桜花今日こそかくも
公開 2023/08/28 17:40
最終更新
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桜花今日こそかくも
むかしむかし、どうにかしてお逢いしたいと願う男がいたそうな。
男はずっとある方を想い続けていた。想いを掛けた相手は、近くに侍れども到底手の届かない方である。それでもどうにかしてお逢いしたい、お逢いしたいと折節、請い願い続けていた。とうとう男のひたむきな想いに心動かされたのだろうか。その方から「それならば、明日…物越しでよろしければ…」との文を頂いた。長年の想いがとうとう叶うと男は大層喜んだけれども…同時に『本当に逢ってくださるのだろうか…?』と胸に不安がもたげた。今まで何度も腕の中からするりと消えた人である。まさか今度も…と疑うのも無理からぬことであったろう。美しく咲く桜の枝にこのような歌を付けて贈った。
「今は匂い立つように美しい桜も、明日の晩にはどうでしょう。…なかなかにアテにならないものです。」
本当に、信じてよろしいのですね?そう願う気持ちもあったのだろう。
むかしむかし、どうにかしてお逢いしたいと願う男がいたそうな。
男はずっとある方を想い続けていた。想いを掛けた相手は、近くに侍れども到底手の届かない方である。それでもどうにかしてお逢いしたい、お逢いしたいと折節、請い願い続けていた。とうとう男のひたむきな想いに心動かされたのだろうか。その方から「それならば、明日…物越しでよろしければ…」との文を頂いた。長年の想いがとうとう叶うと男は大層喜んだけれども…同時に『本当に逢ってくださるのだろうか…?』と胸に不安がもたげた。今まで何度も腕の中からするりと消えた人である。まさか今度も…と疑うのも無理からぬことであったろう。美しく咲く桜の枝にこのような歌を付けて贈った。
「今は匂い立つように美しい桜も、明日の晩にはどうでしょう。…なかなかにアテにならないものです。」
本当に、信じてよろしいのですね?そう願う気持ちもあったのだろう。
