つひに行く
公開 2023/08/28 22:33
最終更新
2023/08/28 22:33
つひに行く
むかしむかし、あるところにひとりの男がいたそうな。
急に視界がぐるりと回ったかと思うと、頬にざらざらと固い土の感触がする。あぁ…土の上に倒れたのか、とぼんやり男は考えた。どんより重たい体は、どこまでが自分のものなのかも曖昧で、ただ忙しない足音や何かを叫ぶ声がぼんやり聞こえるのみである。しかしそれらも次第に遠ざかってゆき、ゆっくりと常闇に沈んでゆくような心地がする。あぁ…死ぬのか…。男は細く、大義そうに息を吐いた。
「……いずれ行く道と聞いていたけれど…まさか…こんな急だなんてなぁ…」
言い残す言葉もなくそう呟いて、男は二度と目覚めることはなかった。
むかしむかし、あるところにひとりの男がいたそうな。
急に視界がぐるりと回ったかと思うと、頬にざらざらと固い土の感触がする。あぁ…土の上に倒れたのか、とぼんやり男は考えた。どんより重たい体は、どこまでが自分のものなのかも曖昧で、ただ忙しない足音や何かを叫ぶ声がぼんやり聞こえるのみである。しかしそれらも次第に遠ざかってゆき、ゆっくりと常闇に沈んでゆくような心地がする。あぁ…死ぬのか…。男は細く、大義そうに息を吐いた。
「……いずれ行く道と聞いていたけれど…まさか…こんな急だなんてなぁ…」
言い残す言葉もなくそう呟いて、男は二度と目覚めることはなかった。
