ストップモーション 感想 肉を触ったら手を洗え2025
公開 2025/01/29 18:29
最終更新 2025/01/29 18:29
ストップモーション」を観てきました。



ストップモーションアニメというとご存知モルカーMAD GODオオカミの家ポケモンコンシェルジュなどを観たことがありますが、どれも「人間は愚か」という共通のテーマがあるように思えます。
※このセンテンスはジョークです

今作は基本実写ですが、所々ストップモーションアニメが使用されているスタイル。
ちょっとシュールなアート性高い作品かな〜とよく調べずに観に行ったらちゃんとホラー映画してて面白かった!

***

エラは著名なストップモーションアニメ作家の母親を持ち、彼女の作品作りを日々手伝っている。
関節炎を患い手先を細かく動かすことの出来ない母親は、彼女の手足となり作業をするエラを「パペット(お人形さん)」と呼ぶ。
コマ撮りをミリ単位で指示するなど厳しく指導されていたが、ある時母は入院してしまう。

エラは(これを期に)自分の作品を撮ってみないかと恋人に言われるも、中々作業は進まない。そんなとき彼女の元に謎の少女が現れ、自分の語る物語を撮るように助言する。
人形の材料も少女が指定する。最初は葬儀時に使用する遺体修復用ロウ、次は食用生肉、そしてその次は……。

***


主人公の観ている現実と妄想が入り混じって、信頼できない語り手になっていくタイプの作品です。去年観たものだと映画検閲乱歩の幻影などもこれにあたると思う。

今作はそれに加えて作中で作られたストップモーションアニメが作都度挿入されるのですが、それが良い意味で気色悪い笑。褒め言葉です。

作中作は大きく分けて二つあります。
一つは母親主導で作っていたもの。羊毛フェルト(多分)で作られた、未来を見ることの出来るサイクロプスの女性が十分不気味ではあるけれど、まだアートと言い張れる範囲。
母親の言いなりになって、母親の示す未来しか見ることのできないエラを表しているのかな〜とぼんやり思いました。ありきたりだけどね。
しかしこの作品製作は途中で中断されてしまいます。


問題は二作目。こちらの製作を進めるにつれてエラは狂っていきます。
森の中何者かに追われている少女が小さい家の中に逃げ込むという、なんとなくオオカミの家を思い出す導入。
そして窓から家の中を覗こうとする、怪物のような姿をした「灰の男」。

いや少女怖!笑


(コマちゃんって呼ばれているの今更知った)

コマちゃんは勿論エラ自身でしょう。では男は?
最初母親かなと思ったけど多分それだけじゃあ無いですよね〜。母親であり、エラの一面でもあり、なのか…。
隅々まで観て、きちんと詰めて考えればある程度答えに辿り着けるのかもしれないけれど、ふわっとぼかしている雰囲気が作品に合っている。

現実パートでエラを唆す謎の少女も、確実に人間ではなさそうなんだけど妙な子どもっぽさがあって好きですね。可愛い。

作中の人形が現実に侵食していく描写も可愛く不気味で良かったです。エラの身体の一部が(人形の材料の)ロウのように抉れていくシーンなどはグロさとは別次元の気持ち悪さがあり、ゾクゾクします。

でも終盤はきちんと痛いぞ!これも凄く好き。
流血シーンって当たり前なんですけど画面が血で赤黒くなりがちじゃあないですか。
でもより残虐に残虐にしようとして血を出しすぎると全面赤黒くて観てても何がなんだかって感覚になると思うんです。視覚的な「痛そう」感の上限値を超えてしまって、ダイナミクスが失われるというか……。
なので赤黒さ以外の色の使い方で強弱を出すことが重要だと思っているのですが、今回その色の使い方がめちゃくちゃ好みだった。痛そう!(二回目)非常に良いです。


ラストについて思ったことや好きなシーンなど、別ページに分けます。
https://writening.net/page?Zi3jYk

最後に監督からの超ありがたいお言葉。

かえるくん
プロフィールページ
怖い話、特にホラー寄りの映画が好きです。
映画をよく観るようになったのがここ数年からなので、古い有名なものとかあまり観られていなかったりします。
最近の記事
トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦 感想 叉焼飯食べたい
「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」観てきました!二回。 いや実は二月中旬に一回観に行ったんですけど、開始…
2025/03/08 09:02
ベルサイユのばら 感想 わたしをギロチンにかけてくれ!
一日に劇場アニメベルサイユのばらを観てきました。 原作のみ履修、アニメ・舞台などは観ていません。 ※今YouTube…
2025/02/08 18:42
ミッシング・チャイルド・ビデオテープ 感想 子どもカメラマンによる最恐POVに耐えろ
「ミッシング・チャイルド・ビデオテープ」を観てきました。 行方不明展を思い出す。 POV系はクソ雑魚三半規管ゆえ…
2025/02/01 08:29
ストップモーション 感想 肉を触ったら手を洗え2025
「ストップモーション」を観てきました。 ストップモーションアニメというとご存知モルカーにMAD GOD、オオカミの家やポ…
2025/01/29 18:29
侍タイムスリッパー 感想 善性が眩しい
映画の日に「侍タイムスリッパー」を観てきました。 映画館での予告を目にはしつつも全くジャンル外だしなぁとスルーし…
2024/12/04 18:31
テリファー 聖夜の悪夢 感想 アート・ザ・クラウン(サンタのすがた)
良い肉の日に有給をとってテリファー 聖夜の悪夢を観てきました。 トリミングしたとしても載せていいかちょっと不安だか…
2024/12/03 21:53
テリファー 終わらない惨劇 感想 ビキニアーマー対殺人ピエロ
テリファー 終わらない惨劇を観てきました。 三週連続でTOHOの女優さんに「夢のある映画の旅をお楽しみください」って言われ…
2024/11/26 20:55
テリファー 感想 まだギリギリ人間(かもしれない)
(そんなわけない) 最新作公開までTOHO新宿(と梅田)にて週替りで過去作が上映されているテリファーを観てきました。 配信で…
2024/11/20 08:27
テリファー0 感想 “恐ろしいもの”がやって来る
11/29よりシリーズ最新作テリファー 聖夜の悪夢が公開されるテリファーシリーズですが、11/8より過去作が週替りでリバイバル上…
2024/11/09 22:00
SAW X感想 日本よこれがデスゲームだ
SAW X(旧Twitterではない)を観てきました。 日本公開がいつになるのか一年以上待ってもう来ないのかな?って思ってたところで…
2024/10/25 21:59
この動画は再生できません THE MOVIE 感想
この動画は再生できません THE MOVIEを観てきました。 タイトル長いな!ザ・ムービーって久しぶりに聞いた。 映像編集者と…
2024/09/20 12:26
アビゲイル 感想 吸血バレリーナ殺法
誘拐したバレリーナの少女は吸血鬼だったという映画、「アビゲイル」を観てきました。 泥棒に入った家には盲目の最強元…
2024/09/17 22:24
サユリ 感想 運動して食べて寝ろ
「観終わった後、身体を鍛えたくなる映画」というのは良い作品であることが多いと思っています。まぁ実際にトレーニングするか…
2024/09/07 08:50
プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち 感想 圧倒的成長を感じろ
タイトル目が滑るなぁ…。 誰しも小学生の頃、ムキムキのドラえもんやなんか顔が濃いアンパンマンとかを自由帳に描いていたと…
2024/08/15 08:09
呪葬 感想 帰ろう!ホーンテッド実家
台湾映画、呪葬を観ました。「呪詛」「哭悲」に続く…みたいなキャッチコピーを見ましたが、その二つ地味にジャンル違わない?ア…
2024/07/20 16:52
フンパヨン 呪物に隠れた闇 感想 バンコクでピザを
フンパヨン 呪物に隠れた闇を観てきました。 今月はアジアホラーが多い印象。今作フンパヨンの他にも来週は台湾の実家系ホ…
2024/07/07 11:03
オペラ座の怪人 4Kリマスター版感想 19世紀末へ旅をしよう
オペラ座の怪人 4Kリマスター版を観てきました。 黒のリボンを巻いた真っ赤な薔薇、あまりに美しすぎる。 確か大昔…
2024/06/27 18:07
関心領域 感想 世界一子育てに向かない場所
アウシュヴィッツ強制収容所の隣で暮らす所長のルドルフ・ヘスとその一家を描く作品、「関心領域」を観てきました。 すでに…
2024/05/25 23:36
胸騒ぎ 感想 底なしの受容は美徳ではない
今年の胸糞エンド作品No. 1と名高い映画、胸騒ぎを観てきました。 間違いなく観賞できて良かったし、好みではあるし、なんなら…
2024/05/15 19:05
キラー・ナマケモノ 感想 何者にもなれない私VSナマケモノ
殺人ナマケモノ映画、「キラー・ナマケモノ」を観てきました。 かなりツッコミどころの多い映画ではありますが、ツッコむこと…
2024/05/11 14:32
もっと見る
タグ
映画(46)
読書(1)
もっと見る