玉すだれ
公開 2023/08/28 06:40
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玉すだれ
むかしむかし、あるところに女の心を確かめたくなった男がいたそうな。
とある事情で女との仲は途絶えたままであったが、男は今でも女のことを想い続けていた。女もきっと同じ心だろうに、男と密かに会おうともしない。いったいあの方の心はどこにあるのだろう…。女の心を確かめたくなった男は
「あなたがお許しくだされば、私は風のように御簾の間をすり抜けてあなたの元に参りますのに」
冷たいじゃありませんか、とおどけた歌に託して尋ねてみた。すると女から、
「たとえ捕らえどころのない風だったとしても、僅かな隙間でさえ御簾の内へ入ることは許しません。」
もうあの頃とはもう立場が違うのよ、馬鹿なことを言わないで。そんな強い拒絶の言葉であったが、
(本当に疎んでおいでならば、私の文など無視すればよろしいのに…)
わざわざ否と返事を送ってくるのだから、まだ貴方のお心に私はいるのだろう。隠しきれない喜びを口の端に浮かべて、男は女からの文にそっと唇を寄せるのだった。
むかしむかし、あるところに女の心を確かめたくなった男がいたそうな。
とある事情で女との仲は途絶えたままであったが、男は今でも女のことを想い続けていた。女もきっと同じ心だろうに、男と密かに会おうともしない。いったいあの方の心はどこにあるのだろう…。女の心を確かめたくなった男は
「あなたがお許しくだされば、私は風のように御簾の間をすり抜けてあなたの元に参りますのに」
冷たいじゃありませんか、とおどけた歌に託して尋ねてみた。すると女から、
「たとえ捕らえどころのない風だったとしても、僅かな隙間でさえ御簾の内へ入ることは許しません。」
もうあの頃とはもう立場が違うのよ、馬鹿なことを言わないで。そんな強い拒絶の言葉であったが、
(本当に疎んでおいでならば、私の文など無視すればよろしいのに…)
わざわざ否と返事を送ってくるのだから、まだ貴方のお心に私はいるのだろう。隠しきれない喜びを口の端に浮かべて、男は女からの文にそっと唇を寄せるのだった。
