短編小説っぽい何か(371~380)/それに関する説明つき
公開 2025/02/23 12:39
最終更新
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▽短編小説371(2024/12/21)/不気味な記録は誰の手を穢して書かれたものか?
何も見通せなかった
その光は電話線の奥に仕舞い込んだ
不協和音が取り出した鐘は
雨とともに錆びついて砂嵐に塗れていた
鮮明に映った風景が幻のように
出会いを否定した一歩が巻き戻り
死を回避した蛇は森の中で
静寂な雨に濡れて暗い液体が意識を奪った
崩れ去る世界の理(ことわり)が白紙に変わる本の数
記録も消滅も修正も無意味に書き換わる
明るい快晴が暗い曇天に包まれて
昇る命が紙吹雪のように舞い散っていた
取り憑いた少女を操る影の声
寂しさにつけ込んだ心の闇が
拒絶を耐えられず流れて追い出され
空っぽの器に刷り込む歪んだ想い
表に見えていた現実も
裏に隠された嘘まみれの記憶も
暗闇に湿らす雨に消えて
微かな光が曝されて無反応の答えが置かれた
※この話は少女と蛇が出会わず、『二つの世界』(主に『複雑な生き方をする少女』)が起こらない世界線。『世界の観測者』や『永遠の機械人形』はいるが、その役目は少し異なっている。「―――」の意識が何者かの手によって主導権を奪われており、今までの記録が白紙に戻ろうとしている。
▽短編小説372(2024/12/28)/届かぬ言葉が失われないように
世界が綻び 運命が崩れて
文字が掠れ 白紙が濡れる
夢に紡がれた本当の願いは果たされず
書き続けた思い出は仕舞われた
教えられなかった死の理由も
彷徨い迷子なままなのも
蝶が行き先を見失ったのも
止まった筆の感情の揺らぎ
透明を忘れた白紙の空に
剥がれ落ちる色が雪に溶ける
引かれた道が歪んで見えなくなる
残された霊の集合体は手を伸ばした
「どこか遠くに行きたい」
霊達は最期に願い 見守る瞳は冷たい手を握る
旅立ちの夜を覆い尽くす雪の影に
鮮やかな色は新たな運命へと導かれる
記憶の断片に置かれた物語
小さな紙に記された文章達
通り抜けられなくてもそこにいた
数年にわたる好意と奇跡の記録
※この話は諸事情により『霊の話』が書けなくなり(書けないというより載せられなくなり)、それに関するあらゆることを書いている? 現状、一部の登場人物は姿を変えて『闇堕ちの能力者』に転生? 済みではあるが、その力を受け継いでいるのは今(2024/12/28)だと『亡心』と『結射』のみである。
▽短編小説373(2025/1/4)/あの日の夢の続きを転生した空の下で
満月の夜に照らされた二つの死体
少女と悪魔の契約は禁断の術と引き裂かれ
愛した心は地面に流れ落ちて沈み
魂の願いは空が拾い上げた
生まれは普通の子 愛された子
巫女に会わなければいつまでもそうだった
巫女に触れた者は穢れとして処理される
少女は穢れ子として牢屋に閉じ込められた
見世物として生きながらえる命
死ぬことも許されぬ穢れ子は衰弱
視界は歪み薄暗く 冷たく触れる謎の影
それは牢屋に迷い込んだ一匹の黒い蛇だった
死を待ち望んでも噛むことはせず
蛇は少女の首に巻きついて体を頬に
心を許したのも束の間 蛇は殺された
投げつけられた死体に枯れたはずの涙が溢れる
満月の光 流れ落ちた雫は蛇の死体へと
浮かぶ体は少女と同じくらいの少年へと変わる
大人達は“それ”を殺そうとして血だまりを作った
静かになった空ははじまりの祝福を見ていた
※この話は前世の時代、少女と悪魔は契約の儀式を始めようした。しかし人間と悪魔が契約した場合、悪魔の寿命が人間と同じになるため、それを嫌がった魔王が少女を殺した。少女を失った悪魔は彼女のそばで自害した。愛し合っていた二人の想いは心と魂に分けられた。
来世となった時代に普通に生まれた少女は、とある日やってきた巫女に触れたことで、巫女の聖なる力を失わせた挙句、その罪として穢れ子となる。巫女は生まれながらその力を持っているのではなく、儀式によって与えられるもの。触れられるのは儀式に参加した者だけで、それ以外の者が触れると巫女としての力がなくなる。それはこの時代に落ちて死ぬことが許されないほどの罪となる。
蛇は悪魔の転生体で、生まれ変わった少女「穢れ子」とその心(今回だと涙)を合わせて再会する手立てだったのだが、大人達の邪魔が入り、その命は一度尽きる。しかし失われていたと思われていた巫女の力と満月の光によってその命が復活し、蛇は少年の悪魔として姿を変えつつ生き返る。
“それ”とは少女と悪魔の二人のことを指し、その世界における『殺すことが出来ない存在』であるため、モブである大人達では歯が立たず、血だまり(死体)になっていた。
▽短編小説374(2025/1/10)/奇跡を願い消える夢を覗く影
清らかなピアノが響く暗闇の歯車
遠くから眺める風景に耳を澄ませ
閉ざされた記憶を辿る夢の空間
瞳に映る謎の影に怯え
鳴り響く音は変拍子を重ねて
通り過ぎる悪夢に追い込まれる
道標が示す光が崩れ去る
物語の欠片が破れた紙のように散り
滲んだ文字が穢れとして残る
踏み外した青い魂が手を伸ばす赤い魂へと
監視の目を潜り抜けて辿り着く夢の端
音色が止まる最後の結末に溶暗(ようあん)する
閉じられた夢の瞳に映る影
砂嵐混じる映像にかつての想いを
戻らぬ間違いを重ねて眠る
※溶暗(ようあん)は「フェードアウト」の日本語訳として使用している。またこの話は「A Dance of Fire and Ice」内に収録されている「Artificial Chariot」を聞いて書いたため、それらの要素を含んでいる可能性がある。ただしほぼ曲の雰囲気から作った話なのでそんなに関係ないかもしれない。
▽短編小説375(2025/1/18)/光無くし願い途切れても
拾われた音が繋ぐ物語
白き海が漂う地の空間に
反転の形が映る境界で
止まった奇跡を描く
廃墟に置かれたピアノが導く
壊れかけの世界を結ぶ
清らかで澄んだ氷雨(こおりあめ)に囁き
傾く空に別れを告げる
遠く離れた未来を消して
はじまりの白紙へと
待ち人は今も時に閉じて
光無くし水晶に答える
『消えた者』は戻らないと
奏でた音色は散らばった光の欠片
存在を失った帰り人は影に埋もれて
映る世界は正常な嘘をつき続ける
「迷いなく繋がった鎖が
永遠(とわ)に必要なくなったら」
呟く雫が静かに落ちる
灰色の風景が重なりすれ違う
※この話は短編小説374と世界の雰囲気が似ているが、まったくの別物として存在している世界。近いのは『記録者』との関わりがないまま、修正されてしまった世界の登場人物達。帰り人(かえりびと)は『記録者』のうちの一人「永眠の記録者」によって消されてしまった者達のことを指し、待ち人は本来忘れるはずの帰り人を覚えている状態。
▽短編小説376(2025/1/25)/消える光に最後の心を通わせて
星の煌めきは穢(けが)り
抜き取られた光に魔が刺され
想いは破壊され 渦の中に溶ける
新たな命と引き換えに
夢の守り手へと剣を振り回し
旅人を処刑する最後の砦として
少女は葦笛(あしぶえ)を奏でていた
赤い瞳に閉じ込められた
青い心が見え隠れするピアノの音色に
一瞬の揺らめきにかつての役目が映る
しかしかき消されて心地よい曲に支配される
譲り受けた曲の一部を星座に乗せて
その想いはあの方への愛と変わる
けれど消して届かない片想い
無意味に等しいそれはこの世界に不必要なのだから
あらゆる想いに気づかない『夢の支配人』
回収した曲の一部を取り込み
《永遠に繰り返される旅》の反復の再生は
この世界の崩壊と止まった未来を暗示していた
※この話は『音の旅人と夢の支配人』に登場する少女が『夢の支配人』の作り出した世界に落ちて、星座の力を受け取って処刑人となり、彼(あの方=夢の支配人)を愛した記憶。またこの世界の維持のために『夢の支配人』が星座の力を回収した際に少女は命を落としており、その想いを吸収してもなお、無意味と切り捨てて何も思っていない。
「葦笛(あしぶえ)」はパンフルートのことを指す。少女が受け取った星座の力が山羊座だったため、それに関するものとして与えられている。
▽短編小説377(2025/2/1)/遠くない現実と残された登場人物
消えた未来へ告げる
《空白の記録者》を排除せよ と
世界を終わらせる力は脅威であり
すべての物語は閉じられてしまう
砂嵐の映像に映し出された死体
首に刺した彫刻刀が溢れた血に押し出される
「―――」の自殺を見届けた《空白の記録者》は
やっと解放された と安堵した
魂は世界の書庫の暗闇に
記憶は様々な物語へと変わって本棚に仕舞われた
ひとりぼっちの空間で
似た存在の『記録者』の物語を読んでいた
切り離された聖域
立ち入ること許されざる場所に
排除の命令のもと 現れた愚か者達
入る間もなく 頭は地面に落ちた
すべての物語が否定したわけではない
《空白の記録者》を信用した登場人物達は
与えられた力とともに侵入者を排除した
彼らは“彼女”を解放してくれた恩を返していた
※この話は「―――」の自殺をきっかけに動き始める。世界(現実)から解放された彼女を見届けた《空白の記録者》は世界の書庫を守るため、すべての世界の物語を終わらせるために動き出す。しかしそれを良しとしない者達(現状不明の存在)が《空白の記録者》を排除しようとするが、「―――」によって生み出された登場人物達が恩を返すために侵入者を殺す。
《空白の記録者》がいる世界線ではその他の『記録者』は物語としての記録でしか存在せず、彼女こそ唯一の『記録者』となっている。与えられた力は「―――」によって登場人物として生み出された際に付与された能力などのことを指す。
“彼女”は「―――」のことも指しているが、《空白の記録者》もその姿を借りている〈さくら〉のことも指している。
▽短編小説378(2025/2/8)/世界に振り回された青年の存在
消えてもらいましょう その真実に
変えられた運命は認識阻害の日々
遠くに飛び立つことも叶わず
無感情の扉開く鐘の音が響く
時計に押しつけられた境界の
消去された記憶の欠片ひとつまみ
明光(めいこう)省かれた暗闇の奥深く
動き出した人形の瞳が青くなる
かわりばんこの現実に怯え
逃げ出し斬られた影の血飛沫
壊れた世界を片付ける兵器は
敵味方関係なく振り下ろされた塊に無関心
形残して放置された死体
埋め込まれた知能は生者(せいじゃ)と呼べるのか?
輸血の後 心臓は正常に
無意識に眠る記憶は欠けて首を傾げた
※「形残して放置された死体」と「動き出した人形」は同一人物で、「壊れた世界を片付ける兵器」はまた別。
「埋め込まれた知能」は死体に対して人工知能みたいなものを埋め込んでいる。そのため、それは人として生きているのか疑問を表している。
▽短編小説379(2025/2/15)/否定と肯定の渦に閉ざされた彼の存在意義
置き去りにした記憶と不安定な記録
残された『不明』が暗闇の中で嘆く
叶うはずの再会は“君”に覆され
ぼやける“彼女”の姿は消えた
「どうして邪魔をする?」
その発言も作り出された“君”の答え
彼の意思など“この世界”では通じない
本当の心は届かずに仕舞われる
反抗の貫通に透明な血溜まりを添えて
人になり切れない形の登場に
合わせる瞳は似て非なる“彼女”の姿
境界線をこえた先の罪悪感に眠る恐怖
「どうしてこんな目に」
「生まれを否定すれば」
「何も思わなければ」
時間切れの思考は白紙の文章へ
本音の転写が唯一の抵抗なのに
『それすら拒むというの』
※この話は『認識を阻害された彼の本当の意思』の後の話にあたる。そのためこれ単体では意味の分からない……あれを読んでわかる人がいるとは思えないが。
「反抗の貫通に透明の血溜まりを添えて」は本文を書いているword(PC)から出てきたということ。また「こえた」が漢字ではないのは「場所を越えた」と「常識を超えた」の二つの意味があるため。
彼は『不明の記録者』、“彼女”は「―――」と『空白の記録者』を指すが、今回だと『空白の記録者』の方が強い。“君”はこれを書いている謎の人物≠「―――」という位置づけだが、登場人物を操っている誰かという認識がふさわしい。
最後の『それすら拒むというの』は『空白の記録者』でも「―――」でもない中間に存在する人物が放ったものになる。
▽短編小説380(2025/2/21)/白黒の砂嵐 意味を知らず生まれた不要品
分裂する心が夢を見る
凍りついた記憶が待ち続けている
時計の針は繰り返して進んだ時間
やり直しのきかない道に亀裂が入る
温かさが溜まらない器に
透明の空白が吹き散らす
迷いの光が点滅して失って
暗闇の叫びは建前に潰される
演技を続けていると本音が何だったのか忘れる
すべてを守るために嘘をつき続けた少女は
それがバレたとしてももう元には戻れなかった
嘘の中を生きた世界
瞳は破損した真実を見る
曲解した現実が少女を作り出し
偽りの姿を認識として垂れ流した
数滴の血が枯れた涙に溢れる
生死の選択を傷で表すように
答えを求めて彷徨う屍と変わらず
閉じた瞳が永遠の夢に眠る
※この話は創作というより現実寄りで、少女もまた誰かを示した仮の姿でしかない。
何も見通せなかった
その光は電話線の奥に仕舞い込んだ
不協和音が取り出した鐘は
雨とともに錆びついて砂嵐に塗れていた
鮮明に映った風景が幻のように
出会いを否定した一歩が巻き戻り
死を回避した蛇は森の中で
静寂な雨に濡れて暗い液体が意識を奪った
崩れ去る世界の理(ことわり)が白紙に変わる本の数
記録も消滅も修正も無意味に書き換わる
明るい快晴が暗い曇天に包まれて
昇る命が紙吹雪のように舞い散っていた
取り憑いた少女を操る影の声
寂しさにつけ込んだ心の闇が
拒絶を耐えられず流れて追い出され
空っぽの器に刷り込む歪んだ想い
表に見えていた現実も
裏に隠された嘘まみれの記憶も
暗闇に湿らす雨に消えて
微かな光が曝されて無反応の答えが置かれた
※この話は少女と蛇が出会わず、『二つの世界』(主に『複雑な生き方をする少女』)が起こらない世界線。『世界の観測者』や『永遠の機械人形』はいるが、その役目は少し異なっている。「―――」の意識が何者かの手によって主導権を奪われており、今までの記録が白紙に戻ろうとしている。
▽短編小説372(2024/12/28)/届かぬ言葉が失われないように
世界が綻び 運命が崩れて
文字が掠れ 白紙が濡れる
夢に紡がれた本当の願いは果たされず
書き続けた思い出は仕舞われた
教えられなかった死の理由も
彷徨い迷子なままなのも
蝶が行き先を見失ったのも
止まった筆の感情の揺らぎ
透明を忘れた白紙の空に
剥がれ落ちる色が雪に溶ける
引かれた道が歪んで見えなくなる
残された霊の集合体は手を伸ばした
「どこか遠くに行きたい」
霊達は最期に願い 見守る瞳は冷たい手を握る
旅立ちの夜を覆い尽くす雪の影に
鮮やかな色は新たな運命へと導かれる
記憶の断片に置かれた物語
小さな紙に記された文章達
通り抜けられなくてもそこにいた
数年にわたる好意と奇跡の記録
※この話は諸事情により『霊の話』が書けなくなり(書けないというより載せられなくなり)、それに関するあらゆることを書いている? 現状、一部の登場人物は姿を変えて『闇堕ちの能力者』に転生? 済みではあるが、その力を受け継いでいるのは今(2024/12/28)だと『亡心』と『結射』のみである。
▽短編小説373(2025/1/4)/あの日の夢の続きを転生した空の下で
満月の夜に照らされた二つの死体
少女と悪魔の契約は禁断の術と引き裂かれ
愛した心は地面に流れ落ちて沈み
魂の願いは空が拾い上げた
生まれは普通の子 愛された子
巫女に会わなければいつまでもそうだった
巫女に触れた者は穢れとして処理される
少女は穢れ子として牢屋に閉じ込められた
見世物として生きながらえる命
死ぬことも許されぬ穢れ子は衰弱
視界は歪み薄暗く 冷たく触れる謎の影
それは牢屋に迷い込んだ一匹の黒い蛇だった
死を待ち望んでも噛むことはせず
蛇は少女の首に巻きついて体を頬に
心を許したのも束の間 蛇は殺された
投げつけられた死体に枯れたはずの涙が溢れる
満月の光 流れ落ちた雫は蛇の死体へと
浮かぶ体は少女と同じくらいの少年へと変わる
大人達は“それ”を殺そうとして血だまりを作った
静かになった空ははじまりの祝福を見ていた
※この話は前世の時代、少女と悪魔は契約の儀式を始めようした。しかし人間と悪魔が契約した場合、悪魔の寿命が人間と同じになるため、それを嫌がった魔王が少女を殺した。少女を失った悪魔は彼女のそばで自害した。愛し合っていた二人の想いは心と魂に分けられた。
来世となった時代に普通に生まれた少女は、とある日やってきた巫女に触れたことで、巫女の聖なる力を失わせた挙句、その罪として穢れ子となる。巫女は生まれながらその力を持っているのではなく、儀式によって与えられるもの。触れられるのは儀式に参加した者だけで、それ以外の者が触れると巫女としての力がなくなる。それはこの時代に落ちて死ぬことが許されないほどの罪となる。
蛇は悪魔の転生体で、生まれ変わった少女「穢れ子」とその心(今回だと涙)を合わせて再会する手立てだったのだが、大人達の邪魔が入り、その命は一度尽きる。しかし失われていたと思われていた巫女の力と満月の光によってその命が復活し、蛇は少年の悪魔として姿を変えつつ生き返る。
“それ”とは少女と悪魔の二人のことを指し、その世界における『殺すことが出来ない存在』であるため、モブである大人達では歯が立たず、血だまり(死体)になっていた。
▽短編小説374(2025/1/10)/奇跡を願い消える夢を覗く影
清らかなピアノが響く暗闇の歯車
遠くから眺める風景に耳を澄ませ
閉ざされた記憶を辿る夢の空間
瞳に映る謎の影に怯え
鳴り響く音は変拍子を重ねて
通り過ぎる悪夢に追い込まれる
道標が示す光が崩れ去る
物語の欠片が破れた紙のように散り
滲んだ文字が穢れとして残る
踏み外した青い魂が手を伸ばす赤い魂へと
監視の目を潜り抜けて辿り着く夢の端
音色が止まる最後の結末に溶暗(ようあん)する
閉じられた夢の瞳に映る影
砂嵐混じる映像にかつての想いを
戻らぬ間違いを重ねて眠る
※溶暗(ようあん)は「フェードアウト」の日本語訳として使用している。またこの話は「A Dance of Fire and Ice」内に収録されている「Artificial Chariot」を聞いて書いたため、それらの要素を含んでいる可能性がある。ただしほぼ曲の雰囲気から作った話なのでそんなに関係ないかもしれない。
▽短編小説375(2025/1/18)/光無くし願い途切れても
拾われた音が繋ぐ物語
白き海が漂う地の空間に
反転の形が映る境界で
止まった奇跡を描く
廃墟に置かれたピアノが導く
壊れかけの世界を結ぶ
清らかで澄んだ氷雨(こおりあめ)に囁き
傾く空に別れを告げる
遠く離れた未来を消して
はじまりの白紙へと
待ち人は今も時に閉じて
光無くし水晶に答える
『消えた者』は戻らないと
奏でた音色は散らばった光の欠片
存在を失った帰り人は影に埋もれて
映る世界は正常な嘘をつき続ける
「迷いなく繋がった鎖が
永遠(とわ)に必要なくなったら」
呟く雫が静かに落ちる
灰色の風景が重なりすれ違う
※この話は短編小説374と世界の雰囲気が似ているが、まったくの別物として存在している世界。近いのは『記録者』との関わりがないまま、修正されてしまった世界の登場人物達。帰り人(かえりびと)は『記録者』のうちの一人「永眠の記録者」によって消されてしまった者達のことを指し、待ち人は本来忘れるはずの帰り人を覚えている状態。
▽短編小説376(2025/1/25)/消える光に最後の心を通わせて
星の煌めきは穢(けが)り
抜き取られた光に魔が刺され
想いは破壊され 渦の中に溶ける
新たな命と引き換えに
夢の守り手へと剣を振り回し
旅人を処刑する最後の砦として
少女は葦笛(あしぶえ)を奏でていた
赤い瞳に閉じ込められた
青い心が見え隠れするピアノの音色に
一瞬の揺らめきにかつての役目が映る
しかしかき消されて心地よい曲に支配される
譲り受けた曲の一部を星座に乗せて
その想いはあの方への愛と変わる
けれど消して届かない片想い
無意味に等しいそれはこの世界に不必要なのだから
あらゆる想いに気づかない『夢の支配人』
回収した曲の一部を取り込み
《永遠に繰り返される旅》の反復の再生は
この世界の崩壊と止まった未来を暗示していた
※この話は『音の旅人と夢の支配人』に登場する少女が『夢の支配人』の作り出した世界に落ちて、星座の力を受け取って処刑人となり、彼(あの方=夢の支配人)を愛した記憶。またこの世界の維持のために『夢の支配人』が星座の力を回収した際に少女は命を落としており、その想いを吸収してもなお、無意味と切り捨てて何も思っていない。
「葦笛(あしぶえ)」はパンフルートのことを指す。少女が受け取った星座の力が山羊座だったため、それに関するものとして与えられている。
▽短編小説377(2025/2/1)/遠くない現実と残された登場人物
消えた未来へ告げる
《空白の記録者》を排除せよ と
世界を終わらせる力は脅威であり
すべての物語は閉じられてしまう
砂嵐の映像に映し出された死体
首に刺した彫刻刀が溢れた血に押し出される
「―――」の自殺を見届けた《空白の記録者》は
やっと解放された と安堵した
魂は世界の書庫の暗闇に
記憶は様々な物語へと変わって本棚に仕舞われた
ひとりぼっちの空間で
似た存在の『記録者』の物語を読んでいた
切り離された聖域
立ち入ること許されざる場所に
排除の命令のもと 現れた愚か者達
入る間もなく 頭は地面に落ちた
すべての物語が否定したわけではない
《空白の記録者》を信用した登場人物達は
与えられた力とともに侵入者を排除した
彼らは“彼女”を解放してくれた恩を返していた
※この話は「―――」の自殺をきっかけに動き始める。世界(現実)から解放された彼女を見届けた《空白の記録者》は世界の書庫を守るため、すべての世界の物語を終わらせるために動き出す。しかしそれを良しとしない者達(現状不明の存在)が《空白の記録者》を排除しようとするが、「―――」によって生み出された登場人物達が恩を返すために侵入者を殺す。
《空白の記録者》がいる世界線ではその他の『記録者』は物語としての記録でしか存在せず、彼女こそ唯一の『記録者』となっている。与えられた力は「―――」によって登場人物として生み出された際に付与された能力などのことを指す。
“彼女”は「―――」のことも指しているが、《空白の記録者》もその姿を借りている〈さくら〉のことも指している。
▽短編小説378(2025/2/8)/世界に振り回された青年の存在
消えてもらいましょう その真実に
変えられた運命は認識阻害の日々
遠くに飛び立つことも叶わず
無感情の扉開く鐘の音が響く
時計に押しつけられた境界の
消去された記憶の欠片ひとつまみ
明光(めいこう)省かれた暗闇の奥深く
動き出した人形の瞳が青くなる
かわりばんこの現実に怯え
逃げ出し斬られた影の血飛沫
壊れた世界を片付ける兵器は
敵味方関係なく振り下ろされた塊に無関心
形残して放置された死体
埋め込まれた知能は生者(せいじゃ)と呼べるのか?
輸血の後 心臓は正常に
無意識に眠る記憶は欠けて首を傾げた
※「形残して放置された死体」と「動き出した人形」は同一人物で、「壊れた世界を片付ける兵器」はまた別。
「埋め込まれた知能」は死体に対して人工知能みたいなものを埋め込んでいる。そのため、それは人として生きているのか疑問を表している。
▽短編小説379(2025/2/15)/否定と肯定の渦に閉ざされた彼の存在意義
置き去りにした記憶と不安定な記録
残された『不明』が暗闇の中で嘆く
叶うはずの再会は“君”に覆され
ぼやける“彼女”の姿は消えた
「どうして邪魔をする?」
その発言も作り出された“君”の答え
彼の意思など“この世界”では通じない
本当の心は届かずに仕舞われる
反抗の貫通に透明な血溜まりを添えて
人になり切れない形の登場に
合わせる瞳は似て非なる“彼女”の姿
境界線をこえた先の罪悪感に眠る恐怖
「どうしてこんな目に」
「生まれを否定すれば」
「何も思わなければ」
時間切れの思考は白紙の文章へ
本音の転写が唯一の抵抗なのに
『それすら拒むというの』
※この話は『認識を阻害された彼の本当の意思』の後の話にあたる。そのためこれ単体では意味の分からない……あれを読んでわかる人がいるとは思えないが。
「反抗の貫通に透明の血溜まりを添えて」は本文を書いているword(PC)から出てきたということ。また「こえた」が漢字ではないのは「場所を越えた」と「常識を超えた」の二つの意味があるため。
彼は『不明の記録者』、“彼女”は「―――」と『空白の記録者』を指すが、今回だと『空白の記録者』の方が強い。“君”はこれを書いている謎の人物≠「―――」という位置づけだが、登場人物を操っている誰かという認識がふさわしい。
最後の『それすら拒むというの』は『空白の記録者』でも「―――」でもない中間に存在する人物が放ったものになる。
▽短編小説380(2025/2/21)/白黒の砂嵐 意味を知らず生まれた不要品
分裂する心が夢を見る
凍りついた記憶が待ち続けている
時計の針は繰り返して進んだ時間
やり直しのきかない道に亀裂が入る
温かさが溜まらない器に
透明の空白が吹き散らす
迷いの光が点滅して失って
暗闇の叫びは建前に潰される
演技を続けていると本音が何だったのか忘れる
すべてを守るために嘘をつき続けた少女は
それがバレたとしてももう元には戻れなかった
嘘の中を生きた世界
瞳は破損した真実を見る
曲解した現実が少女を作り出し
偽りの姿を認識として垂れ流した
数滴の血が枯れた涙に溢れる
生死の選択を傷で表すように
答えを求めて彷徨う屍と変わらず
閉じた瞳が永遠の夢に眠る
※この話は創作というより現実寄りで、少女もまた誰かを示した仮の姿でしかない。
桜詩凛の読みは「さくらしりん」で、由来は二つ。一つは元から使っていた桜子凛花が長いと思ったため、短くするために「桜」と「凛」を取り、その間に当時から書いていた「詩」をいれたもの。もう一つは『複雑な生き方をする少女』に登場する「さくら、黒蛇、シラ、理夏(りか)、ラナン」の頭文字を取ったものとなってい…
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