西の京の女
公開 2023/08/27 18:11
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西の京の女
むかしむかし、あるところに恋に惑う男がいたそうな。
平城京から平安京へと遷都して間もなく、まだ人家も疎らな時代のこと。西の京に女が住んでいた。その女は良家の血を引く人で、容姿こそ目立つものはなかったが、ずっと一緒にいたくなるような心映えの素晴らしい人であった。一緒に暮らしている親族もいたようだが、例のマメ男も彼女の元へ何度も通って物語などしていたらしい。
彼女と親しく話をして帰った男は、何か思うことがあったのか。弥生のついたち、雨がそぼ降る朝、
「昨夜は床に入っても寝付かれず、かと言って起きて何かする気にもなれずに夜を明かし…春のせいでしょうか。ぼんやりと我が身を持て余しているのです…」
と女へ歌を書き贈ったのだそうな。
むかしむかし、あるところに恋に惑う男がいたそうな。
平城京から平安京へと遷都して間もなく、まだ人家も疎らな時代のこと。西の京に女が住んでいた。その女は良家の血を引く人で、容姿こそ目立つものはなかったが、ずっと一緒にいたくなるような心映えの素晴らしい人であった。一緒に暮らしている親族もいたようだが、例のマメ男も彼女の元へ何度も通って物語などしていたらしい。
彼女と親しく話をして帰った男は、何か思うことがあったのか。弥生のついたち、雨がそぼ降る朝、
「昨夜は床に入っても寝付かれず、かと言って起きて何かする気にもなれずに夜を明かし…春のせいでしょうか。ぼんやりと我が身を持て余しているのです…」
と女へ歌を書き贈ったのだそうな。
