず
多くの種族を傷つけた人間の少女
その手を魔女は握ってくれた
魔女の支援のおかげで少女の魔力は制御出来た
そして弟子となって魔法を学び
幸せな日々を暮らしていた
しかし厄災はすぐそばまで来ていた
“はじまり”の厄災を宿す人物を突き止め
この世界に存在する魔女達は封じ込めた
多くの種族達からの祝杯が上がる中
厄災から新たな『厄災』の赤子が生まれた
赤子は十人 その中の一人が動いて
魔女達の半数を消し飛ばして死に至らしめた
そして少女を守ろうとして
結界を張った師匠は……
数年後 少女は捨虫(さんし)の魔法を使い
『厄災』によって左腕の感覚を失い
その治療のために旅を始めた
そして旅する中で『厄災』に深く関わることとなる
※この話は『複雑な生き方をする少女 厄災編』に登場する数百年生きている魔女の人間だった頃の話。魔力を宿す人間はたまにいるが、制御出来ないほどに魔力を宿す者は今までいなかったため、生まれながら多くの種族を傷つけることから隔離されていた。その手を取ったのは師匠となる魔女で、彼女から制御と魔法を学んで一緒に暮らしていた。しかし師匠は他の魔女達とともに“はじまり”の厄災を封じ込めたが、その後に発生した『厄災』によって少女の目の前で死亡する。
数年後、成長と止めて不老になるために捨虫の魔法を使い、人間から魔女となった少女は旅を始めた。『厄災』の影響で止められなかった腐食が左腕の感覚を失わせ、その治癒は自らの魔法でも治すことが出来なかった。しかし〈治療の神〉の話を噂で聞き、最後の希望としてその村へ向かう。
また「捨虫(さんし)」は「捨虫の法」という道教に由来する言葉からとったもので、人間の体内にいるとされた三つの「三尸(さんし)」と呼ばれる虫(上尸、中尸、下尸)を退治する法のこと。意味として体の寿命を縮めるとされる「三尸」を排除する道教の教えやそれに関する行事を指す。
上尸(じょうし)は人間の頭の中、つまり脳に居て、首からの病気を引き起こしたり、大食を好ませたりする。
中尸(ちゅうし)は人間の腹の中に居て、臓器の病気を引き起こしたり、宝貨を好ませたりする。
下尸(げし)は人間の足の中に居て、腰から下の病気を引き起こしたり、淫欲を好ませたりする。
▽短編小説418(2025/11/15)/降り舞う毒は『厄災』の脅威に触れる
取り除かれた厄災が残した毒
山に住む種族を襲った血の香り
良好な優しさは喰らう肉のため
変異した体は力の象徴となる
か弱い鬼は泣き叫ぶ赤子を
拾って育て上げたは運の尽き
新たな『厄災』は継がれて宿る
死した毒は広がり恐怖を与える
鬼から妖怪へとなり下がった者
人喰らいの鬼はそう呼ばれたが
脅威はすぐに除かれて封された
だがその鏡は何も知らぬ愚か者が割った
封印された人喰い鬼はほぼ処した
しかしただ一人 凶悪な力をつけた者がいた
血を吸った妖刀を振り回し 追いつけない速さを持つ
誰も止められない歪な体の鬼だったもの
目的は何もなく すべてを返り討ちにして
多くの種族を殺した〈人喰い鬼〉
静かな時間に出会った片腕の動かぬ魔女
同じように殺して喰らうだけ そう思っていた
※この話は『複雑な生き方をする少女 厄災編』に登場する〈人喰い鬼〉となった鬼族の少女の『厄災』の毒に触れて鬼から妖怪へとなり、同族含めて多くの種族を殺して最悪な人喰い鬼と呼ばれ、若き魔女と出会うまでの話。
拾われた赤子は“はじまり”の厄災から生まれた十人の赤子の一人で、『厄災』の力は宿していなかったがその残滓を受け継いでいた。その毒は“はじまり”の厄災以上の繰り返しを一瞬で受けて変異させる恐ろしいもので、それによって一部の鬼が〈人喰い鬼〉へと変わってしまう。少女もその影響で変異し、代々受け継いでいた刀を振り回して妖刀化した。一度は大量の鏡によって封印されるが、何も知らない迷い人が割って解かれた後は鬼族の長でも倒すことが出来ないほど凶悪になり、体は鬼であった面影もなく歪な形へと変わっていく。血肉を喰らうたびに鬼であったことの記憶を失い、何のために喰らっているのか分からなくなる。
▽短編小説419(2025/11/22)/狂った悲しみは優しすぎた故の厄災に沈む
むかしむかし 病で苦しむ村がありました
それを見た神様は治癒(ちゆ)で取り除きました
感謝とともに伝承で語り継ぎました
しかしそれは続きませんでした
“はじまり”の厄災が繰り返した罪
忘れた村人達と見守る〈治癒の神〉
信仰が途切れて力が弱くなる時
神様を狂わせる出来事が起きた
努力の結晶で作り上げた薬
それは頼らないための善意
しかし神様は望まない悪意
気づかない苦しみは心を壊した
村に広まった新たな病
狂った神様は自分以外では治せない病をばら撒いた
忘れたことの憎しみと必要である依存
逃れようとする死は神様が受け止めて閉じ込めた
その村に現れた〈若き魔女〉と〈人喰い鬼〉
魔女の左腕を治すために訪れていた
それに気づいた神様は
新たな『厄災』の香りを嫌う
※この話は『複雑な生き方をする少女 厄災編』の本編が始まる前に起きた〈治癒の神〉と村の話。この「忘れる現象」は“はじまり”の厄災が繰り返すたびに少しずつ悪化していて、魔女達が止めた時にはもう完全に忘れられていた。忘れられただけでも悲しいがもっとつらい出来事は繰り返す過程で薬を作る頻度が高くなり、その薬が完成したのはこの世界が初めてであること。その二つが重なったことで〈治癒の神〉は狂って堕ちてしまい、新しい病をばら撒く悪しき神へと変わってしまう。
新たな『厄災』の香りを嫌ったのは今の状態を壊されると察していたため、どうにかして訪れた二人を除外しようと考えていた。
▽短編小説420(2025/11/29)/終わりを知らない『厄災』と新しい風の匂い
終わりを告げた結末に
溢れ出した『厄災』の穢れ
意図しない変異は
正常に進む世界を壊す
魔女を脅かす侵食
〈治癒の神〉に取り除かれ消滅
鬼族を妖怪へと分けた毒
〈人喰い鬼〉は血肉を喰らい狂気に染まる
『厄災』の印を持つ者
あの日 “はじまり”の厄災から生まれた赤子達
宿らずとも処刑の対象へ
暴走を未然に防ぐために
しかし『厄災』は引き継がれる
あの子達を宿主として
少しずつ穢れは膨れ上がり
最後の一人になるのを待っている
数百年が経って五人いなくなった
だが『厄災』はまだどこかで身を潜めていた
ある日 魔女は誘拐された子供達を助けるため洞窟に
そこで不思議な少年と出会う
※この話は『複雑な生き方をする少女 厄災編』の第一章内からすでに起きていた出来事で、『厄災』を取り除くために十人の赤子を殺す計画が作られる。しかしその現状は『厄災』の印を持った者以外にも被害が出ており、その一つとして〈人喰い鬼〉も例外ではなかった。第一章に登場する〈人喰い鬼〉の数はかなり少なくなっているが、一度封印されたことで力を失っており、脅威と呼ばれる〈人喰い鬼〉は理夏のみとなっている。
最後の出てくる少年は第二章に登場する人物で『複雑な生き方をする少女 厄災編』における重要人物となる。
桜詩凛の読みは「さくらしりん」で、由来は二つ。一つは元から使っていた桜子凛花が長いと思ったため、短くするために「桜」と「凛」を取り、その間に当時から書いていた「詩」をいれたもの。もう一つは『複雑な生き方をする少女』に登場する「さくら、黒蛇、シラ、理夏(りか)、ラナン」の頭文字を取ったものとなってい…
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