霊の話 番外編 青い霊編(4/4)
公開 2023/08/26 13:39
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(空白)

 夕暮れの空は数時間も立たずに暗くなり、教室の電気をつけた。その明るさでひよがトゥーリのつけているネックレスの白き花に血飛沫の様な柄がついていてびっくりしていたが、ナイフを手にしていることに対しては何も気にしていなかった。
「そろそろか」
「作戦はあれでいいよね」
「私が囮になって、影の手が摑まえる」
「……」
「フィークさん?」
「ひよ。君はあの場にいない方がいい」
「なんでよ……まぁ、分かっていることだけど」
「フィーク、お前がいてやればいい。さくらの近くには俺がいく」
「お前が危険なことを提案するとは……いつもなら切り捨てるはず」
「本当は邪魔だからいらないが、万が一、何か起きれば次狙われるのは分かっているだろう」
「ああ、だが」
「それでいいな」
「おい」
「もう時間がないんだ。これ以上死なれても困る。お前だってそうだろう!」
「……」
「ちょっと、こんな時に喧嘩しないでよ。ねぇ、さくらもなんか言ってよ」
「え……えっと、私はトゥーリさんの考えに賛成だよ。でも一つだけ言うなら、この状況から奪還したいのは誰だって一緒ってことだよ。だから……」
「わかっている。このまま、死を誘い続け闇に堕ちてしまったら、メーシェの体も心もどうなってしまうかわからない。だから慎重にことを進めなければいけないと思っていた」
「じゃあ、俺はもう行くから」
「どこにいるか分かっているのか?」
「わからない。だが固まっている所を狙うとは思えない。フィークとひよは近くにいて、さくらは……」
「私は屋上に行って見るよ。階段は影の手達に助けてもらうから一人で大丈夫」
「鍵は? いつも閉まっているよね」
「さっき、職員室に行って借りてきたの。もしものために、と思って」
「なら俺は屋上の扉の近くにはいよう」
「……私はフィークとともにここにいるね。だからトゥーリ、さくらを絶対守ってよ!」
「言われなくとも」
「それじゃ、行ってくるね」
 そう言って、さくらとトゥーリは教室を出て屋上へ向かった。
「……心配だろうな」
「うん……死なないからって言って絶対無理するんだから……あの時だってそうだった」
「様子を見に行こうとはするなよ」
「どうしてそんなこと言うの!」
「徘徊している幽霊の色が黒くなっている気がして」
「えっ、そうなの? ……幽霊は見えるけどわからない」
「おそらく動き出したかもしれない。……メーシェ」
 それは小さく、フィークの名を呼ぶ声は呟く程度になっていた。フィークのおかげかその幽霊が教室に入ってくることはないが、さくらとトゥーリが向かった屋上へ引き寄せられたかのように進んでいた。


 暗き夜、その姿現れし、最後の時、屋上の柵に手をかける紺の霊。その瞳に光はなく、どこまでも続く闇だけだった。屋上へ繋がる階段の音、複数の気配が一瞬にして二つになった。しかしすぐに一つになり、もう一つは隠れた。待ちわびた彼は扉が開いた時、少女が入り終わった扉をすぐに閉じた。
「あなたがメーシェさん」
 車椅子に乗った少女が彼に問いかけたが、彼はその問いを放棄して話し始める。
「僕は君を待っていた。一緒に死ぬのを」
「私は」
「わかっているよ。君が僕の支配にかからないことも……でも、僕はそれでもいい。その命がどれだけ呪われていようとも、僕は君を幸せにするよ」
「私は死なないから」
「そんなこと言って……だけどこれで最後なんだ。僕の願いを叶えるためには君の命が必要だから」
 紺の霊 メーシェは手に持っていた紙を破って空へ捨てると、その紙きれから黒い靄が現れて、人型になってさくらを襲おうとしていた。
「本当は攻撃なんてしたくなかった。でも敵対していることは気づいていた。だから力づくでもその命を手に入れる。いけ! 死に誘い、僕の願いの糧となれ」
 そう言って、メーシェはその人型達に命令して、車椅子に乗って動くことが出来ないさくらは影の手達にそれを防いでもらおうとした。だがそれを知っていたのか、メーシェは笑っている。そして一人の人型が影の手達を潜り抜けて、さくらに触れようとした時、その人型は霧のように消えてしまった。
「……邪魔をするな。いるとは思っていたけど」
「やはり気付いていたか」
「風の霊 トゥーリ……悪霊殺し」
「力に溺れた愚か者め……あんな弱い迷い子はどこいった?」
「そんな僕はここにはいない」
「トゥーリ!」
「安心しろ……とは言えないが、あの人型はこのナイフで消せるらしい」
「影の手達が通用しないの」
「そうらしいな」
「どうしたらいいの?」
「僕を捕まえようとするなんて無理なんだよ。それに邪魔者は排除しなきゃね」
 二人の会話を遮るようにメーシェは言い、消えたはずの人型は悪霊として生まれ変わって、再び襲い掛かった。それもさっきより多くなり、夜空の藍色よりも深い闇のように二人を囲み始めた。影の手は通用せず、トゥーリも応戦するが、あまりにも数が多すぎてさくらに近づく者は多くなっていたが、十字架の結界に阻まれて完全に触れることはなかった。その結界さえも破壊しようとしていた。
「さぁ、諦めなよ。そして僕と一緒に死んでよ」
「……使ってもいいの?」
 さくらの問いは誰かに向けられて、メーシェの声は聞こえていなかった。それに気づいたメーシェは怒りを覚えて、作られた悪霊とともにさくらの方へ近づいていた。
「僕の話を聞いて……!」
「闇を払い その祈りは彼のもとへ」
 そうさくらが呟き、彼女の両手は合掌して口元へ、目は閉じられて一粒の涙は落ちた。浄化の力が発動して、少しずつその範囲は広くなっていた。悪霊達はそれに抗えず浄化されて消えていた。メーシェはそれに気づいて離れて、屋上の柵を越えようとしたが、透明な壁に阻まれてそれ以上いけなかった。悪霊の減少とともにトゥーリはナイフが光っていることに気づいた。さくらが使用した浄化の力によって、その祈りが悪霊殺しのナイフを一時的に浄化のナイフに変えて、その魂が傷つかないようにしていたようだった。そしてそれと一緒に悪霊達につけられていた傷も治癒されていた。
「ありがとう、さくら。……メーシェ! お前は負けだ」
「負け? まだ決まってない! 僕は願いを叶えるんだ……すべてはあの子のために。だから僕は……」

《助けてくれ》

「……やっと聞こえた」
 そう呟きつつ、さくらは目を開けて、合掌していた手をおろして、右手をメーシェの方へ差し伸ばした。メーシェは恐怖と混乱でその考えを整理することが出来なくなっていた。完全な闇に支配されていたわけではなかったとトゥーリは理解して、悪霊達を浄化のナイフで消し去って、メーシェのもとへたどり着いて拘束して背後から首元につきつけた。
「離せ! 僕は」
「さくら! やつの手を」
「うん。……もう大丈夫だからね」
 メーシェの手を引いて、さくらの側に座らせた時、浄化の光に紛れて黒い棘のようなものが彼女を傷つけた。体から血が出ているにもかかわらず、彼女はそんなことお構いなしにメーシェを抱きしめた。
「あなたの闇はすべて私が受け止める」
 メーシェの体から溢れた闇がさくらの方へ引き寄せられて、彼は元の姿を取り戻していたが、それを非難した本来の闇が現れて、さくらを飲み込もうとしていた。しかしその行為を止めて、小さな女の子の姿となった闇は何かを感じ取ったのか、この世界から逃げ出そうとしていた。
「逃がしはしない』
 さくらの片目が赤に染まり、小さな女の子をとらえた時、その本来の闇も彼女の中に取り込まれて消えた。


 泣き崩れる青い霊、白い空間に近づく少女の姿。好奇心が招いた願いの代償は仲間を傷つけて、大量の死を作り出し、多くの人に迷惑をかけた。
「大丈夫」
「……何が大丈夫だよ。僕のせいで多くの人が死んで、何もかも巻き込んで……もう」
「いらないなんて言わないの」
 少女は青い霊を抱き寄せた。青い霊は止まっていた涙を再び流して、少女は背中をトントンしてあげた。
「男の子なんだから泣かないの」
「だって……僕は」
「そうだね。でもよかった。安心しているの」
「どうして怒らないの?」
「私には怒る権利がないから……それにあなたは忘れてしまうから」
「えっ?」
「私は浄化の力が生んだだけの存在だから。この力の終わりは私の終わり」
「消えてしまうの……か」
「だから……みんなを」
 その声を聞いた時、白い空間は青い霊さえも飲み込んで何も見えなくなった。それが現実に意識が戻ったという予兆だった。


 さくらがメーシェを抱き寄せて、すべての闇が彼女の体の中に取り込まれた後、車椅子は衝撃に耐え切れず破壊された。影の手はその姿を維持できずに、彼女の影に戻ったまま、その体を支えるものがなくなり、メーシェの下敷きとなって倒れようとした時、少し背の高い誰かがしゃがんで彼女の体を支えた。
「……もう少し早ければ」
「誰だ?」
「名はあえて言わないが、そうだな……守護者とでも言っておくか。さくらを助けてくれてありがとう」
「俺は……それよりも治療が」
「あー、大丈夫だ。魔力切れで治癒できないだけだから、こうやって魔力を流してやれば」
 守護者と名乗った男はさくらの手に自分の手を重ねて、目を閉じて数秒経ち、ゆっくりと開けた。すると彼女の影に戻っていた影の手が少しずつ回復して、彼女の体を支え始めた。そして体から流れていた血は止まり、外傷はすべて治癒された。
「もうすぐにでも目を覚ますだろう」
 そう言って、その男は立ち上がり、彼女の体は完全に影の手達によって支えられた。男が立ち去ろうとしているのをトゥーリは止めようとしたが、夜が明けようとしていた空に現れた影が男を隠してそのまま消えてしまった。
「……う」
 先に目覚めたのは青い霊 メーシェの方だった。暗闇の隙間から光が入り、背中に謎の手の感覚があって、重い体をゆっくり動かしてみると、目の前に眠っている少女がいた。そして周りはコンクリートにしみ込んだ血液が黒くなっていた。
「なんだこれ……僕は」
「起きたか、メーシェ」
「ひぇ」
「お前のせいでどれだけの人間が巻き込まれたと思っている!」
「……う、ごめんなさい」
「ごめんなさいで済むか!」
「わかっているよ……」
「……喧嘩しないの、やっと戻ってきたのに」
 その声を聞いてトゥーリは安堵と同時に少し涙が出そうになって目を伏せた。メーシェは目覚めたさくらを見て、よくわからない感情がこみあげて、涙があふれていた。
「僕は……僕は」
「よかった……」
 しかしその声は弱々しく、影の手が支えているにもかかわらず彼女の体はふらついていた。涙を止めたトゥーリはさくらに寄り添って体を支えた。
「ちょっとまだ」
「死んだかと思った……」
「私は……死なないよ」
「そうじゃない。不安だったんだよ。未熟すぎた俺の力ではどうすることも出来なかった」
「そんなことない。トゥーリさんのおかげでメーシェさんを助けたの。やっぱり私一人では……」
「さくら!」
 トゥーリの叫びにメーシェは驚くが、さくらは再び目を閉じて、影の手達は支えることを放棄してしまった。トゥーリによって支えられた体は異常に重く、さっきまでメーシェに憑りついていた闇と同じ気配があった。浄化しきれていないのか、と思い、ふとナイフを見た。付与された浄化の力は失われつつあったが、まだ少し残っていた。
 影の手だったものはまとまり、小さな女の子をおぼろげながら作り出した。かすかに残った闇がさくらの所有権を奪おうとしていた。しかしそれは失敗した。無意識のまま投げられたナイフは頭を貫き、闇は悲鳴を上げて消えた。頭を貫いたナイフは闇が消えてコンクリートの上に落ちた。それは浄化の力を失い、悪霊殺しのナイフへと戻っていた。
 だがさくらの意識は戻らず、トゥーリは彼女の体を抱えて屋上から飛び降りた。風の軌道を操って、ゆらゆらと花びらのように落ちていくトゥーリをまねして、メーシェが屋上から飛び降りると加速して砂埃を起こすほどの大きな音を立てて落ちた。その砂埃を避けてトゥーリは着地し、メーシェを置いて建物に入り、フィークとひよのもとへ向かった。
 着地による痛みはないが、疑似的に脳が痛いと錯覚していた。メーシェは砂埃の中、起き上がってトゥーリを追おうとしたらもういなくて、あたふたしていると何かの足音がして、こっちだよ、と呼ぶようにメーシェを引っ張っていた。少し怖かったが、冷たい闇ではなく、温かな光が彼の手を掴んでいた。

 メーシェが連れられて辿り着いた頃にはさくらはベッドで寝かされて、それをトゥーリとフィーク、それからもう一人少女が見ていた。
「……あっ」
「やっときたか」
 フィークがメーシェの方を見て、彼は声を出してしまったことをすぐに後悔した。ある程度のことはトゥーリから聞いたらしく、こっぴどく怒られたが、ため息をついていた。
「まったく……お前のやったことは許されないし、罪が消えることはないだろう。だがお前が死に導いた人間達の魂は救われたそうだ」
「えっ?」
「俺が切り裂いた悪霊達……さくらの浄化の力で消えたと思われていた者達だけだがな」
「だからすべてではないけど……さくらが目覚めたら感謝しろよ」
「う、うん」
「とは言ってもあの人曰く、数日は目覚めないらしいが。それにこの世界から霧の森へ戻る方法も探さないといけない。闇が消えたことで道も消えてしまっただろうし」
「それなら天界から戻ればいい。天界ならあらゆる世界に繋がっている」
「いいのか?」
「そもそもその方法しかないと思うが? 俺は報告のために結局は行かなきゃいけないからな」
「ありがとう……そうさせてもらうよ」
 ひとまずさくらが目覚めるまで、三人の霊はこの世界に滞在することとなった。何かできることはないかと尋ねてみたが、メーシェ以外の二人ばかりに頼みごとが来て、彼は眠るさくらのそばにいた。


 繰り返す夜の空 すべてが終わった屋上の柵に一人の少年が座っていた
 彼は死の香りがしなくなったのに気づいて 何もなかった空には星が輝いていた


 数日後、あの人が言ったようにさくらは目を覚ましたらしいが、メーシェもその場から離れていて誰もいなかった。最初に気づいたのはひよで、その後、三人の霊に伝えられて戻ってきた。
「……心配かけてごめんね。もう大丈夫だから」
 そう言いながら新しく作ってもらった車椅子に座って、三人の霊に話しかけた。
「あの……」
「メーシェさん?」
「僕が犯した罪……多くの人を死に追いやり殺しました。その……」
「もしかして浄化の魂の話? それだったら私じゃなくてトゥーリさんに。私は力を貸しただけだから」
「だが元はさくらの力だろうが」
「そうだけど……私だけじゃ、上手くできなかったから。それにこれはみんなのおかげなんだよ。みんなの力で成し遂げた結果なんだよ」
「だったら私は何もやってないね」
「そんなことないよ。ひよが試作品の指輪を渡してくれなかったら、フィークさんもトゥーリさんも……それにメーシェさんも見えなかったんだから」
「……そっか。普段からそういうもの見えているから忘れていた」
「みんなの力か」
「そうとらえるのも悪くないな」
「じゃあ……僕は」
「メーシェさんは……」
「何もない」
 考えているさくらの言葉を遮るようにトゥーリが切った。メーシェはしょんぼりとしていたが、仕方がないと思っていた。

 そして別れの時は早く、三人の霊は学校の正面玄関にいた。そこにさくらとひよが見送りに来た。
「もう帰らなければならないの? もっと長くいたらいいのに」
「俺は天界に報告しないといけないし、フィークやメーシェは霧の森から離れるわけにはいかないんだ」
「離れるわけにはっていうより、メーシェがここにいてはいけないんだ」
「フィークは許可がなくても霧の森から出られるけど、僕はそれが出来ないから」
「そうなんだ」
「ひよ……空が傾く前に送り出さないと……今日は虹がかかっているんだよね」
「ああ、だから今日を逃すと次いつになるかわからない」
「寂しくなるね」
「……俺は来るかもしれないな」
「えっ?」
「もし悪霊殺しの依頼がこの世界にあったら……な。この世界の入口が出来てしまったからには、また何か起きてもおかしくない。二人はどうか知らないけど」
「……そうだね。でもさよならはしないかな」
「私もなんだか会える気がするの。だからその時はあの話……聞かせて」
「……わかった」
「僕は! 許可が下りるようになったら絶対に行くから!」
「うん」
 そう言い、三人はトゥーリの風の力で浮いて、空にかかる虹の方へ飛んでいった、


 それから風の霊 トゥーリは紅い霊 フィークと青い霊 メーシェを連れて天界に戻り、道案内の過程で依頼してきた死神に遭遇した。
「その様子だと終わったようだね」
「依頼は遂行しました。闇は消え、死を誘う悪霊は……あいつだったわけですが」
 そう言ってメーシェを指差し、死神は頷いていた。だか近づくこともせず、トゥーリに何かを渡すといなくなってしまった。
「報酬はこれだけか……まぁ、あとでもらえるだろう。天界もまだ忙しそうだし」
「トゥーリ! ここからなら霧の森までの道は分かるから」
「そうか……じゃあ、ここまでだな。また何かあったら……灰の霊経由で依頼してくれ」
「えっ」
「驚くこともないだろう。俺達は仲間だから」
「仲間……」
「お前達はそう思っていなかったのか?」
「そうじゃないが」
「はっきりいってメーシェ、お前を許したわけじゃない。だが……まぁ、今回の件は……じゃあな」
 メーシェは怖がりながらトゥーリの言葉を聞いていたが、答えをあやふやにされて彼は風のようにいなくなってしまった。フィークは相変わらずと思い、メーシェは答えを聞けずに固まっていたが、フィークに体を押されて、強制的に歩かされた。


 霧の森 色つき霊達が住まう人々を行方不明にしてしまう森。二人はやっとの思いで辿り着き、すぐに灰の霊のもとへ向かったが、メーシェはすぐに追い出されてフィークだけが残った。
「よく戻ってきた」
「トゥーリのおかげで天界経由ではありましたが、戻ってこれました」
「トゥーリにあったのか。それはよかった」
「メーシェは連れ帰りましたよ。それにしてもすぐに追い出してよかったんですか?」
「あいつは……なんとなくだが記憶がおぼろげなのではないか?」
「そんな気がしてなりません」
「だから厳しい罰を与えることはせん。だが多くの命を奪ったのだから……今後も監視は続けてくれ」
「わ……え?」
「やってくれるだろう」
「……わかりました。それはそうと森に蔓延っていた闇はどうなりましたか」
「知らないうちに浄化されていたが」
「そうでしたか」
「メーシェが本来の姿を取り戻したことで、闇もいなくなってしまったのか、それとも……フィークは知っているのだろう」
「はい……ただ話せば長くなりますが」
「かまわん。新しいお茶が入ったのでね。それを飲みながらでも聞こうじゃないか」
「……そのお茶、入れてきますね」
 そう言い、フィークはお茶を入れて、灰の霊と今回の事件について語り始めた。それは長く、けれど不思議な体験であった。それを聞いていた灰の霊は頷きながら、何かメモを取っていた。
桜詩凛の読みは「さくらしりん」で、由来は二つ。一つは元から使っていた桜子凛花が長いと思ったため、短くするために「桜」と「凛」を取り、その間に当時から書いていた「詩」をいれたもの。もう一つは『複雑な生き方をする少女』に登場する「さくら、黒蛇、シラ、理夏(りか)、ラナン」の頭文字を取ったものとなってい…
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