中秋
公開 2024/09/17 21:54
最終更新
2024/09/17 22:18
最果タヒさんの食べものエッセイ「もぐ♾️」にある、コメダ珈琲のメニュー、小倉ノワールについての回はとりわけすごい。
小倉ノワールは友達のお母さんが作りそうなオリジナルスイーツ、そのイマジネーションはあっという間に高く飛んで広がり、気づいたら二世代の二人の物語を読んでいる。
「友達のお母さんが作りそうなオリジナルスイーツ」を想像できるほどには、ぼくは友だちと親しくなった事がない。ぼくの母も友だちのお母さんも、皆仕事をしていて子どもの遊ぶ時間帯は不在だった。想像できるのは自分の母が作りそうなものだけだ。
母の生前、帰省して兄と地元を歩いていて、カレー店ののぼり旗に「酢飯カレー」とあるのを見た。カレーに酢飯、うちの母さんが考えそうだよな…と頷き合った。
母には極端な拘りや過集中があった。ぼくが中学生の頃、たこ焼き器でたこ焼きを焼くという思いつきに拘ったときは毎日夕食がたこ焼きだった。
数日続いて見かねた父が、栄養の偏りについて何かしら言ったところ、その晩からたこ焼きは甘ったるいものになった。
栄養だと言われて生地に砂糖と牛乳を入れたという。
そこから甘ったるいたこ焼きが何日も続いた。
小倉ノワールは友達のお母さんが作りそうなオリジナルスイーツ、そのイマジネーションはあっという間に高く飛んで広がり、気づいたら二世代の二人の物語を読んでいる。
「友達のお母さんが作りそうなオリジナルスイーツ」を想像できるほどには、ぼくは友だちと親しくなった事がない。ぼくの母も友だちのお母さんも、皆仕事をしていて子どもの遊ぶ時間帯は不在だった。想像できるのは自分の母が作りそうなものだけだ。
母の生前、帰省して兄と地元を歩いていて、カレー店ののぼり旗に「酢飯カレー」とあるのを見た。カレーに酢飯、うちの母さんが考えそうだよな…と頷き合った。
母には極端な拘りや過集中があった。ぼくが中学生の頃、たこ焼き器でたこ焼きを焼くという思いつきに拘ったときは毎日夕食がたこ焼きだった。
数日続いて見かねた父が、栄養の偏りについて何かしら言ったところ、その晩からたこ焼きは甘ったるいものになった。
栄養だと言われて生地に砂糖と牛乳を入れたという。
そこから甘ったるいたこ焼きが何日も続いた。