世界を見定める二人の存在と若き記録者達
公開 2023/10/06 07:46
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(空白)
一人目の少女は天界に導かれて 二人目の少女は勉強に囚われて
三人目の少女は星に守られて 四人目の少女は五人の手を取って
五人目の少女は守護者達とともに 六人目の少女は主を殺した犯人を探して
七人目の少女は生まれを呪って 八人目の少女は心に闇を抱えて
九人目の少女はあらゆる世界に分岐を作って 十人目の少女は幽霊と言葉を交わした
そして
物語の基礎となった十人の少女は語られることのない本に閉じられていた。その本を読むことが出来るのは世界を渡り歩いた観測者達だけだった。しかし彼らと同じ役目を得た者は数多く、観測者として生み出されたわけではない者まで本に触れることが出来た。
彼らは記録者と呼ばれている。修正という概念をまるで受けないすべての世界を記録するために存在する。観測者と違う点として彼らにはそれぞれ能力を保有しており、それによってもたらされた世界は影響を受ける。記録者となる条件は神に選ばれた死者で、生前から能力を保有している。
一人の記録者が本を手に取った
それは彼が生まれる前に終わりを告げた平和な世界
一枚、一枚とページをめくり 読み進めたが何か足りないことに気づいた
『ここにいた記憶があるのに それが消されている』
記録者として生まれた際に切り取られた者
それは記憶とともに失われて それに関する疑問も感じなくなる
けれど彼はその本を手に取ってから不思議そうに何度も繰り返した
『《分裂した二つの国と天使》……どうしていないんだろう』
空白の時間と切り取られた空間 いたはずの登場人物達
『僕らはここにいた』 近くにいたもう一人の記録者が呟いた
二人の記録者は本を読み終えると 本を手にしたまま 旅に出た
十一人目の少女は戦争を止めるために降り立った
十二人目の少女は殺したくない命を切り
十三人目の少女は霊とともに旅に出て
十四人目の少女は異様な生物に守られて
十五人目の少女は世界の観測者と出会った
十六人目の少女は〈まじない〉と〈のろい〉に
十七人目の少女は壊れた世界の雨に触れて
十八人目の少女は“あれ”とともに笑って
十九人目の少女は“一つ目”の名前を叫んで
二十人目の少女は永遠の機械人形となった
そして
続く物語は世界の観測者のみならず、永遠の機械人形まで引き継がれていた
あらゆる本が埋まっていた棚に触れる一人の観測者がいた。しかし一冊抜き取られていることに気づいた彼はその本が何なのかわかった。そしてそれが必然であると理解した時、その本を探すことをやめた。
元々彼らの世界だ
出会うことも世界は理解していただろう
死してなお思い出したというのなら 真実を知るといい
思い通りにならなくても 彼らの能力なら変えられる
しかしそう呟いていたのを聞いていたかのように、世界の観測者に向けられたのは永遠の機械人形が手にしていた剣だった。
『変えることを避けたあなたがどうして』
「これは変えられない未来だ」
『許さない』
「そうだとしても君はその世界に渡ることが出来ない」
永遠の機械人形は剣をおろして、世界の観測者を睨みつけた後、下層の本棚の方へ飛んでいった。どうにかして渡る方法を模索しようとしているのだろうと思いながら、彼はそれを見ていた。
あの世界はおそらく 修正の概念がない
世界の観測者も永遠の機械人形も寄り付くことが出来ない世界
それに同じ存在が世界で交われば 良くないことが起きるのは目に見えている
ならば見届けるしかない しかし永遠の機械人形は許さないだろうが仕方がない
あの世界は修正の概念を必要としない世界
つまり彼も私もその世界に渡る権利がない
だからといって見過ごすことは出来ない
変わろうとしているのなら 止めなければ 消滅させなければ
「よい未来が紡がれればいいが……」
『あの人がそうしないなら私がするしかない』
いつの間にか永遠の機械人形は姿を消していた。諦めたのか方法を見つけたのかわからないが、その姿はなくなっていた。無理にでも世界を渡ろうとするなら、関わりのない世界も歪むとされている。だから確定している世界や未来を崩すなら、こちら側が大変になることを永遠の機械人形は知っているはずだが、少々心配になっていた。
一人残された世界の観測者はあの記録者達のことを考えていた。世界の観測者として必要な時間と空間の力をそれぞれ持つ二人。そんな能力を持つ彼らを何故神は記録者にしたのか意味不明だった。しかしあの本の存在を知った時、彼らはそのために存在するのだとわかった。あの世界に渡ることが出来るのは彼らだけで、その他の観測者も記録者も永遠の機械人形も受け入れられない。
彼らがあの世界と同じならば 時間と空間の能力にも合意がつく
修正の概念を受けていても同じならば 彼らなら動かせる
そう呟いた世界の観測者もいなくなった。誰もいなくなった本棚は静かになっていた。
一人目の少女は天界に導かれて 二人目の少女は勉強に囚われて
三人目の少女は星に守られて 四人目の少女は五人の手を取って
五人目の少女は守護者達とともに 六人目の少女は主を殺した犯人を探して
七人目の少女は生まれを呪って 八人目の少女は心に闇を抱えて
九人目の少女はあらゆる世界に分岐を作って 十人目の少女は幽霊と言葉を交わした
そして
物語の基礎となった十人の少女は語られることのない本に閉じられていた。その本を読むことが出来るのは世界を渡り歩いた観測者達だけだった。しかし彼らと同じ役目を得た者は数多く、観測者として生み出されたわけではない者まで本に触れることが出来た。
彼らは記録者と呼ばれている。修正という概念をまるで受けないすべての世界を記録するために存在する。観測者と違う点として彼らにはそれぞれ能力を保有しており、それによってもたらされた世界は影響を受ける。記録者となる条件は神に選ばれた死者で、生前から能力を保有している。
一人の記録者が本を手に取った
それは彼が生まれる前に終わりを告げた平和な世界
一枚、一枚とページをめくり 読み進めたが何か足りないことに気づいた
『ここにいた記憶があるのに それが消されている』
記録者として生まれた際に切り取られた者
それは記憶とともに失われて それに関する疑問も感じなくなる
けれど彼はその本を手に取ってから不思議そうに何度も繰り返した
『《分裂した二つの国と天使》……どうしていないんだろう』
空白の時間と切り取られた空間 いたはずの登場人物達
『僕らはここにいた』 近くにいたもう一人の記録者が呟いた
二人の記録者は本を読み終えると 本を手にしたまま 旅に出た
十一人目の少女は戦争を止めるために降り立った
十二人目の少女は殺したくない命を切り
十三人目の少女は霊とともに旅に出て
十四人目の少女は異様な生物に守られて
十五人目の少女は世界の観測者と出会った
十六人目の少女は〈まじない〉と〈のろい〉に
十七人目の少女は壊れた世界の雨に触れて
十八人目の少女は“あれ”とともに笑って
十九人目の少女は“一つ目”の名前を叫んで
二十人目の少女は永遠の機械人形となった
そして
続く物語は世界の観測者のみならず、永遠の機械人形まで引き継がれていた
あらゆる本が埋まっていた棚に触れる一人の観測者がいた。しかし一冊抜き取られていることに気づいた彼はその本が何なのかわかった。そしてそれが必然であると理解した時、その本を探すことをやめた。
元々彼らの世界だ
出会うことも世界は理解していただろう
死してなお思い出したというのなら 真実を知るといい
思い通りにならなくても 彼らの能力なら変えられる
しかしそう呟いていたのを聞いていたかのように、世界の観測者に向けられたのは永遠の機械人形が手にしていた剣だった。
『変えることを避けたあなたがどうして』
「これは変えられない未来だ」
『許さない』
「そうだとしても君はその世界に渡ることが出来ない」
永遠の機械人形は剣をおろして、世界の観測者を睨みつけた後、下層の本棚の方へ飛んでいった。どうにかして渡る方法を模索しようとしているのだろうと思いながら、彼はそれを見ていた。
あの世界はおそらく 修正の概念がない
世界の観測者も永遠の機械人形も寄り付くことが出来ない世界
それに同じ存在が世界で交われば 良くないことが起きるのは目に見えている
ならば見届けるしかない しかし永遠の機械人形は許さないだろうが仕方がない
あの世界は修正の概念を必要としない世界
つまり彼も私もその世界に渡る権利がない
だからといって見過ごすことは出来ない
変わろうとしているのなら 止めなければ 消滅させなければ
「よい未来が紡がれればいいが……」
『あの人がそうしないなら私がするしかない』
いつの間にか永遠の機械人形は姿を消していた。諦めたのか方法を見つけたのかわからないが、その姿はなくなっていた。無理にでも世界を渡ろうとするなら、関わりのない世界も歪むとされている。だから確定している世界や未来を崩すなら、こちら側が大変になることを永遠の機械人形は知っているはずだが、少々心配になっていた。
一人残された世界の観測者はあの記録者達のことを考えていた。世界の観測者として必要な時間と空間の力をそれぞれ持つ二人。そんな能力を持つ彼らを何故神は記録者にしたのか意味不明だった。しかしあの本の存在を知った時、彼らはそのために存在するのだとわかった。あの世界に渡ることが出来るのは彼らだけで、その他の観測者も記録者も永遠の機械人形も受け入れられない。
彼らがあの世界と同じならば 時間と空間の能力にも合意がつく
修正の概念を受けていても同じならば 彼らなら動かせる
そう呟いた世界の観測者もいなくなった。誰もいなくなった本棚は静かになっていた。
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