霊の話 番外編 青い霊編(3/4)
公開 2023/08/26 13:34
最終更新
2023/08/26 23:04
(空白)
ひよとフィークは長い廊下を歩いていた。相変わらず人の気配は全くないが、それについてひよはいつも通りと言わんばかりに気にしていなかったが、フィークはやはり異常だと思っていた。そう考えながら階段に辿り着いたが、来た時には気づかなかったが扉が設置されていた。
「これは……?」
「こっち側とあっち側を繋げたり切ったりするために作ったものだよ。元々は能力者とそうでない者を分けるためのものだったから使用回数も少なくて……その話はいいや。こうやって調整すれば……よし」
「行けるのか?」
「うん。この扉を抜けたらすぐにあっち側に行ける」
ひよがゆっくりと扉を開けて、階段を降り始めた頃、すぐにその異変に気付いた。静かだったこっち側とは違い、あっち側と呼ばれるこの空間は多くの声が響いていた。
「うん、ちゃんと行けているね。よし、最初は校長室に行こう」
「え?」
「ちょっとした許可がいるの」
「そういうことか」
「だから待っていて……どうせ見えないだろうし」
「あっ、え……行ってしまったか。しかし……メーシェを探すのに必死であの時は見ていなかったが、この世界にも取り憑こうとする幽霊はいるんだな。良い霊も悪い霊も……そこから話をつけてみるか」
そう独り言をつぶやきながら、人間達の上を飛ぶ幽霊達に話しかけた。フィークの存在を知る者やそうでない者、恐怖を覚えて逃げ出す者や一目散に攻撃を仕掛ける者など様々だが、あらゆる情報を知ることは出来た。ほとんどがこの世界で起きている非日常な出来事だが、一つだけ分かったことがあった。
「私は知らぬ間に彼の手を取っていたの。彼は寂しそうに……でも冷たい声だった」
「それは巷で起きている自殺を促す幽霊のことか?」
「うん、私は彼に殺されたの……もしかして探しているの? でも会うのはきっと無理だと思う。だってあなたは男の人だもの」
「そうか」
「ただ一つだけ知っているの」
「何を?」
「あの子は絶対狙われる」
「あの子?」
「一度だけ会ったことがあるあの子……浄化の祈りを持つ少女……名前は……ごめんなさい。何故か思い出せないの」
「無理に思い出そうとしなくていい。だがどうしてその子が狙われると思った?」
「彼が持っていた紙にはその子の写真があった」
「写真?」
「そこには私も含まれていたみたいで、殺したと思われる女の人にはバツ印がついていた」
「つまりそこから予想したのか」
「確証がある情報を教えられなくてごめんなさい」
「いや、十分なほどの情報は得られた。ありがとう」
「……これで」
最後、フィークに何かを言おうとした幽霊はその姿を維持できなくなって光の粒のように輝いて消えてしまった。それを見届けているといつの間にかひよがそばにいた。
「遅かったな」
「久しぶりに校長先生にあったから話し込んじゃって……でも許可取れたし、少しだけわかったよ」
「こっちも幽霊達から話を聞いた」
「え? あっ……そうだったの。じゃあ、少しまとめてみようか」
新たな情報を掴む前に二人はそれぞれ持ちよった情報を整理してみた。それほど多くの情報を得たわけではなかったが、浄化の祈りを持つ少女の話をひよにすると、それがさくらであることがわかった。
「さくらが狙われる……つまり私達の空間に移動してくるのが確定した?」
「確定ではない……が可能性はあるな」
「それなら一度戻った方がいいかも」
「そうだな」
そう言って二人は一度、さくらのもとへ戻ることにした。階段に設置された扉を開けて、元の空間に戻ってきた時、フィークは嫌な気配を感じた。
「……どこだ」
「うん?」
フィークの呟きに気付けなかったひよは疑問で返した。しかしそれが少し前に話していたことだと分かった時には走り出していた。
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
ひよの呼びかけにも反応せずにいなくなってしまった彼に少し怒ったが、離れたら自分の身が危ないと思い、気配を追って走り出した。
白い建物の方へ招かれるように歩いていた。人の気配は全くしないが、かわりに大量の幽霊達が徘徊していた。トゥーリに気付いた一人の悪霊が逃げ出そうとした時、そのナイフは体に突き刺さっていた。その力を感じ取った悪霊達が大量に集まって彼を殺そうとしたが、どれだけ集まろうとも彼にはかなわず、すべてナイフによって消えていった。その大量に消した悪霊の体から落ちた欠片を拾ってみていた。
「これは……欠けているが、黒い狐火に見える……また、あの時と同じか」
そう呟きながら歩いていると謎の疲労感に襲われて、体はふらついた。この状態を悪霊達に見つかるわけにはいかないと、薄暗い机やいすが置かれたところで休むことにした。そこが教室と呼ばれていると知らず、彼は椅子にも座らずに、壁を背にして地べたに座り眠りについた。
染み込むのは赤い液体 何度も繰り返す悪夢
切り裂かれた仲間達 笑う騎士と血塗れの彼
目覚めは悪く、汗が噴き出していた。それはいつものことだった。悪夢を見るたびに心が黒く染まっていくような感覚が残って嫌な気分になっていた。けれど左手だけ何かに掴まれている感覚があって、その方へ目をやると、少女が彼の左手を両手で取り、顔の方に近づけて目を閉じて祈っていた。その間、黒い部分が浄化されていくような感覚に襲われて、なんだか癒されていた。彼の左手が動いたのに気づいて、少女は目を開けた。
「……よかった」
「誰だ」
「私はさくら……苦しそうにしていたから手を繋いでいたの」
「何故……でもありがとう。知らないが気分は良くなった」
「……狐火? フィークさんがつけていたマフラーの刺繍に似ている」
「フィークを知っているのか?」
「うん……ってことはもしかしてトゥーリさん?」
「ああ、そうだが。その様子だと危険人物だと教えられたのか」
「えっと」
「そうだよ。俺は悪霊殺しの役目を持っているからな」
「……メーシェさんを殺すの?」
「もしかしてと思っていたがやはりか」
「どういうこと?」
「死を誘っていたのは身内の犯行だってことさ。気づく前に殺すなんてことにならなくてよかった」
「似たようなことがあったの?」
「あった。その時、フィークとメーシェに出会ったんだがな」
「そうなんだ」
「さて……」
そう呟いてトゥーリが立ちあがった時、教室の入口に黒い人影が立っていた。それは息を切らして走ってきたフィークだった。そして数分経ってひよが辿り着いて、彼女は入口で座り込んでいた。
「さくら! 大丈夫か」
「フィークさん」
「……」
「何かされたか」
「大丈夫」
「大丈夫……って車椅子が倒れているのはどうして?」
「それは彼の手を握るため。眠っていたのだけど苦しそうだったから。車椅子だと高すぎて手を取れそうになかったから、影の手達に手伝ってもらって床に座っていたの」
「え?」
「もしかして浄化の能力使っちゃったの」
疑問を持ったフィークの後に言ったのは息を整えて、扉に寄りかかって立ち上がったひよだった。
「あっ、うん」
「あまり使わないように注意されていたじゃない。かなり強力なものだからって」
「でもつらそうにしているのを見過ごせなかったから」
「だからって……そうだ。さくら」
「?」
「標的にされている人物がわかったの」
「それって誰?」
「それはさくらだ。とある幽霊が教えてくれた情報によると君を狙っていると」
「えっ、……でもよかったかも」
「どうして?」
「私は彼が生きている限り死なないから」
「死なない……だと」
「まぁ最初に聞いたら驚くよね。私も驚いたくらいだし……それが十字架の呪いよ」
「……十字架がどうのこうの言っていたな」
「説明すると長くなるから省いていたんだけど、簡単に言うとすべての守護者を倒さないと私は死なない……そういうこと」
「そうなると完全に適任だな。フィーク……メーシェを探しに来たということは」
「ちょっと待て、トゥーリ。説明もしていないのに理解したのか」
「ある程度……天界で見たことと死神が話してくれたこと……くらいか」
「つまり死神からの依頼でここに来たのか」
「悪霊なら殺してしまっていいと言われたが、まさかというかやはりというか……」
フィークとトゥーリの会話が始まった頃、さくらは窓の方に目を向けて、空の様子を見ていた。トゥーリが眠っていた教室はカーテンが閉め切られて暗くなっていたが、そのカーテンを影の手達が少し開けていた。光に当たって影の手達がその姿を失っても、次から次へと伸びてカーテンは全開になった。いきなりの光の強さに三人は目をつぶってしまうが、さくらはその夕暮れを覆おうとする紺色の夜の恐ろしさを少し感じていた。
それは何も思い出せない記憶。死を誘い、自らの願いのために行動した結果はその姿を変化させず、重なった強き力。優しき声は心の弱さを掴み、冷たい手は思考を奪った。支配された女性達は彼の思うがまま動かされて死んでいく。死した魂は憎むことを忘れて、あの子のもとへ送られていた。あとどれくらい必要なのか、彼にはどうでもよかったが、この世界でも多くの命が散った。しかしあと一つ足りなかった。
死ぬことが許されない少女。あらゆる並行世界、多元世界、多くの世界に繋がれた彼女の魂。その力は膨大で彼も近づくことが出来なかったが、彼はもうそばにいた。誰も気づけないほどの強大な力に溺れ、深い闇は彼を食い荒らしていた。
「僕は……彼女と死ぬことが出来れば、この願いは叶えられたことになるかな」
弱き心は願いだけを置いて、本心はすでに奪われた。死に場所を探し続けた最後の希望は自らの魂を捧げることで完結する。それを彼はまだ知らない。
ひよとフィークは長い廊下を歩いていた。相変わらず人の気配は全くないが、それについてひよはいつも通りと言わんばかりに気にしていなかったが、フィークはやはり異常だと思っていた。そう考えながら階段に辿り着いたが、来た時には気づかなかったが扉が設置されていた。
「これは……?」
「こっち側とあっち側を繋げたり切ったりするために作ったものだよ。元々は能力者とそうでない者を分けるためのものだったから使用回数も少なくて……その話はいいや。こうやって調整すれば……よし」
「行けるのか?」
「うん。この扉を抜けたらすぐにあっち側に行ける」
ひよがゆっくりと扉を開けて、階段を降り始めた頃、すぐにその異変に気付いた。静かだったこっち側とは違い、あっち側と呼ばれるこの空間は多くの声が響いていた。
「うん、ちゃんと行けているね。よし、最初は校長室に行こう」
「え?」
「ちょっとした許可がいるの」
「そういうことか」
「だから待っていて……どうせ見えないだろうし」
「あっ、え……行ってしまったか。しかし……メーシェを探すのに必死であの時は見ていなかったが、この世界にも取り憑こうとする幽霊はいるんだな。良い霊も悪い霊も……そこから話をつけてみるか」
そう独り言をつぶやきながら、人間達の上を飛ぶ幽霊達に話しかけた。フィークの存在を知る者やそうでない者、恐怖を覚えて逃げ出す者や一目散に攻撃を仕掛ける者など様々だが、あらゆる情報を知ることは出来た。ほとんどがこの世界で起きている非日常な出来事だが、一つだけ分かったことがあった。
「私は知らぬ間に彼の手を取っていたの。彼は寂しそうに……でも冷たい声だった」
「それは巷で起きている自殺を促す幽霊のことか?」
「うん、私は彼に殺されたの……もしかして探しているの? でも会うのはきっと無理だと思う。だってあなたは男の人だもの」
「そうか」
「ただ一つだけ知っているの」
「何を?」
「あの子は絶対狙われる」
「あの子?」
「一度だけ会ったことがあるあの子……浄化の祈りを持つ少女……名前は……ごめんなさい。何故か思い出せないの」
「無理に思い出そうとしなくていい。だがどうしてその子が狙われると思った?」
「彼が持っていた紙にはその子の写真があった」
「写真?」
「そこには私も含まれていたみたいで、殺したと思われる女の人にはバツ印がついていた」
「つまりそこから予想したのか」
「確証がある情報を教えられなくてごめんなさい」
「いや、十分なほどの情報は得られた。ありがとう」
「……これで」
最後、フィークに何かを言おうとした幽霊はその姿を維持できなくなって光の粒のように輝いて消えてしまった。それを見届けているといつの間にかひよがそばにいた。
「遅かったな」
「久しぶりに校長先生にあったから話し込んじゃって……でも許可取れたし、少しだけわかったよ」
「こっちも幽霊達から話を聞いた」
「え? あっ……そうだったの。じゃあ、少しまとめてみようか」
新たな情報を掴む前に二人はそれぞれ持ちよった情報を整理してみた。それほど多くの情報を得たわけではなかったが、浄化の祈りを持つ少女の話をひよにすると、それがさくらであることがわかった。
「さくらが狙われる……つまり私達の空間に移動してくるのが確定した?」
「確定ではない……が可能性はあるな」
「それなら一度戻った方がいいかも」
「そうだな」
そう言って二人は一度、さくらのもとへ戻ることにした。階段に設置された扉を開けて、元の空間に戻ってきた時、フィークは嫌な気配を感じた。
「……どこだ」
「うん?」
フィークの呟きに気付けなかったひよは疑問で返した。しかしそれが少し前に話していたことだと分かった時には走り出していた。
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
ひよの呼びかけにも反応せずにいなくなってしまった彼に少し怒ったが、離れたら自分の身が危ないと思い、気配を追って走り出した。
白い建物の方へ招かれるように歩いていた。人の気配は全くしないが、かわりに大量の幽霊達が徘徊していた。トゥーリに気付いた一人の悪霊が逃げ出そうとした時、そのナイフは体に突き刺さっていた。その力を感じ取った悪霊達が大量に集まって彼を殺そうとしたが、どれだけ集まろうとも彼にはかなわず、すべてナイフによって消えていった。その大量に消した悪霊の体から落ちた欠片を拾ってみていた。
「これは……欠けているが、黒い狐火に見える……また、あの時と同じか」
そう呟きながら歩いていると謎の疲労感に襲われて、体はふらついた。この状態を悪霊達に見つかるわけにはいかないと、薄暗い机やいすが置かれたところで休むことにした。そこが教室と呼ばれていると知らず、彼は椅子にも座らずに、壁を背にして地べたに座り眠りについた。
染み込むのは赤い液体 何度も繰り返す悪夢
切り裂かれた仲間達 笑う騎士と血塗れの彼
目覚めは悪く、汗が噴き出していた。それはいつものことだった。悪夢を見るたびに心が黒く染まっていくような感覚が残って嫌な気分になっていた。けれど左手だけ何かに掴まれている感覚があって、その方へ目をやると、少女が彼の左手を両手で取り、顔の方に近づけて目を閉じて祈っていた。その間、黒い部分が浄化されていくような感覚に襲われて、なんだか癒されていた。彼の左手が動いたのに気づいて、少女は目を開けた。
「……よかった」
「誰だ」
「私はさくら……苦しそうにしていたから手を繋いでいたの」
「何故……でもありがとう。知らないが気分は良くなった」
「……狐火? フィークさんがつけていたマフラーの刺繍に似ている」
「フィークを知っているのか?」
「うん……ってことはもしかしてトゥーリさん?」
「ああ、そうだが。その様子だと危険人物だと教えられたのか」
「えっと」
「そうだよ。俺は悪霊殺しの役目を持っているからな」
「……メーシェさんを殺すの?」
「もしかしてと思っていたがやはりか」
「どういうこと?」
「死を誘っていたのは身内の犯行だってことさ。気づく前に殺すなんてことにならなくてよかった」
「似たようなことがあったの?」
「あった。その時、フィークとメーシェに出会ったんだがな」
「そうなんだ」
「さて……」
そう呟いてトゥーリが立ちあがった時、教室の入口に黒い人影が立っていた。それは息を切らして走ってきたフィークだった。そして数分経ってひよが辿り着いて、彼女は入口で座り込んでいた。
「さくら! 大丈夫か」
「フィークさん」
「……」
「何かされたか」
「大丈夫」
「大丈夫……って車椅子が倒れているのはどうして?」
「それは彼の手を握るため。眠っていたのだけど苦しそうだったから。車椅子だと高すぎて手を取れそうになかったから、影の手達に手伝ってもらって床に座っていたの」
「え?」
「もしかして浄化の能力使っちゃったの」
疑問を持ったフィークの後に言ったのは息を整えて、扉に寄りかかって立ち上がったひよだった。
「あっ、うん」
「あまり使わないように注意されていたじゃない。かなり強力なものだからって」
「でもつらそうにしているのを見過ごせなかったから」
「だからって……そうだ。さくら」
「?」
「標的にされている人物がわかったの」
「それって誰?」
「それはさくらだ。とある幽霊が教えてくれた情報によると君を狙っていると」
「えっ、……でもよかったかも」
「どうして?」
「私は彼が生きている限り死なないから」
「死なない……だと」
「まぁ最初に聞いたら驚くよね。私も驚いたくらいだし……それが十字架の呪いよ」
「……十字架がどうのこうの言っていたな」
「説明すると長くなるから省いていたんだけど、簡単に言うとすべての守護者を倒さないと私は死なない……そういうこと」
「そうなると完全に適任だな。フィーク……メーシェを探しに来たということは」
「ちょっと待て、トゥーリ。説明もしていないのに理解したのか」
「ある程度……天界で見たことと死神が話してくれたこと……くらいか」
「つまり死神からの依頼でここに来たのか」
「悪霊なら殺してしまっていいと言われたが、まさかというかやはりというか……」
フィークとトゥーリの会話が始まった頃、さくらは窓の方に目を向けて、空の様子を見ていた。トゥーリが眠っていた教室はカーテンが閉め切られて暗くなっていたが、そのカーテンを影の手達が少し開けていた。光に当たって影の手達がその姿を失っても、次から次へと伸びてカーテンは全開になった。いきなりの光の強さに三人は目をつぶってしまうが、さくらはその夕暮れを覆おうとする紺色の夜の恐ろしさを少し感じていた。
それは何も思い出せない記憶。死を誘い、自らの願いのために行動した結果はその姿を変化させず、重なった強き力。優しき声は心の弱さを掴み、冷たい手は思考を奪った。支配された女性達は彼の思うがまま動かされて死んでいく。死した魂は憎むことを忘れて、あの子のもとへ送られていた。あとどれくらい必要なのか、彼にはどうでもよかったが、この世界でも多くの命が散った。しかしあと一つ足りなかった。
死ぬことが許されない少女。あらゆる並行世界、多元世界、多くの世界に繋がれた彼女の魂。その力は膨大で彼も近づくことが出来なかったが、彼はもうそばにいた。誰も気づけないほどの強大な力に溺れ、深い闇は彼を食い荒らしていた。
「僕は……彼女と死ぬことが出来れば、この願いは叶えられたことになるかな」
弱き心は願いだけを置いて、本心はすでに奪われた。死に場所を探し続けた最後の希望は自らの魂を捧げることで完結する。それを彼はまだ知らない。
桜詩凛の読みは「さくらしりん」で、由来は二つ。一つは元から使っていた桜子凛花が長いと思ったため、短くするために「桜」と「凛」を取り、その間に当時から書いていた「詩」をいれたもの。もう一つは『複雑な生き方をする少女』に登場する「さくら、黒蛇、シラ、理夏(りか)、ラナン」の頭文字を取ったものとなってい…
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