雲には乗らぬ
公開 2023/08/28 21:50
最終更新
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雲には乗らぬ
むかしむかし、あるところに世情をよく知る男がいたそうな。
男は歌を詠むような風流人ではなかったが、政治情勢からトレンドまで世の中の様々な事情に精通している人であった。
さて、ある身分の高い女が世の中に嫌気がさして髪を下ろし、京を離れて遠い山里に庵を結んでいた。その女の親族である男は彼女の事情もあれこれ知っているらしく。
「世の中に背を向けたと言っても、雲に乗ってどこかへ飛んで行ったということでもありますまいが。京を離れて山里に篭り居れば、世の中の煩わしい耳目も噂も別世界のことのようでしょう。」
と『頭痛が痛くなるような』歌を書き送ったのだそうな。尼になった女は、元の斎宮の宮である。
むかしむかし、あるところに世情をよく知る男がいたそうな。
男は歌を詠むような風流人ではなかったが、政治情勢からトレンドまで世の中の様々な事情に精通している人であった。
さて、ある身分の高い女が世の中に嫌気がさして髪を下ろし、京を離れて遠い山里に庵を結んでいた。その女の親族である男は彼女の事情もあれこれ知っているらしく。
「世の中に背を向けたと言っても、雲に乗ってどこかへ飛んで行ったということでもありますまいが。京を離れて山里に篭り居れば、世の中の煩わしい耳目も噂も別世界のことのようでしょう。」
と『頭痛が痛くなるような』歌を書き送ったのだそうな。尼になった女は、元の斎宮の宮である。
