無名
公開 2024/05/20 21:08
最終更新
2024/05/20 21:52
日曜に仕事して今日は休み、映画「無名」を観に行った。
映画館は画面に集中できるのがいい。前情報なしの手ぶら体験が気に入ってしまった。
以下は頭の整理かつネタバレ。
日本軍が占領し傀儡政権を置いた時代の上海だ。逆光の室内で仕立ての良い靴が神経質な音を立てる。男性が着ているのは上等なスーツだ。
男性が訪れる洋風建築のホテルは扉に部屋番号ではなく「あ」「き」と日本の平仮名が振ってある。
ここでこの映画は史実に基づきながらも、ファンタジックに観るべきものだと約束される。
映画って編集の面白さでもあった、と思い出させてもらった。時系列が交錯し、過去のシークエンスが未来に嵌る。
日本軍のスパイ的立場にある軍人と中国側スパイ達との会話がいい。映画的に良いという意味。
森博之さんを筆頭に軍人は日本語でしか話さず、トニー・レオンを筆頭とする中国人は中国語でしか話さない。ただひとりを除いて。
通訳は存在せず、物語は齟齬なく進む。
日本語を聴いて中国語は読む、という動作のなかで言葉が意味を失うような錯覚があって興味深い体験だった。
日本軍の一周回った作りもののような日本語と相俟って、言語を純粋に音として聞いてしまう。
ワン・イーボーという俳優さんを初めて知ったのだけど、沸々と煮えたぎるような激しさを陶器のような姿に抑えつけたような演技でとても良かった。
暴力シーンはスタイリッシュで、女性はとことん美しい。
見限る場面は良かった。死そのものより無様な事はある。
今日はぼくの誕生日で、恙なく過ごす事が出来て良かったと思う。
今朝朝食を食べながら子どもたちにおめでとう、と言ってもらえて、そうだこれだけは言っておかねばと思った事を勇気を出して言った。
ありがとう。
ぼくきみたちがいて本当に幸せだ。ありがとう。
照れて噛んだし、子ども達は半分聞いてないような感じだった。でもべつに誕生日じゃなくても言いつづけようと思う。
映画館は画面に集中できるのがいい。前情報なしの手ぶら体験が気に入ってしまった。
以下は頭の整理かつネタバレ。
日本軍が占領し傀儡政権を置いた時代の上海だ。逆光の室内で仕立ての良い靴が神経質な音を立てる。男性が着ているのは上等なスーツだ。
男性が訪れる洋風建築のホテルは扉に部屋番号ではなく「あ」「き」と日本の平仮名が振ってある。
ここでこの映画は史実に基づきながらも、ファンタジックに観るべきものだと約束される。
映画って編集の面白さでもあった、と思い出させてもらった。時系列が交錯し、過去のシークエンスが未来に嵌る。
日本軍のスパイ的立場にある軍人と中国側スパイ達との会話がいい。映画的に良いという意味。
森博之さんを筆頭に軍人は日本語でしか話さず、トニー・レオンを筆頭とする中国人は中国語でしか話さない。ただひとりを除いて。
通訳は存在せず、物語は齟齬なく進む。
日本語を聴いて中国語は読む、という動作のなかで言葉が意味を失うような錯覚があって興味深い体験だった。
日本軍の一周回った作りもののような日本語と相俟って、言語を純粋に音として聞いてしまう。
ワン・イーボーという俳優さんを初めて知ったのだけど、沸々と煮えたぎるような激しさを陶器のような姿に抑えつけたような演技でとても良かった。
暴力シーンはスタイリッシュで、女性はとことん美しい。
見限る場面は良かった。死そのものより無様な事はある。
今日はぼくの誕生日で、恙なく過ごす事が出来て良かったと思う。
今朝朝食を食べながら子どもたちにおめでとう、と言ってもらえて、そうだこれだけは言っておかねばと思った事を勇気を出して言った。
ありがとう。
ぼくきみたちがいて本当に幸せだ。ありがとう。
照れて噛んだし、子ども達は半分聞いてないような感じだった。でもべつに誕生日じゃなくても言いつづけようと思う。