spectre
公開 2025/02/22 22:22
最終更新
2025/02/22 22:59
昨夜は日仏学院にジャック・リヴェットの「アウトワン・スペクトル」を観に行った。

12h40に及ぶアウトワン(OUT1 noli me tangere)から別編集されたのがspectre、それでも4時間半ある。
ただいつも感じることだけど、リヴェットの映画っていざ始まると現実の時間の感覚が融ける。弛むというか。観始めたらもうこっち側にいるのだ(あっち→現実)。
屋上から見おろすモンマルトルを始め、登場人物たちが歩くパリ、ブルターニュの海辺など眺める間に、時間は思ったよりずっと早く過ぎた。
観る前に同じく日仏学院でたぶん2008年だと思うけどnoli me tangereを鑑賞したときのレジュメを再読し、登場人物をおさらいしておいたのだ。
にもかかわらずぼくは冒頭からミシェル・モレッティをベルナデット・ラフォンと見間違い、また同じ間違いをしでかしたことに気づいた。だって二人とも似てない…?オオカミ系の獰猛フェイスで…と思うが、物語の後半以後二人はほぼ対応するような立ち位置にいるとわかり、混乱は仕方ないなと思う(そして振り出しに戻る)。
対応といえば同一人物にもかかわらず二つの名を使い分けるビュル・オジエだ。
海辺の隠れ家で向かい合った二枚の鏡の中央に立ち、無限♾️を発見する場面。物語は冒頭から鏡が多く登場するが、無限の発見とはその頂点なのか。
鑑賞前に坂本安美さんから解説があった通り、spectreはnoli me tangereとは別物だった。即興演技の場面が多いとの事で、そのせいか妙な緊張感がある。とくに徒手空拳で謎に挑み続けるジャン・ピエール・レオーの場面は生々しい居たたまれなさもあった。ビュル・オジエは息を吸って吐くような即興。ぎこちなさを表出しない得体の知れなさ。
うすら怖い感じだ。
ジャン・ピエール・レオーとジュリエット・ベルトが透き通るように美しく、美しいとはこの映画ではただ若いという点だけなのだけど、そのせいで世界にうまくやっていける居場所がまだない。偶然手にした秘密の欠片、暗号のような詩文のような、または手紙でもって不可解な世界にアクセスしていくが、世界を形づくる謎めいた人々の思惑が動き、不可解さは強固に増す。
二人は不可解な世界の隙間で盗んだり嘘をつきながらそれぞれ彷徨い、出会うことは無い。
編集が大胆で、スチール写真のときは機械音や音残りなど乱暴な印象すら受けるが(スチールにはオフで撮ったかのような素の表情もある)、この烈しい編集リズムのおかげでずっと緊張感があってよかった。
ベッドの上にお酒やつまむものを適当において壮年の男女がまさに友だちの会話をしながらグダグダに過ごす場面があって(それなりに重要な話はしているけども)、こういうのいいなーうらやま、と思って観た。
リヴェットの映画って皆それぞれその人生を生きてる感じでやっぱりとても好きである。

12h40に及ぶアウトワン(OUT1 noli me tangere)から別編集されたのがspectre、それでも4時間半ある。
ただいつも感じることだけど、リヴェットの映画っていざ始まると現実の時間の感覚が融ける。弛むというか。観始めたらもうこっち側にいるのだ(あっち→現実)。
屋上から見おろすモンマルトルを始め、登場人物たちが歩くパリ、ブルターニュの海辺など眺める間に、時間は思ったよりずっと早く過ぎた。
観る前に同じく日仏学院でたぶん2008年だと思うけどnoli me tangereを鑑賞したときのレジュメを再読し、登場人物をおさらいしておいたのだ。
にもかかわらずぼくは冒頭からミシェル・モレッティをベルナデット・ラフォンと見間違い、また同じ間違いをしでかしたことに気づいた。だって二人とも似てない…?オオカミ系の獰猛フェイスで…と思うが、物語の後半以後二人はほぼ対応するような立ち位置にいるとわかり、混乱は仕方ないなと思う(そして振り出しに戻る)。
対応といえば同一人物にもかかわらず二つの名を使い分けるビュル・オジエだ。
海辺の隠れ家で向かい合った二枚の鏡の中央に立ち、無限♾️を発見する場面。物語は冒頭から鏡が多く登場するが、無限の発見とはその頂点なのか。
鑑賞前に坂本安美さんから解説があった通り、spectreはnoli me tangereとは別物だった。即興演技の場面が多いとの事で、そのせいか妙な緊張感がある。とくに徒手空拳で謎に挑み続けるジャン・ピエール・レオーの場面は生々しい居たたまれなさもあった。ビュル・オジエは息を吸って吐くような即興。ぎこちなさを表出しない得体の知れなさ。
うすら怖い感じだ。
ジャン・ピエール・レオーとジュリエット・ベルトが透き通るように美しく、美しいとはこの映画ではただ若いという点だけなのだけど、そのせいで世界にうまくやっていける居場所がまだない。偶然手にした秘密の欠片、暗号のような詩文のような、または手紙でもって不可解な世界にアクセスしていくが、世界を形づくる謎めいた人々の思惑が動き、不可解さは強固に増す。
二人は不可解な世界の隙間で盗んだり嘘をつきながらそれぞれ彷徨い、出会うことは無い。
編集が大胆で、スチール写真のときは機械音や音残りなど乱暴な印象すら受けるが(スチールにはオフで撮ったかのような素の表情もある)、この烈しい編集リズムのおかげでずっと緊張感があってよかった。
ベッドの上にお酒やつまむものを適当において壮年の男女がまさに友だちの会話をしながらグダグダに過ごす場面があって(それなりに重要な話はしているけども)、こういうのいいなーうらやま、と思って観た。
リヴェットの映画って皆それぞれその人生を生きてる感じでやっぱりとても好きである。
