【平家公達草紙】かたのまもり
公開 2025/01/01 13:37
最終更新
-
高倉院の御代では、中宮様に仕える女房たちは折々風流を凝らしたかたのまもりを競って仕立て、身に付けていました。近習の女房たちは、中宮様の御厨子にかたのまもりを入れた手箱が常に置かれていたので、自分で仕立てずとも自由に出し入れして身につけていたようです。みなそれを真似て身につけたのでしょう。
御生の日は台盤所や朝餉の間に大勢の女房たちが控えていました。近衛殿という女房…この方は久我の内大臣様のご令嬢です…は、賀茂の祭を意識した葵襲の衣に御簾を模ったかたのまもりに葵の葉を掛けておられて、私と一緒に控えていた人は「彼女、洒落ているね」と面白そうに話していました。しかし私は藤大納言実国様のご令嬢で新大納言の君と仰る…容姿も髪もそれはもう麗しい…女房が、神山の景色や御手洗川の流れを白い衣から唐衣にまで描かれたものを着て、斎垣の形をしたまもりに近衛司の警護の具足模様をあしらったかたのまもりを掛けているほうがずっと洒落ていると思いました。同じく控えていた三位の中将重衡殿という人は、彼女たちを見て一際興がっていましてね。朝餉の間に中宮様がお入りになって重衡殿をお召しになると、重衡殿は「いやはや…今日の女房たちの装束があんまり美しいものですから目がクラクラしてしまって、スッと立ち上がれませんでしたよ」なんていうものですから、帝も中宮様もからからころころとお笑いになっていました。
御生の日は台盤所や朝餉の間に大勢の女房たちが控えていました。近衛殿という女房…この方は久我の内大臣様のご令嬢です…は、賀茂の祭を意識した葵襲の衣に御簾を模ったかたのまもりに葵の葉を掛けておられて、私と一緒に控えていた人は「彼女、洒落ているね」と面白そうに話していました。しかし私は藤大納言実国様のご令嬢で新大納言の君と仰る…容姿も髪もそれはもう麗しい…女房が、神山の景色や御手洗川の流れを白い衣から唐衣にまで描かれたものを着て、斎垣の形をしたまもりに近衛司の警護の具足模様をあしらったかたのまもりを掛けているほうがずっと洒落ていると思いました。同じく控えていた三位の中将重衡殿という人は、彼女たちを見て一際興がっていましてね。朝餉の間に中宮様がお入りになって重衡殿をお召しになると、重衡殿は「いやはや…今日の女房たちの装束があんまり美しいものですから目がクラクラしてしまって、スッと立ち上がれませんでしたよ」なんていうものですから、帝も中宮様もからからころころとお笑いになっていました。
