おのがさまざま
公開 2023/08/28 20:35
最終更新
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おのがさまざま
むかしむかし、あるところに若い男女がいたそうな。
少年は密かに少女を想い、少女もまた少年を憎からず想い…お互いに言葉にはしなかったものの幼い恋心を温めていた。しかし二人ともまだ親の手を離れない年頃である。想いあっていても親達の顔色を伺ってとうとう好きと言い出せず、幼い恋は途絶えてしまったのだそうな。
さて随分年を経て、あの時言えなかった想いを伝えたいと思ったのだろうか。男は女へ歌を詠み送った。
「お互いにそれぞれの人生を歩んで色んな恋をして来たけれど…少女だった君の面影はずっと私の心に残り続けていたよ。」
あの時、もし『好きだ』と言えたら…『この子を』と言えていたら…私たちの人生は違っていたかもしれないね。
「……。」
蕾のまま潰えた恋の、とうに熱を失った告白を、女はどう受け止めたのだろうか。お互いさほど離れていない曹司に侍っていたものの、やり取りはそれきりになってしまったのだそうな。
むかしむかし、あるところに若い男女がいたそうな。
少年は密かに少女を想い、少女もまた少年を憎からず想い…お互いに言葉にはしなかったものの幼い恋心を温めていた。しかし二人ともまだ親の手を離れない年頃である。想いあっていても親達の顔色を伺ってとうとう好きと言い出せず、幼い恋は途絶えてしまったのだそうな。
さて随分年を経て、あの時言えなかった想いを伝えたいと思ったのだろうか。男は女へ歌を詠み送った。
「お互いにそれぞれの人生を歩んで色んな恋をして来たけれど…少女だった君の面影はずっと私の心に残り続けていたよ。」
あの時、もし『好きだ』と言えたら…『この子を』と言えていたら…私たちの人生は違っていたかもしれないね。
「……。」
蕾のまま潰えた恋の、とうに熱を失った告白を、女はどう受け止めたのだろうか。お互いさほど離れていない曹司に侍っていたものの、やり取りはそれきりになってしまったのだそうな。
