オペラ座の怪人 4Kリマスター版感想 19世紀末へ旅をしよう
公開 2024/06/27 18:07
最終更新
2024/06/27 18:07
オペラ座の怪人 4Kリマスター版を観てきました。

黒のリボンを巻いた真っ赤な薔薇、あまりに美しすぎる。
確か大昔にテレビでやっていたのを観た記憶がありますが、映画としての内容は殆ど覚えてませんでした。
ALW舞台は四季のミュージカルを二回ほど観に行ったのと、海外の公演のDVDやCDを持っている位。
あと数年前のケン・ヒル版を観に行ったり、モノクロ映画のDVDも持ってます。ラブ・ネバー・ダイも一度観ましたが多分別の話になりそうなのでここではやめておきます。
ガストン・ルルーの原作は昔読んだきりで、観るまえに読み返したかったんですが時間がなくて読めませんでした…。原作は程よく怪奇趣味が入りまじっていた記憶ですが、ALWのミュージカル版はかなりロマンス寄り。
しかしそこからミュージカル映画にすることで生の演技では手の届かない部分も表現できるようになり、華やかさはよりわかりやすく、元々あった怪奇趣味的な部分などもまた表に出てきた感じ。
衣装や美術がもうむっちゃくちゃ可愛いんですよね!ロココっぽいやつ(タイトル忘れた)の上演前のカルロッタの流れるような変身バンクとかコケティッシュでキュート。犬可愛い。
1919年、オークション会場から始まります。
666番のシャンデリアがライトアップされた瞬間、モノクロの画面からだんだんと色づいていく描写が本当に良くてそれだけで「あ〜〜〜」ってなる。ちょっと泣いた。
TOHOで観たんですけど、TOHOって上映前のCMで女優さん(名前は知らない)が「素敵な映画の旅へ」みたいなことを言ってくれるじゃあないですか。この「あ〜〜〜」って感覚が多分映画への旅立ちなんだろうなと思う。
普段1時間半前後のろくでもない旅ばっかりしてるからここはマジで感動した。いやろくでもない旅も大好きなんですけどね。kfc(前売り買ったぞ!)もあくプー2も楽しみなんだよ。
クリスティーヌの代役が成功したのち楽屋からファントムが現れて地下に連れていくシーン。キャンドル持ってる通路(言い方)とかめちゃめちゃ良い。ディズニーでホーンテッドマンション行くたびに住みてぇ〜〜〜って言ってるんですけどおんなじ感覚になった。セットが可愛い過ぎる。
19世紀末が舞台の作品にばりばりバンドサウンド入るのはどうなのかな〜って個人的には思うんですが、でもオペラ座の怪人といえばこの曲このサウンドで長年定着し切っちゃってる感もある。
なんの説明も無い唐突な1/1クリスティーヌ人形はちょっと笑うんだけど、クソデカ人形男つながりで乱歩の「人でなしの恋」を思い出して、意味は違うけど「“人でなし”かぁ…」としんみりしてしまった。意味は違うけど!
なんかファントムって作中で Phantom(まぼろし、幻影)だったり、 Ghost(幽霊)だったり、あと(音楽の)天使って呼ばれたりと人以外の呼称が多いんですよね。
PhantomとGhostの使い分けはちゃんと意図が(もしくは考察の通説みたいなのが)あるんでしょうが、とにかく「人間でない(とされていた)存在が最後にようやく人としての祝福を受ける」作品なのだと思います。
私はこの台詞がむちゃくちゃ好きなのですが、同時に百年以上前にこれが書かれていたことにゾクリともします。たぶんこれはヒトが人として生きるための解のひとつなのだと思います。
愛と言っているけど実際はもう少し広くて、他者からの承認と言い換えられるのかもしれません。
しかしながらそれは相手の感情も当然絡んできます。
クリスティーヌがファントムに対して真に醜いのは顔ではなく貴方の心だと言うシーンがあります。
これは本当にその通りではあるのですが、しかしファントムがその醜い心になったのは彼の容姿のせいであり、同時に善良な人間になれるような境遇もあたえられることはなかった訳じゃあないですか。そんな人間に対して愛情を与えてくれる他人なんて滅多に存在しないのでしょう。そしてまた心が醜くなる、負のスパイラルに陥るしかありません。
だから最後のクリスティーヌの口づけが崇高なものになるのです。どんどん悪に落ちるしかない負のスパイラルをぶち破る彼女の行動は、肝が据わっているというか、男気(?)すら感じます。
いやまじでクリスティーヌにはそこまでする義理は流石に無いと思うんですよ。
でも彼女はやった。それはエリックへ憐憫であったり、孤独な彼女に寄り添ってくれた音楽の天使への感謝であったり、彼女なりの誠意とか、けじめとかそういうものも入り混じったものだと思います。
そこに至るまでの音楽もまた美しい。the point of no return(でいいのかな?基本のメロディは一緒のはず…)、何食ったらこんな綺麗な曲書けるんだろう。一小節目の短調の和音が三小節目で長調になるやつに弱いんですけど、この進行ってなんでこんなに魂に響くんですかね。
更にメインのメロディにかぶさってクリスティーヌがレーーードシ♭ドーーーラーー ソーーシ♮ーレーファーって入る所とか五体投地するしかないでしょ……。説明下手すぎ!!!
なんか映画の話というよりはオペラ座の怪人という概念そのものの感想になってしまったので映画で特に好きなところを今更あげていきます。
・女性陣の衣装がほんとうに可愛い。オーバーバストのコルセットからのチュチュやスカートのラインが本当に綺麗。黒いコルセットと黒のロンスカを着こなすマダム・ジリーはこういうお婆さんになりたいランキングNo.1です。
カルロッタも敵役だけどめちゃめちゃハマってる。冒頭でもちょろっと書いたけどあの変身バンクが可愛すぎるし、ピアンジが死んだところで駆け寄るのはウッと来た。
当たり前ですがクリスティーヌもメグ・ジリーもめちゃめちゃ可愛い。特にメグ・ジリー、ルノワールのイレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢っぽくないですか?ラストで地下を訪れるところでパンツスタイルになっているのも格好いい!
・幼きファントムが見世物小屋から逃げ出すところが良いですね。ここは結構ホラー映画っぽい雰囲気を感じられました。でっかい頭陀袋被せられたガリガリの少年がレザーフェイスの過去の映画のアレみたいだし、スピンオフやってほしいみがある。
ジョゼフ・ビュケが殺されて吊るされたとき顔のアップが映るカットもホラーやスリラー映画の系譜を感じて良かったです。
・終盤のシャンデリア大爆撃、もちろん好き。映画なんだからこれくらいやらなきゃね!って思いっきりが伝わってくる。
・舞台裏の狭い通路で唐突にこちらに向かってズボンおろしてケツ見せてきた奴がいたシーンで???ってなったんですけどTwitter(X)で「オペラ座 ケツ」とか「オペラ座 尻」で検索しても全然引っかからなくて、それ森の相葉さんみたく「誰も呟いてない…」ってなりました。もしかして私の幻覚だったのかな…心配になってきた。
1925年版映画のDVDも久しぶりに鑑賞したので感想タイーツのリンクを貼っておきます🔗
https://taittsuu.com/users/rosyfrog/status/30661381
(タイーツ埋め込みって出来ないのかな〜)

黒のリボンを巻いた真っ赤な薔薇、あまりに美しすぎる。
確か大昔にテレビでやっていたのを観た記憶がありますが、映画としての内容は殆ど覚えてませんでした。
ALW舞台は四季のミュージカルを二回ほど観に行ったのと、海外の公演のDVDやCDを持っている位。
あと数年前のケン・ヒル版を観に行ったり、モノクロ映画のDVDも持ってます。ラブ・ネバー・ダイも一度観ましたが多分別の話になりそうなのでここではやめておきます。
ガストン・ルルーの原作は昔読んだきりで、観るまえに読み返したかったんですが時間がなくて読めませんでした…。原作は程よく怪奇趣味が入りまじっていた記憶ですが、ALWのミュージカル版はかなりロマンス寄り。
しかしそこからミュージカル映画にすることで生の演技では手の届かない部分も表現できるようになり、華やかさはよりわかりやすく、元々あった怪奇趣味的な部分などもまた表に出てきた感じ。
衣装や美術がもうむっちゃくちゃ可愛いんですよね!ロココっぽいやつ(タイトル忘れた)の上演前のカルロッタの流れるような変身バンクとかコケティッシュでキュート。犬可愛い。
1919年、オークション会場から始まります。
666番のシャンデリアがライトアップされた瞬間、モノクロの画面からだんだんと色づいていく描写が本当に良くてそれだけで「あ〜〜〜」ってなる。ちょっと泣いた。
TOHOで観たんですけど、TOHOって上映前のCMで女優さん(名前は知らない)が「素敵な映画の旅へ」みたいなことを言ってくれるじゃあないですか。この「あ〜〜〜」って感覚が多分映画への旅立ちなんだろうなと思う。
普段1時間半前後のろくでもない旅ばっかりしてるからここはマジで感動した。いやろくでもない旅も大好きなんですけどね。kfc(前売り買ったぞ!)もあくプー2も楽しみなんだよ。
クリスティーヌの代役が成功したのち楽屋からファントムが現れて地下に連れていくシーン。キャンドル持ってる通路(言い方)とかめちゃめちゃ良い。ディズニーでホーンテッドマンション行くたびに住みてぇ〜〜〜って言ってるんですけどおんなじ感覚になった。セットが可愛い過ぎる。
19世紀末が舞台の作品にばりばりバンドサウンド入るのはどうなのかな〜って個人的には思うんですが、でもオペラ座の怪人といえばこの曲このサウンドで長年定着し切っちゃってる感もある。
なんの説明も無い唐突な1/1クリスティーヌ人形はちょっと笑うんだけど、クソデカ人形男つながりで乱歩の「人でなしの恋」を思い出して、意味は違うけど「“人でなし”かぁ…」としんみりしてしまった。意味は違うけど!
なんかファントムって作中で Phantom(まぼろし、幻影)だったり、 Ghost(幽霊)だったり、あと(音楽の)天使って呼ばれたりと人以外の呼称が多いんですよね。
PhantomとGhostの使い分けはちゃんと意図が(もしくは考察の通説みたいなのが)あるんでしょうが、とにかく「人間でない(とされていた)存在が最後にようやく人としての祝福を受ける」作品なのだと思います。
「これからはわたしも人並の生活をしたい。(中略)愛してもらえさえすればわたしは善人になれるんだ!(後略)」創元推理文庫「オペラ座の怪人」ガストン・ルルー作・三輪秀彦訳 381ページより
私はこの台詞がむちゃくちゃ好きなのですが、同時に百年以上前にこれが書かれていたことにゾクリともします。たぶんこれはヒトが人として生きるための解のひとつなのだと思います。
愛と言っているけど実際はもう少し広くて、他者からの承認と言い換えられるのかもしれません。
しかしながらそれは相手の感情も当然絡んできます。
クリスティーヌがファントムに対して真に醜いのは顔ではなく貴方の心だと言うシーンがあります。
これは本当にその通りではあるのですが、しかしファントムがその醜い心になったのは彼の容姿のせいであり、同時に善良な人間になれるような境遇もあたえられることはなかった訳じゃあないですか。そんな人間に対して愛情を与えてくれる他人なんて滅多に存在しないのでしょう。そしてまた心が醜くなる、負のスパイラルに陥るしかありません。
だから最後のクリスティーヌの口づけが崇高なものになるのです。どんどん悪に落ちるしかない負のスパイラルをぶち破る彼女の行動は、肝が据わっているというか、男気(?)すら感じます。
いやまじでクリスティーヌにはそこまでする義理は流石に無いと思うんですよ。
でも彼女はやった。それはエリックへ憐憫であったり、孤独な彼女に寄り添ってくれた音楽の天使への感謝であったり、彼女なりの誠意とか、けじめとかそういうものも入り混じったものだと思います。
そこに至るまでの音楽もまた美しい。the point of no return(でいいのかな?基本のメロディは一緒のはず…)、何食ったらこんな綺麗な曲書けるんだろう。一小節目の短調の和音が三小節目で長調になるやつに弱いんですけど、この進行ってなんでこんなに魂に響くんですかね。
更にメインのメロディにかぶさってクリスティーヌがレーーードシ♭ドーーーラーー ソーーシ♮ーレーファーって入る所とか五体投地するしかないでしょ……。説明下手すぎ!!!
なんか映画の話というよりはオペラ座の怪人という概念そのものの感想になってしまったので映画で特に好きなところを今更あげていきます。
・女性陣の衣装がほんとうに可愛い。オーバーバストのコルセットからのチュチュやスカートのラインが本当に綺麗。黒いコルセットと黒のロンスカを着こなすマダム・ジリーはこういうお婆さんになりたいランキングNo.1です。
カルロッタも敵役だけどめちゃめちゃハマってる。冒頭でもちょろっと書いたけどあの変身バンクが可愛すぎるし、ピアンジが死んだところで駆け寄るのはウッと来た。
当たり前ですがクリスティーヌもメグ・ジリーもめちゃめちゃ可愛い。特にメグ・ジリー、ルノワールのイレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢っぽくないですか?ラストで地下を訪れるところでパンツスタイルになっているのも格好いい!
・幼きファントムが見世物小屋から逃げ出すところが良いですね。ここは結構ホラー映画っぽい雰囲気を感じられました。でっかい頭陀袋被せられたガリガリの少年がレザーフェイスの過去の映画のアレみたいだし、スピンオフやってほしいみがある。
ジョゼフ・ビュケが殺されて吊るされたとき顔のアップが映るカットもホラーやスリラー映画の系譜を感じて良かったです。
・終盤のシャンデリア大爆撃、もちろん好き。映画なんだからこれくらいやらなきゃね!って思いっきりが伝わってくる。
・舞台裏の狭い通路で唐突にこちらに向かってズボンおろしてケツ見せてきた奴がいたシーンで???ってなったんですけどTwitter(X)で「オペラ座 ケツ」とか「オペラ座 尻」で検索しても全然引っかからなくて、それ森の相葉さんみたく「誰も呟いてない…」ってなりました。もしかして私の幻覚だったのかな…心配になってきた。
1925年版映画のDVDも久しぶりに鑑賞したので感想タイーツのリンクを貼っておきます🔗
https://taittsuu.com/users/rosyfrog/status/30661381
(タイーツ埋め込みって出来ないのかな〜)