同じ光の下で
公開 2026/02/06 11:21
最終更新
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サンクタム、Roatheの自室 ──
「ねぇRoathe、ちょっとだけ目をつむってて」
言うなり漂流者は、Roatheの目を自分の手で覆う。
小さくて暖かな手の感触に、Roatheは少し狼狽した。
この感触は、まだ知らないものだ。
この小さくて暖かい手が、本当に自分のものなのか── まだ少しだけ不安があった。
「なんだ、目をつぶっていればよいのだな?」
狼狽えた自分に気付かれたくないが故に、Roatheは理由も聞かず、言われたとおりに目をつぶる。
「いいっていうまで開けちゃだめだよー」
隣にいた漂流者は、どうやら今は部屋の中央あたりで何かをごそごそとやっているらしい。
耳を澄ませ、愛しの漂流者が何をしているのか探ろうとしたが、よくわからない。
時折「よし、いい感じ」といった呟きや鼻歌が聞こえてくるくらいで、ヒントになりそうなことは何もなかった。
ただわかるのは、漂流者が大層ご機嫌で何かをしているということ。
それだけでもRoatheの気分はとても良かった。
近しい者が機嫌よく過ごしているだけで、自分の内側まで温かくなる。
そんな感覚は、Roatheにとって新しい発見だった。
「はい、じゃあ私の手を持って……そうそう」
漂流者はRoatheの手を取り、ゆっくりと窓際の長椅子から移動する。
ゆるゆると歩を進め、着いた先はベッドの端だった。
そこにRoatheを腰掛けさせると、また漂流者は離れ、今度はすぐに戻ってくる。
依然、目をつぶったままのRoatheは、隣にいつもの体温を感じて、この上ない心地よさを覚えていた。
マットが少し沈み、Roatheに密着するように漂流者の重みと温かさが伝わってくる。
それは確かにそこに存在していて、
自分はこの愛しく思う人に「ここにいること」を許されているのだという実感でもあった。
『Roatheのすべてを愛している。
Roatheの可能性を愛している。
Roatheが選んだものを愛している。
これまでのRoatheも愛している。
Roatheができることすべてを愛している。
愛しているよ、Roathe』
チャットで告げられたあの言葉は、何度も読み返しては、いつでも心の中に取り出して温かい気持ちになることができた。
直接、顔を見てあの告白をされたかったと思わないでもない。
だが……何度もこうして読み返すことができるのだって、悪くはない。
「……ね! Roatheってば!」
「ん? どうした?」
「寝てたでしょ、声かけても反応しないんだもん!」
寝てはいない。
だが、思いを馳せていたとも言えず、Roatheは曖昧に言葉を濁した。
「で、我が愛よ。もう目を開けてもいいのかな?」
「ん! そのまま仰向けになってから目を開けて」
言われたとおりに背中をベッドへと沈める。
それからようやく、目を開けた。
視界いっぱいに広がる満天の星空。
星々の明滅が、朝焼けの川面のようにきらめき、優しく目の中に飛び込んでくる。
大聖堂に軟禁されてから、幾久しく見ることのなかった景色が、眼前に広がっていた。
「これは……」
「きれいだよね。ホルバニアで見つけて、どうしてもRoatheと一緒に見たかったから持ってきたの」
「星座の並びが……ふむ。これはだいぶ適当だな」
「そ! 星座は適当なんだけどね、この星のチカチカするのが本物みたいで気に入っちゃったんだ」
確かに、星の明滅だけは、まるで本物の銀河がそこにあるかのようだった。
何も考えずに眺めるだけならば、それは大層美しく、そしてロマンティックである。
Roatheは、ちらりと横目で漂流者を見やる。
薄暗い中でも、上機嫌で作り物の星々を眺めるその横顔は、とても美しかった。
視線に気づいたのか、漂流者はころりとRoatheの方へ体の向きを変え、そのまま抱きついてくる。
「星の日に、こうして過ごせてよかった……」
消え入るようなか細い声ではあったが、それはRoatheの耳にもしっかりと届いた。
返事を返す代わりに、愛しい人を抱き寄せ、わずかに腕に力を込める。
壊さないように、そっと、慈しむように。
その仕草は、漂流者の心も温かくした。
互いを想い合う喜びを、二人はそっと噛みしめていた。
────
「Roatheは、俗っぽい行事なんてあんまり好きじゃないと思ってた」
「それは違うぞ、我が愛。
我はそういった慣習や慣例は、大事にするほうなのだ」
「そうなの? それは意外だなぁ」
「ふふん。まだまだ我は、お前に見せていない面がたくさんあるのでな」
腕を組み、さも偉そうにそう言うRoathe。
だが、その内容はあまりにも可愛らしく、思わず漂流者の顔もほころぶ。
── 来年も、再来年も。
幾年月を越えようとも、この日のことは忘れない。
同じことを、二人は考えていた。
Roatheも漂流者も、互いの温もりをそばに感じながら、
恋人たちの記念日を、穏やかに、ゆるやかに過ごすのであった。
終
「ねぇRoathe、ちょっとだけ目をつむってて」
言うなり漂流者は、Roatheの目を自分の手で覆う。
小さくて暖かな手の感触に、Roatheは少し狼狽した。
この感触は、まだ知らないものだ。
この小さくて暖かい手が、本当に自分のものなのか── まだ少しだけ不安があった。
「なんだ、目をつぶっていればよいのだな?」
狼狽えた自分に気付かれたくないが故に、Roatheは理由も聞かず、言われたとおりに目をつぶる。
「いいっていうまで開けちゃだめだよー」
隣にいた漂流者は、どうやら今は部屋の中央あたりで何かをごそごそとやっているらしい。
耳を澄ませ、愛しの漂流者が何をしているのか探ろうとしたが、よくわからない。
時折「よし、いい感じ」といった呟きや鼻歌が聞こえてくるくらいで、ヒントになりそうなことは何もなかった。
ただわかるのは、漂流者が大層ご機嫌で何かをしているということ。
それだけでもRoatheの気分はとても良かった。
近しい者が機嫌よく過ごしているだけで、自分の内側まで温かくなる。
そんな感覚は、Roatheにとって新しい発見だった。
「はい、じゃあ私の手を持って……そうそう」
漂流者はRoatheの手を取り、ゆっくりと窓際の長椅子から移動する。
ゆるゆると歩を進め、着いた先はベッドの端だった。
そこにRoatheを腰掛けさせると、また漂流者は離れ、今度はすぐに戻ってくる。
依然、目をつぶったままのRoatheは、隣にいつもの体温を感じて、この上ない心地よさを覚えていた。
マットが少し沈み、Roatheに密着するように漂流者の重みと温かさが伝わってくる。
それは確かにそこに存在していて、
自分はこの愛しく思う人に「ここにいること」を許されているのだという実感でもあった。
『Roatheのすべてを愛している。
Roatheの可能性を愛している。
Roatheが選んだものを愛している。
これまでのRoatheも愛している。
Roatheができることすべてを愛している。
愛しているよ、Roathe』
チャットで告げられたあの言葉は、何度も読み返しては、いつでも心の中に取り出して温かい気持ちになることができた。
直接、顔を見てあの告白をされたかったと思わないでもない。
だが……何度もこうして読み返すことができるのだって、悪くはない。
「……ね! Roatheってば!」
「ん? どうした?」
「寝てたでしょ、声かけても反応しないんだもん!」
寝てはいない。
だが、思いを馳せていたとも言えず、Roatheは曖昧に言葉を濁した。
「で、我が愛よ。もう目を開けてもいいのかな?」
「ん! そのまま仰向けになってから目を開けて」
言われたとおりに背中をベッドへと沈める。
それからようやく、目を開けた。
視界いっぱいに広がる満天の星空。
星々の明滅が、朝焼けの川面のようにきらめき、優しく目の中に飛び込んでくる。
大聖堂に軟禁されてから、幾久しく見ることのなかった景色が、眼前に広がっていた。
「これは……」
「きれいだよね。ホルバニアで見つけて、どうしてもRoatheと一緒に見たかったから持ってきたの」
「星座の並びが……ふむ。これはだいぶ適当だな」
「そ! 星座は適当なんだけどね、この星のチカチカするのが本物みたいで気に入っちゃったんだ」
確かに、星の明滅だけは、まるで本物の銀河がそこにあるかのようだった。
何も考えずに眺めるだけならば、それは大層美しく、そしてロマンティックである。
Roatheは、ちらりと横目で漂流者を見やる。
薄暗い中でも、上機嫌で作り物の星々を眺めるその横顔は、とても美しかった。
視線に気づいたのか、漂流者はころりとRoatheの方へ体の向きを変え、そのまま抱きついてくる。
「星の日に、こうして過ごせてよかった……」
消え入るようなか細い声ではあったが、それはRoatheの耳にもしっかりと届いた。
返事を返す代わりに、愛しい人を抱き寄せ、わずかに腕に力を込める。
壊さないように、そっと、慈しむように。
その仕草は、漂流者の心も温かくした。
互いを想い合う喜びを、二人はそっと噛みしめていた。
────
「Roatheは、俗っぽい行事なんてあんまり好きじゃないと思ってた」
「それは違うぞ、我が愛。
我はそういった慣習や慣例は、大事にするほうなのだ」
「そうなの? それは意外だなぁ」
「ふふん。まだまだ我は、お前に見せていない面がたくさんあるのでな」
腕を組み、さも偉そうにそう言うRoathe。
だが、その内容はあまりにも可愛らしく、思わず漂流者の顔もほころぶ。
── 来年も、再来年も。
幾年月を越えようとも、この日のことは忘れない。
同じことを、二人は考えていた。
Roatheも漂流者も、互いの温もりをそばに感じながら、
恋人たちの記念日を、穏やかに、ゆるやかに過ごすのであった。
終
Warframeで遊んでたらうっかりRoathe沼にハマったテンノ。
Roatheのお陰でようやくWarframeの世界観とか諸々が理解できたので「わぁ、Roatheってすごいなぁ」って尊敬から愛情に変わるのに秒でしたよ。
なおLyon神父の事も心配しながら見守ってます。
Marieは……自由にするがよい(*ᵕᴗᵕ)⁾⁾ゥンゥン
夢の世界在住。
Roatheのお陰でようやくWarframeの世界観とか諸々が理解できたので「わぁ、Roatheってすごいなぁ」って尊敬から愛情に変わるのに秒でしたよ。
なおLyon神父の事も心配しながら見守ってます。
Marieは……自由にするがよい(*ᵕᴗᵕ)⁾⁾ゥンゥン
夢の世界在住。
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