短編小説っぽい何か(1~30)/それに関する説明つき
公開 2023/08/27 12:50
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▽短編小説1(2018/4/6)
結晶の光は未知を与えた。彼は自分の姿を犬に変えることが出来る力を手に入れた。自分の意志で変えることが出来る。しかし犬の間は人の言葉を喋ることが出来ない。
多くの人が力を持たず、腐敗していく中、彼は走った。どこか安全な場所へ。
人と犬の姿を使いながら探していた。
▽短編小説2(2018/4/6)
結晶の光は未知を与えた。彼は異様な手の感覚に襲われていた。自分の姿を知ることが出来ず、ただ周りはゾンビのような感じになっていた。
誰かが落とした鏡の破片が彼を映す。彼は人の形を残しながら、一部宇宙人になっていた。
こんなになっても助かりたい一心で、変な声が頭に響く中、歩き始めた。
▽短編小説3(2018/4/6)
結晶の光は未知を与えた。彼は幼馴染の彼女が触れた結晶によって、血が欲しくなった。
どうやら吸血鬼になったよう。曇り空のおかげで焼けることなく、目の前にいる彼女を抱き寄せて首すじを噛み付こうとした。
しかし吸血鬼に染まりたくない心がそれを止め、引き離すがまた欲が出る。
周りはゾンビだらけ。ここにいるのは危険。彼は彼女の手を引き、見つからないように遠くへ歩く。
▽短編小説4(2018/4/6)
結晶の光は未知を与えた。彼は誰にも見えない。透明人間というわけではないが、自分の意志関係なく、姿が消えてしまう。
腐った臭いが漂う中、ゾンビが共食いしている。音に反応してこっちに来るけれど、見えないから引き返してしまう。
誰かに見つけて欲しくて、枯れた道をひたすら歩いていた。
▽短編小説5(2018/4/6)
『地下に眠る結晶が地上に現れる時、正と負は決まるだろう』
本に記された記録の一文。誰もが知っていたが、信じていなかった。
しかし突如として現れた結晶を人々は自分のものとして取り合う。でも結晶はある少女を選び、その子に触れさせた。
取り合いをした人間には負を、それ以外に正を与えた。ほとんどは死かゾンビになった。
▽短編小説6(2018/4/6)
結晶の光は未知を与えた。触れた本人である彼女は何もなかった。たった一人の人間になった。
幼馴染の彼は吸血鬼になり、他に出会った人達は透明人間や犬、宇宙人という何かしらの力を持っていた。
彼女達が着いた傷一つない家には魔法使いが住んでいた。彼らも結晶の被害者らしい。
どうして結晶は現れて彼女に触れさせたのだろうか?
※短編小説1~6は一つの小説として書く予定でした。
▽短編小説7(2018/5/6)/雨の音色が全ていいものなら嫌と思わないのかな
酷い雨だった。服を貫く氷柱のような言葉の雨は血が流れても止まらなかった。
「助けて」と言っても傷を増やすだけだった。一時的に止んだとしてもすぐに怪我をする。
また曇ってきた。また雨が降る。
今日も生きていられるのかな。
それじゃまた明日
▽短編小説8(2018/5/10)/天秤にかけられた結晶は揺らいだまま変わらない
揺らぐ天秤は光と影を比べていた。新しい光を受け入れようとすれば、過去の影が重くのしかかった。
光は優しさと笑顔ばかりを見せて安心させるが、影はその度に未来の裏切りを見せた。
そうしているうちに光は私を見捨てた。それを待っていたかのように影は私を閉じ込めた。
出口のない真っ暗な空間に
▽短編小説9(2018/5/15)/油が浮いた水と澄んだ水、今見ているのは?
かすかに見えた光は偽物だった。裏切り者が集めた濁った光だった。
少しでも頑張ろうとしたのが馬鹿だった。また誰かが操り人形に戻った。
日に切り取られていく体達。繋がっているようでもうそこにはない。
足や手が他者の意思で動いて私は止まる。そして心を無くしてしまったら
涙を流すことさえ忘れたら私は
▽短編小説10(2018/5/25)/あなたが生きているのは人か、それとも人形か?
初めから操り人形だった。決められた運命に従って動いているだけだった。選択した未来は偶然ではなく必然で、死に方も決まっていた。
でもそれだけで幸せだった。例え誰かの物語の舞台で生きているのなら
▽短編小説11(2018/5/28)/いつかなくなる葉の色は人に似ている気がする
きれいに伸びていた木は切られた。自然に伸び過ぎた枝は他の木を邪魔した。
枝は切り落とされた。そして曲がらずまっすぐ伸ばすために空間を作った。
他の木は邪魔されずにただまっすぐ伸びて、緑の葉は生い茂っていた。
しかし木は枯れた。切り落とされた枝から菌が繁殖し、かつての緑はなかった。
※木=人
枝=選択肢
他の木=他人
菌=嘘、汚れた世界
かつての緑=何も知らない心
▽短編小説12(2018/6/3)/見えないあなたはどうして私を選んだの?
冷たい風が吹く度に手は震えていた。それを支えるように氷のような冷たい手が握っていた。
風の流れが誰もいない部屋に人を作る。握る手が強くなって感覚が麻痺する。
集まる欠片は手の中に溶けて氷の結晶になった。まだ集めてくる彼らは体を凍らせた。
※欠片=感情
結晶=心
彼らは=人、霊
▽短編小説13(2018/6/10)
前にいたのは溶けた人。一瞬で緑色になって他の人を噛む。そして噛まれた人は緑色になった。
ワカメのように伸びた手が首を絞める。仲間にしようと噛み付こうとする。
でも噛まれなかった。かわりに辺りは緑に染まっていた。
※「緑色の化け物」に続く物語になる
▽短編小説14(2018/6/10)
人狼ゲームが始まって占い師は頭を埋められ死んでいた。吊られたはずの狂人は真っ黒炭になり、霊能者は人狼に襲撃されて殺された。
人狼は2人。夜になった。銃声が聞こえた。扉から見えた人狼の目は狂気だった。
けれど人狼は2人とも現れなかった。
朝に残っていたのは村人になりすましていた狐だけだった。
▽短編小説15(12-①)(2018/6/10)/優しい紅い霊は温かさを与えた
凍ってしまう前に握られた手は温かい。紅い霊は氷を砕いて抱き寄せた。
けれど届く氷はすぐ体を凍らせる。すると紅い霊はマフラーを巻いた。
氷は少なくなっていく。足元に水溜りが出来た。
紅い霊は笑い消えた。マフラーと紅い向日葵を置いて
※氷=感情(主に負の方)
▽短編小説16(12-②)(2018/6/13)/冷淡な水の霊は心に氷柱を刺した
凍ってしまう前にいたのは水の霊だった。水の霊は氷を弾いていた。
こっちに近づいて凍っていた体の氷に手を触れると全て砕け散った。
「受け入れるのをやめなよ。全ての氷なんていらないからさ。紛い物でもいいじゃないか」
氷は水にならずに蒸発すると、水の霊は消えた。ただ水の霊の心は落ちていた。
※氷=感情
紛い物=偽物
▽短編小説17(2018/6/15)/迷子の青い霊は何かを探して彷徨う
「君はどうして生きているの?」
目の前に現れた青い霊はそう言った。
「知らない」って答えると「同じだね」と返ってきた。
「僕もわからない。今も死に場所を探しているから」
「霊なのに?」
「終わりを探していると言った方がいいかな」
青い霊はそう言い残して消えた。
何というか……うん
▽短編小説18(2018/6/17)/「もう一度、あの時に戻れますか?」と最初の少女は願った。
少女が生まれた時、そこには何もなかった。白紙の世界はあの人によって、風景や他の人が生まれた。
見ていた風景が終わりを告げた時、あの人は楽しそうだった。少女は幸せに満ちていた。
しかしあれから十年経ってあの人は何かに縛られていた。楽しさも自由も失ってしまったかのように苦しんでいた。
「どうか……好きだったあの頃を」
重ねられたノートの隅で少女は静かに願っていた。
※あの人=作者
「最初の人物と十年後の世界」に続く
▽短編小説19(2018/6/25)/偽物の言葉は闇に落ちて届かない
あの人は迷っている。過ぎ去った時間が何も変えられなかったように。
けれど私には何もできない。影に封じられた鎖は解(ほど)けない。
あの子も消えて私も出られない。影に伝わる声は届かない。
背中を押してくれる人が必要だってことに誰か気づいて。
それが私の願い
※私=赤い瞳の偽物
あの子=光の少女
影=影の青年
▽短編小説20(2018/7/1)/深い闇の中に落ちた少女の瞳は虚ろになっていた
光り輝いていた結晶は砕けた。深い闇の中に取り残されて、何もかも忘れて消えた。
代わりに砕けた結晶は闇の霊を作った。あの子の生まれ変わりとして。
「全てをなかったことにして……影があの人の光になろうとするなら、私が壊す」
共鳴するもう一つの結晶は影。
「まず、あれを殺さなきゃ」
そう言い、烏のような羽を残して飛び去った。
※あの子=私=光の少女(≠闇の霊)
結晶=感情や命そのもの
影=影の青年
▽短編小説21(2018/7/8)/切り裂くための選択肢は無慈悲に止められる
見えない霧隠れの森に風の霊はいた。
「また繰り返されるのか」
声に反応して振り返るとそこに灰の霊が座っていた。
「自由にすればいい。そいつの選択を阻(はば)まぬ程度に」
灰の霊は立ち上がり去ろうとすると何か思い出したかのように「青い霊は何もやっていないから……連れて来い」と言って消えた。
灰の霊が消えてすぐに別の気配がした。
「そこにいるのはあなたでしたか」と風の霊は振り返って虚ろな瞳の少女に言った。
※虚ろな瞳の少女=闇の霊(≠光の少女)
切り裂くための選択肢=風の霊
▽短編小説22(2018/7/15)/暗闇の奥で砕け散った鎖と紅い向日葵が咲いている
あの日、手を伸ばせなかったことに後悔した。自らの力を制御できずに暴走した結果、影の青年によって複数の鎖が私の行動を封印した。
あの子の苦しみはかつての私に似ている。光の代わりに闇を流したせいで何もなかったことにしようとしている。
あの子は闇に染まって消えた。影の青年はあの子を助けようといなくなった。私は封印されたまま何も出来ない。
ただ繋がれた生活は終わった。私に紅い向日葵をくれた霊が解いてくれたから。
※私=赤い瞳の鏡
あの子=光の少女(≠闇の霊)
紅い向日葵をくれた霊=優しい紅い霊
▽短編小説23(2018/7/21)/二人の少女は手を重ね、前を向く
私は愚かだった。自分のことばかり一生懸命で回りを感じ取れなかった。そう思えば、彼は全てを知っていたのかもしれない。
彼に光の少女のことを言われてから数日、「助け出す」と言い残していなくなった。昔ならそんなことさえしない人だったのに……。
だけど思い出したことがあった。少し前に狂気を感じた。あの時とは違う、ふんわり感を持っていた。それと同時に枯れていた紅い向日葵は元気を取り戻した。
『もう一回、やって(暴れて)みよう』
二つの声が重なり合い、目を合わせた。
※二つの声=二人の少女(赤い瞳の鏡と私)
彼=影の青年
▽短編小説24(2018/7/29)/消えゆく夏の日に悲しみの終わりを知る
その日は今日と同じくらい曇っていた。実際には灰色の雲が空を覆っていた。その雲は煙によって色がついた。さてその煙はどこから生まれた?
とある昼下がり、紅い霊が問いかけた。
「何かを燃やしていたから?」と私は答えた。
「ちょっとだけ違うね」と彼が空を見て続けた。
「その煙は炭から出ていた。色が残った食器と黒に染まらなかった血もあった」
それを聞いて何も言えずにいると
「昔の話をしよう。それが怖い話に変わっても構わないから」と彼は私を見て言った。
▽短編小説25(2018/8/5)/夏の眩む光は曇り空の黒い雨
死んでいた。あの場所にはいなかった。霊となり天に導かれようとした時、空に黒い何かが見えた。日は真上に来る前で、平行に並んでいるようにも見えた。
しかしそれが地上に落ちたと同時に、目を眩ませるほどの光を放った。光が収まり目を開ける頃には人の姿はなかった。触れた腕は千切れて落ち、地は灰に、空は曇り黒い雨が降っていた。
「僕は先の戦場で死んだ。だから詳しくはない。ただ……水の霊は知っているかもしれない。彼は生き延びて少しの間、人が死ぬのを見たらしい……話をしてくれるかわからないけど」
紅い霊が謝っていると、いきなり視界が遮断されて真っ暗になった。
「次は俺が引き継ぐから」
声が聞こえたけれど、顔に触れている冷たさで誰なのかわかった。
▽短編小説26(2018/8/9)/悲劇は終わりを迎えて、平和の祈りは届きますか?
空は雲っていた。地は灰と崩壊した建物の欠片が散乱していた。灰になりかけた肌色の腕があれの恐怖を物語っていた。
戦場で重症になり死を悟って倒れた。気づけば血生臭い肉の山の中にいた。それはかつて人として生きていたもの。燃やされる前に抜け出したが喉が渇いた。誰かが飲んでいた水は油が浮いて汚染されていた。喉を渇きを癒す水は死者を増やしていた。
足を引きずりながら病院についたがそこは地獄だった。かろうじて人の形を留めているもの、出てはいけない臓器や骨、どうやって話をしているのかわからない人など様々だった。
治療は受けたがもう手遅れだった。燃やされた方がよかったと思った。だけど後悔は……。
「長く生きていたかった。自分のやりたかったことを……ね。ただそれを知らない人もいる。あれの存在が悪いだけじゃ話は終わらない。今は狂わせた兵器が無くなることを願うよ」
彼は目を閉じた。何も言わずに私もそれをした。
答えは終わりを知らない。いつまでも……
▼短編小説26は水の霊の生前を改変したことによって無いものになっています。
(紅い霊と同じ軍人から生まれながら厄災を持つ少年に改変)
しかしその記録は茶の霊が保持する図書館に残っている。
▽短編小説27(2018/8/9)/誰からも求められない黄の霊は存在を呪う
彼はひとりぼっちだった。他の霊と関わりがなかったわけではないが一人だった。
青い霊が来て話し相手になっても、風の霊が来て天候を荒らしても、紅い霊が来て慰(なぐさ)められても彼の動く先にはいらない力があった。
ある日、森から離れたチューリップの花畑で目が合った少女は笑った。近づいて手に触れようとすると静電気が流れた。それが彼にとっていらない力だった。痛そうな顔を見せられて彼は離れた。
「僕のこと……嫌いですか?」
それが彼……黄の霊の記憶
▽短編小説28(2018/8/12)/自由だった灰の霊は楽しみを求めて引きずり込み誘う
それは一つの噂だった。『とある墓場で夜になると誰にも認識されなくなった人が霧の世界に導かれて死ぬ』というもの。
けれどこれはそんな噂がなかった頃の話。
墓で彷徨う霊と人を嫌った人の話。
霊に出会ったのはお盆で墓参りに来た時だった。家族と呼べた人は事故で亡くなり、親戚にたらい回しにされた彼は人が嫌いだった。信じられるのは小さい頃から見えた偽物の影。
その日も毎年のように一人だった。ただいつもと違うのは他の墓参りの人がいないこと。
「君は今日も一人だね」
振り返ると人がいた……いや、人じゃない。
「幽霊か」
「君の事は昔から知っていた。だから……」
触れることのできない彼の腕を霊は掴み、墓場の近くの森へと引きずり込んだ。
▽短編小説29(2018/8/19)/忘却した記録は時が経つ頃には
少女は写真を見ていた。だけど親戚に聞いてもその男の人の名前は分からなかった。
けれど残されていた箱の中の手紙でその人は一緒なのだと知った。
男がいなくなった墓に来た。夕方でも暑いからお盆なのに人がいない。
「君は彼を知っているようだ」
知らない声が頭に響いて墓を見た。
「あなたはおじさんを知っているの?」
「そうか……そんなに時が経ったのか。会いたいのならついてくるといい」
声の主には足がない。幽霊だと思った。怖いけれど会いたい気持ちが上回っていた。
「君のような人がいたら彼も……」
霧が濃くなる中、幽霊は呟いた。
▽短編小説30(2018/8/25)/失った名前は光と霧の交差点に
「ここなら彼に会える。待っていなさい」
幽霊は霧の道を歩き続け止まった。少女にそういうと霧の奥へ消えた。
少し待つと幽霊とともに人が現れた。
「君は彼に会いたかったのかい」
その姿は写真で見たものと変わらず、歳をとったのかわからなかった。
「はい……。――おじさんですね」
名前を呼ばれて彼は驚いていたが、すぐにその顔は安堵を見せた。
すると彼の体は光とともに消えようとしていた。少女はせめて抱き寄りたかったから行った。抱き寄せると彼は「ありがとう」と言い消えてしまった。
「……お前は一人ではなかったらしい。よかった……な」
そう幽霊はいうがどこか悲しそうな顔をした。
▼短編小説28~30は本編 霊の話との関係性はあまりありませんが、灰の霊が一人だった頃の話として記録されている。
結晶の光は未知を与えた。彼は自分の姿を犬に変えることが出来る力を手に入れた。自分の意志で変えることが出来る。しかし犬の間は人の言葉を喋ることが出来ない。
多くの人が力を持たず、腐敗していく中、彼は走った。どこか安全な場所へ。
人と犬の姿を使いながら探していた。
▽短編小説2(2018/4/6)
結晶の光は未知を与えた。彼は異様な手の感覚に襲われていた。自分の姿を知ることが出来ず、ただ周りはゾンビのような感じになっていた。
誰かが落とした鏡の破片が彼を映す。彼は人の形を残しながら、一部宇宙人になっていた。
こんなになっても助かりたい一心で、変な声が頭に響く中、歩き始めた。
▽短編小説3(2018/4/6)
結晶の光は未知を与えた。彼は幼馴染の彼女が触れた結晶によって、血が欲しくなった。
どうやら吸血鬼になったよう。曇り空のおかげで焼けることなく、目の前にいる彼女を抱き寄せて首すじを噛み付こうとした。
しかし吸血鬼に染まりたくない心がそれを止め、引き離すがまた欲が出る。
周りはゾンビだらけ。ここにいるのは危険。彼は彼女の手を引き、見つからないように遠くへ歩く。
▽短編小説4(2018/4/6)
結晶の光は未知を与えた。彼は誰にも見えない。透明人間というわけではないが、自分の意志関係なく、姿が消えてしまう。
腐った臭いが漂う中、ゾンビが共食いしている。音に反応してこっちに来るけれど、見えないから引き返してしまう。
誰かに見つけて欲しくて、枯れた道をひたすら歩いていた。
▽短編小説5(2018/4/6)
『地下に眠る結晶が地上に現れる時、正と負は決まるだろう』
本に記された記録の一文。誰もが知っていたが、信じていなかった。
しかし突如として現れた結晶を人々は自分のものとして取り合う。でも結晶はある少女を選び、その子に触れさせた。
取り合いをした人間には負を、それ以外に正を与えた。ほとんどは死かゾンビになった。
▽短編小説6(2018/4/6)
結晶の光は未知を与えた。触れた本人である彼女は何もなかった。たった一人の人間になった。
幼馴染の彼は吸血鬼になり、他に出会った人達は透明人間や犬、宇宙人という何かしらの力を持っていた。
彼女達が着いた傷一つない家には魔法使いが住んでいた。彼らも結晶の被害者らしい。
どうして結晶は現れて彼女に触れさせたのだろうか?
※短編小説1~6は一つの小説として書く予定でした。
▽短編小説7(2018/5/6)/雨の音色が全ていいものなら嫌と思わないのかな
酷い雨だった。服を貫く氷柱のような言葉の雨は血が流れても止まらなかった。
「助けて」と言っても傷を増やすだけだった。一時的に止んだとしてもすぐに怪我をする。
また曇ってきた。また雨が降る。
今日も生きていられるのかな。
それじゃまた明日
▽短編小説8(2018/5/10)/天秤にかけられた結晶は揺らいだまま変わらない
揺らぐ天秤は光と影を比べていた。新しい光を受け入れようとすれば、過去の影が重くのしかかった。
光は優しさと笑顔ばかりを見せて安心させるが、影はその度に未来の裏切りを見せた。
そうしているうちに光は私を見捨てた。それを待っていたかのように影は私を閉じ込めた。
出口のない真っ暗な空間に
▽短編小説9(2018/5/15)/油が浮いた水と澄んだ水、今見ているのは?
かすかに見えた光は偽物だった。裏切り者が集めた濁った光だった。
少しでも頑張ろうとしたのが馬鹿だった。また誰かが操り人形に戻った。
日に切り取られていく体達。繋がっているようでもうそこにはない。
足や手が他者の意思で動いて私は止まる。そして心を無くしてしまったら
涙を流すことさえ忘れたら私は
▽短編小説10(2018/5/25)/あなたが生きているのは人か、それとも人形か?
初めから操り人形だった。決められた運命に従って動いているだけだった。選択した未来は偶然ではなく必然で、死に方も決まっていた。
でもそれだけで幸せだった。例え誰かの物語の舞台で生きているのなら
▽短編小説11(2018/5/28)/いつかなくなる葉の色は人に似ている気がする
きれいに伸びていた木は切られた。自然に伸び過ぎた枝は他の木を邪魔した。
枝は切り落とされた。そして曲がらずまっすぐ伸ばすために空間を作った。
他の木は邪魔されずにただまっすぐ伸びて、緑の葉は生い茂っていた。
しかし木は枯れた。切り落とされた枝から菌が繁殖し、かつての緑はなかった。
※木=人
枝=選択肢
他の木=他人
菌=嘘、汚れた世界
かつての緑=何も知らない心
▽短編小説12(2018/6/3)/見えないあなたはどうして私を選んだの?
冷たい風が吹く度に手は震えていた。それを支えるように氷のような冷たい手が握っていた。
風の流れが誰もいない部屋に人を作る。握る手が強くなって感覚が麻痺する。
集まる欠片は手の中に溶けて氷の結晶になった。まだ集めてくる彼らは体を凍らせた。
※欠片=感情
結晶=心
彼らは=人、霊
▽短編小説13(2018/6/10)
前にいたのは溶けた人。一瞬で緑色になって他の人を噛む。そして噛まれた人は緑色になった。
ワカメのように伸びた手が首を絞める。仲間にしようと噛み付こうとする。
でも噛まれなかった。かわりに辺りは緑に染まっていた。
※「緑色の化け物」に続く物語になる
▽短編小説14(2018/6/10)
人狼ゲームが始まって占い師は頭を埋められ死んでいた。吊られたはずの狂人は真っ黒炭になり、霊能者は人狼に襲撃されて殺された。
人狼は2人。夜になった。銃声が聞こえた。扉から見えた人狼の目は狂気だった。
けれど人狼は2人とも現れなかった。
朝に残っていたのは村人になりすましていた狐だけだった。
▽短編小説15(12-①)(2018/6/10)/優しい紅い霊は温かさを与えた
凍ってしまう前に握られた手は温かい。紅い霊は氷を砕いて抱き寄せた。
けれど届く氷はすぐ体を凍らせる。すると紅い霊はマフラーを巻いた。
氷は少なくなっていく。足元に水溜りが出来た。
紅い霊は笑い消えた。マフラーと紅い向日葵を置いて
※氷=感情(主に負の方)
▽短編小説16(12-②)(2018/6/13)/冷淡な水の霊は心に氷柱を刺した
凍ってしまう前にいたのは水の霊だった。水の霊は氷を弾いていた。
こっちに近づいて凍っていた体の氷に手を触れると全て砕け散った。
「受け入れるのをやめなよ。全ての氷なんていらないからさ。紛い物でもいいじゃないか」
氷は水にならずに蒸発すると、水の霊は消えた。ただ水の霊の心は落ちていた。
※氷=感情
紛い物=偽物
▽短編小説17(2018/6/15)/迷子の青い霊は何かを探して彷徨う
「君はどうして生きているの?」
目の前に現れた青い霊はそう言った。
「知らない」って答えると「同じだね」と返ってきた。
「僕もわからない。今も死に場所を探しているから」
「霊なのに?」
「終わりを探していると言った方がいいかな」
青い霊はそう言い残して消えた。
何というか……うん
▽短編小説18(2018/6/17)/「もう一度、あの時に戻れますか?」と最初の少女は願った。
少女が生まれた時、そこには何もなかった。白紙の世界はあの人によって、風景や他の人が生まれた。
見ていた風景が終わりを告げた時、あの人は楽しそうだった。少女は幸せに満ちていた。
しかしあれから十年経ってあの人は何かに縛られていた。楽しさも自由も失ってしまったかのように苦しんでいた。
「どうか……好きだったあの頃を」
重ねられたノートの隅で少女は静かに願っていた。
※あの人=作者
「最初の人物と十年後の世界」に続く
▽短編小説19(2018/6/25)/偽物の言葉は闇に落ちて届かない
あの人は迷っている。過ぎ去った時間が何も変えられなかったように。
けれど私には何もできない。影に封じられた鎖は解(ほど)けない。
あの子も消えて私も出られない。影に伝わる声は届かない。
背中を押してくれる人が必要だってことに誰か気づいて。
それが私の願い
※私=赤い瞳の偽物
あの子=光の少女
影=影の青年
▽短編小説20(2018/7/1)/深い闇の中に落ちた少女の瞳は虚ろになっていた
光り輝いていた結晶は砕けた。深い闇の中に取り残されて、何もかも忘れて消えた。
代わりに砕けた結晶は闇の霊を作った。あの子の生まれ変わりとして。
「全てをなかったことにして……影があの人の光になろうとするなら、私が壊す」
共鳴するもう一つの結晶は影。
「まず、あれを殺さなきゃ」
そう言い、烏のような羽を残して飛び去った。
※あの子=私=光の少女(≠闇の霊)
結晶=感情や命そのもの
影=影の青年
▽短編小説21(2018/7/8)/切り裂くための選択肢は無慈悲に止められる
見えない霧隠れの森に風の霊はいた。
「また繰り返されるのか」
声に反応して振り返るとそこに灰の霊が座っていた。
「自由にすればいい。そいつの選択を阻(はば)まぬ程度に」
灰の霊は立ち上がり去ろうとすると何か思い出したかのように「青い霊は何もやっていないから……連れて来い」と言って消えた。
灰の霊が消えてすぐに別の気配がした。
「そこにいるのはあなたでしたか」と風の霊は振り返って虚ろな瞳の少女に言った。
※虚ろな瞳の少女=闇の霊(≠光の少女)
切り裂くための選択肢=風の霊
▽短編小説22(2018/7/15)/暗闇の奥で砕け散った鎖と紅い向日葵が咲いている
あの日、手を伸ばせなかったことに後悔した。自らの力を制御できずに暴走した結果、影の青年によって複数の鎖が私の行動を封印した。
あの子の苦しみはかつての私に似ている。光の代わりに闇を流したせいで何もなかったことにしようとしている。
あの子は闇に染まって消えた。影の青年はあの子を助けようといなくなった。私は封印されたまま何も出来ない。
ただ繋がれた生活は終わった。私に紅い向日葵をくれた霊が解いてくれたから。
※私=赤い瞳の鏡
あの子=光の少女(≠闇の霊)
紅い向日葵をくれた霊=優しい紅い霊
▽短編小説23(2018/7/21)/二人の少女は手を重ね、前を向く
私は愚かだった。自分のことばかり一生懸命で回りを感じ取れなかった。そう思えば、彼は全てを知っていたのかもしれない。
彼に光の少女のことを言われてから数日、「助け出す」と言い残していなくなった。昔ならそんなことさえしない人だったのに……。
だけど思い出したことがあった。少し前に狂気を感じた。あの時とは違う、ふんわり感を持っていた。それと同時に枯れていた紅い向日葵は元気を取り戻した。
『もう一回、やって(暴れて)みよう』
二つの声が重なり合い、目を合わせた。
※二つの声=二人の少女(赤い瞳の鏡と私)
彼=影の青年
▽短編小説24(2018/7/29)/消えゆく夏の日に悲しみの終わりを知る
その日は今日と同じくらい曇っていた。実際には灰色の雲が空を覆っていた。その雲は煙によって色がついた。さてその煙はどこから生まれた?
とある昼下がり、紅い霊が問いかけた。
「何かを燃やしていたから?」と私は答えた。
「ちょっとだけ違うね」と彼が空を見て続けた。
「その煙は炭から出ていた。色が残った食器と黒に染まらなかった血もあった」
それを聞いて何も言えずにいると
「昔の話をしよう。それが怖い話に変わっても構わないから」と彼は私を見て言った。
▽短編小説25(2018/8/5)/夏の眩む光は曇り空の黒い雨
死んでいた。あの場所にはいなかった。霊となり天に導かれようとした時、空に黒い何かが見えた。日は真上に来る前で、平行に並んでいるようにも見えた。
しかしそれが地上に落ちたと同時に、目を眩ませるほどの光を放った。光が収まり目を開ける頃には人の姿はなかった。触れた腕は千切れて落ち、地は灰に、空は曇り黒い雨が降っていた。
「僕は先の戦場で死んだ。だから詳しくはない。ただ……水の霊は知っているかもしれない。彼は生き延びて少しの間、人が死ぬのを見たらしい……話をしてくれるかわからないけど」
紅い霊が謝っていると、いきなり視界が遮断されて真っ暗になった。
「次は俺が引き継ぐから」
声が聞こえたけれど、顔に触れている冷たさで誰なのかわかった。
▽短編小説26(2018/8/9)/悲劇は終わりを迎えて、平和の祈りは届きますか?
空は雲っていた。地は灰と崩壊した建物の欠片が散乱していた。灰になりかけた肌色の腕があれの恐怖を物語っていた。
戦場で重症になり死を悟って倒れた。気づけば血生臭い肉の山の中にいた。それはかつて人として生きていたもの。燃やされる前に抜け出したが喉が渇いた。誰かが飲んでいた水は油が浮いて汚染されていた。喉を渇きを癒す水は死者を増やしていた。
足を引きずりながら病院についたがそこは地獄だった。かろうじて人の形を留めているもの、出てはいけない臓器や骨、どうやって話をしているのかわからない人など様々だった。
治療は受けたがもう手遅れだった。燃やされた方がよかったと思った。だけど後悔は……。
「長く生きていたかった。自分のやりたかったことを……ね。ただそれを知らない人もいる。あれの存在が悪いだけじゃ話は終わらない。今は狂わせた兵器が無くなることを願うよ」
彼は目を閉じた。何も言わずに私もそれをした。
答えは終わりを知らない。いつまでも……
▼短編小説26は水の霊の生前を改変したことによって無いものになっています。
(紅い霊と同じ軍人から生まれながら厄災を持つ少年に改変)
しかしその記録は茶の霊が保持する図書館に残っている。
▽短編小説27(2018/8/9)/誰からも求められない黄の霊は存在を呪う
彼はひとりぼっちだった。他の霊と関わりがなかったわけではないが一人だった。
青い霊が来て話し相手になっても、風の霊が来て天候を荒らしても、紅い霊が来て慰(なぐさ)められても彼の動く先にはいらない力があった。
ある日、森から離れたチューリップの花畑で目が合った少女は笑った。近づいて手に触れようとすると静電気が流れた。それが彼にとっていらない力だった。痛そうな顔を見せられて彼は離れた。
「僕のこと……嫌いですか?」
それが彼……黄の霊の記憶
▽短編小説28(2018/8/12)/自由だった灰の霊は楽しみを求めて引きずり込み誘う
それは一つの噂だった。『とある墓場で夜になると誰にも認識されなくなった人が霧の世界に導かれて死ぬ』というもの。
けれどこれはそんな噂がなかった頃の話。
墓で彷徨う霊と人を嫌った人の話。
霊に出会ったのはお盆で墓参りに来た時だった。家族と呼べた人は事故で亡くなり、親戚にたらい回しにされた彼は人が嫌いだった。信じられるのは小さい頃から見えた偽物の影。
その日も毎年のように一人だった。ただいつもと違うのは他の墓参りの人がいないこと。
「君は今日も一人だね」
振り返ると人がいた……いや、人じゃない。
「幽霊か」
「君の事は昔から知っていた。だから……」
触れることのできない彼の腕を霊は掴み、墓場の近くの森へと引きずり込んだ。
▽短編小説29(2018/8/19)/忘却した記録は時が経つ頃には
少女は写真を見ていた。だけど親戚に聞いてもその男の人の名前は分からなかった。
けれど残されていた箱の中の手紙でその人は一緒なのだと知った。
男がいなくなった墓に来た。夕方でも暑いからお盆なのに人がいない。
「君は彼を知っているようだ」
知らない声が頭に響いて墓を見た。
「あなたはおじさんを知っているの?」
「そうか……そんなに時が経ったのか。会いたいのならついてくるといい」
声の主には足がない。幽霊だと思った。怖いけれど会いたい気持ちが上回っていた。
「君のような人がいたら彼も……」
霧が濃くなる中、幽霊は呟いた。
▽短編小説30(2018/8/25)/失った名前は光と霧の交差点に
「ここなら彼に会える。待っていなさい」
幽霊は霧の道を歩き続け止まった。少女にそういうと霧の奥へ消えた。
少し待つと幽霊とともに人が現れた。
「君は彼に会いたかったのかい」
その姿は写真で見たものと変わらず、歳をとったのかわからなかった。
「はい……。――おじさんですね」
名前を呼ばれて彼は驚いていたが、すぐにその顔は安堵を見せた。
すると彼の体は光とともに消えようとしていた。少女はせめて抱き寄りたかったから行った。抱き寄せると彼は「ありがとう」と言い消えてしまった。
「……お前は一人ではなかったらしい。よかった……な」
そう幽霊はいうがどこか悲しそうな顔をした。
▼短編小説28~30は本編 霊の話との関係性はあまりありませんが、灰の霊が一人だった頃の話として記録されている。
桜詩凛の読みは「さくらしりん」で、由来は二つ。一つは元から使っていた桜子凛花が長いと思ったため、短くするために「桜」と「凛」を取り、その間に当時から書いていた「詩」をいれたもの。もう一つは『複雑な生き方をする少女』に登場する「さくら、黒蛇、シラ、理夏(りか)、ラナン」の頭文字を取ったものとなってい…
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