小島のはまびさし
公開 2023/08/27 18:29
最終更新
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小島のはまびさし
むかしむかし、ふらふら彷徨ううちに陸奥に流れ着き、暮らしていた男がいたそうな。
都にいる想い人へ、遠ざかる小島を船上から眺めて、
「波間に遠く見える粗末な家々の庇など眺めながら、随分長いことあなたとお会いしていないと考えていました。」
と手紙に綴った。陸奥での生活には何の不満もなかった。傍らにはよく尽くしてくれる妻もいて、それなりに幸せに暮らしていた。それでも…と男は遠ざかるかつての住まいを見つめ、
『あなたのことを忘れようとしてみましたが…どうしても忘れられなかった。もう何もかも吹っ切れました。』
と手紙に続けて綴り、都のあの方へ届けたのだそうな。
むかしむかし、ふらふら彷徨ううちに陸奥に流れ着き、暮らしていた男がいたそうな。
都にいる想い人へ、遠ざかる小島を船上から眺めて、
「波間に遠く見える粗末な家々の庇など眺めながら、随分長いことあなたとお会いしていないと考えていました。」
と手紙に綴った。陸奥での生活には何の不満もなかった。傍らにはよく尽くしてくれる妻もいて、それなりに幸せに暮らしていた。それでも…と男は遠ざかるかつての住まいを見つめ、
『あなたのことを忘れようとしてみましたが…どうしても忘れられなかった。もう何もかも吹っ切れました。』
と手紙に続けて綴り、都のあの方へ届けたのだそうな。
