本といぬ
公開 2023/12/22 20:13
最終更新
2023/12/22 20:13
冬至だ。さむいさむいと言いながら冬のほうが体調は良い。
ちくま文庫から昨年出ていた「高峰秀子 ベスト・エッセイ」を読んだ。
「世の中にはただ、その人が存在するというだけで、なんとなく心強く、心の支えになる人がいる」
こんなはっとするフレーズがざくざく出てくる。
二十代の頃、成瀬巳喜男の作品を夢中で観た。
芸事に生きるかなしみ、異性にとって都合の良い存在を生きざるを得ない苛立ち。高峰秀子の出演作の膨大な数からいえば、ぼくが観たのはほんの一握りだけど、演技を通して知ったことは大きい。
実家のいぬのことをまた思い出していた。
繋がなかったおかげでいぬはいつも姉が学校から帰ってくるのをバス停で待っていた。
親の仕事と学校の都合で親子だけとなりの市に住んでいた時期だ。
姉が遠くの大学に進学し、家を離れて何回目かの冬休み、祖母のいる実家に全員が集合する日だった。
好物のおやつを持って敷地に入るといつものようにいぬが走ってこない。
それまで何も言わなかった父親が、もういぬはいない。秋の終わりに弱り出し、何度か雑木林に行ったきりになり、そのたびにおばあちゃんが探しに行った。
あるとき抱いて戻ったそれが最期になった。あんた達に言えなかった、と謝られた。
首輪だけが残っていた。
ちいさな子犬だった頃に兄の友だちのところからうちに来たのだ。兄も泣いた。
ほどなく姉も帰ってきて、久しぶりに会うのに泣いてる二人に驚いた。いぬがもういないと話すと全く信じない。二人で担ごうとして?とまで言うから喧嘩になりかけた。
だって、迎えに来てたから一緒に帰ってきた、という。
バスを降りたら待っていたから一緒に帰って来たのだそうだ。ずっとそうだったように。
四十年近く経つが、いぬのことはいまでもきょうだいと話すと泣いてしまう。
ちくま文庫から昨年出ていた「高峰秀子 ベスト・エッセイ」を読んだ。
「世の中にはただ、その人が存在するというだけで、なんとなく心強く、心の支えになる人がいる」
こんなはっとするフレーズがざくざく出てくる。
二十代の頃、成瀬巳喜男の作品を夢中で観た。
芸事に生きるかなしみ、異性にとって都合の良い存在を生きざるを得ない苛立ち。高峰秀子の出演作の膨大な数からいえば、ぼくが観たのはほんの一握りだけど、演技を通して知ったことは大きい。
実家のいぬのことをまた思い出していた。
繋がなかったおかげでいぬはいつも姉が学校から帰ってくるのをバス停で待っていた。
親の仕事と学校の都合で親子だけとなりの市に住んでいた時期だ。
姉が遠くの大学に進学し、家を離れて何回目かの冬休み、祖母のいる実家に全員が集合する日だった。
好物のおやつを持って敷地に入るといつものようにいぬが走ってこない。
それまで何も言わなかった父親が、もういぬはいない。秋の終わりに弱り出し、何度か雑木林に行ったきりになり、そのたびにおばあちゃんが探しに行った。
あるとき抱いて戻ったそれが最期になった。あんた達に言えなかった、と謝られた。
首輪だけが残っていた。
ちいさな子犬だった頃に兄の友だちのところからうちに来たのだ。兄も泣いた。
ほどなく姉も帰ってきて、久しぶりに会うのに泣いてる二人に驚いた。いぬがもういないと話すと全く信じない。二人で担ごうとして?とまで言うから喧嘩になりかけた。
だって、迎えに来てたから一緒に帰ってきた、という。
バスを降りたら待っていたから一緒に帰って来たのだそうだ。ずっとそうだったように。
四十年近く経つが、いぬのことはいまでもきょうだいと話すと泣いてしまう。
