【古今著聞集】仁和寺の佐法印、山吹着たる童と和歌の唱和の事。
公開 2023/11/30 06:12
最終更新
2024/05/24 17:39
※まいたけがいい加減に訳して脳内補完をいれたものです。
***
仁和寺の佐の法印…この方は成海法印の師匠にあたる人である…がまだお若い時分のこと。法印殿は桜会を見物したついでにと、醍醐寺に祀られている諸仏に巡り手を合わせていたのだが。その途中、山吹色の着物を着た童がふたり、双子のようにそっくりな格好で桜を眺めているのを見かけた。
「……、…」
どちらの童もたいそう優美で美しく、思わず見惚れて足を止めてしまうほどで。湧き上がる想いを堪えきれず、
『山吹の花色衣見てしより井手のかはづのねをのみぞなく』
(あぁ、まるで咲きこぼれる山吹の花のような…。君たちが振り返ってはくれないかと、井手の蛙がしきりと鳴くような…そんな心地なのですよ。)
と呼びかけた。しかし思わず出た言葉に気恥ずかしくなったのか、法印殿は返事も聞かずに踵を返して逃げ出そうとする。すると翻った袖を童がくいっと掴まえて、少し思案してから直ぐに
『山吹の花色衣あまたあれば井手のかはづはたれと鳴くらん』
(山吹の花はたくさんおりますが…井手の蛙殿は、誰を求めてしきりに鳴いていらっしゃるのです?)
と悪戯っぽい笑みを浮かべて返してきたのだそうな。
***
仁和寺の佐の法印…この方は成海法印の師匠にあたる人である…がまだお若い時分のこと。法印殿は桜会を見物したついでにと、醍醐寺に祀られている諸仏に巡り手を合わせていたのだが。その途中、山吹色の着物を着た童がふたり、双子のようにそっくりな格好で桜を眺めているのを見かけた。
「……、…」
どちらの童もたいそう優美で美しく、思わず見惚れて足を止めてしまうほどで。湧き上がる想いを堪えきれず、
『山吹の花色衣見てしより井手のかはづのねをのみぞなく』
(あぁ、まるで咲きこぼれる山吹の花のような…。君たちが振り返ってはくれないかと、井手の蛙がしきりと鳴くような…そんな心地なのですよ。)
と呼びかけた。しかし思わず出た言葉に気恥ずかしくなったのか、法印殿は返事も聞かずに踵を返して逃げ出そうとする。すると翻った袖を童がくいっと掴まえて、少し思案してから直ぐに
『山吹の花色衣あまたあれば井手のかはづはたれと鳴くらん』
(山吹の花はたくさんおりますが…井手の蛙殿は、誰を求めてしきりに鳴いていらっしゃるのです?)
と悪戯っぽい笑みを浮かべて返してきたのだそうな。
