秋の野に
公開 2023/08/28 00:03
最終更新
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秋の野に
むかしむかし、あるところに、振り回される男がいたそうな。
思わせぶりな態度を取る癖に、それならばと逢瀬に誘うと何かと理由を付けて断りの文を寄越す女がいた。つれなさに焦れた男は、
「秋の野に笹を分けて帰る朝よりも、ぐっしょり袖を濡らして独り寝しています…どうして会ってくださらないんですか。」
と女へ書き送った。
しかし女は、その道においては百戦錬磨の強者である。若い男の子って、こういうところが可愛いのよね…と笑みを浮かべて次のように返した。
「あなたって見る目がないのね。私に言い寄る方は大勢いらっしゃるってご存知ないのかしら。皆さん、どうしても『アナタが良いのだ』と仰るのよ。…どんなにつれなくされても、ね。」
むかしむかし、あるところに、振り回される男がいたそうな。
思わせぶりな態度を取る癖に、それならばと逢瀬に誘うと何かと理由を付けて断りの文を寄越す女がいた。つれなさに焦れた男は、
「秋の野に笹を分けて帰る朝よりも、ぐっしょり袖を濡らして独り寝しています…どうして会ってくださらないんですか。」
と女へ書き送った。
しかし女は、その道においては百戦錬磨の強者である。若い男の子って、こういうところが可愛いのよね…と笑みを浮かべて次のように返した。
「あなたって見る目がないのね。私に言い寄る方は大勢いらっしゃるってご存知ないのかしら。皆さん、どうしても『アナタが良いのだ』と仰るのよ。…どんなにつれなくされても、ね。」
