トーク・トゥ・ミー 感想 ―悪霊濫用、ダメ、絶対!
公開 2023/12/31 21:41
最終更新 2023/12/31 21:41
「A24ホラー史上最高興収を記録!」「トーク・トゥ・ミー」を観てきました。



私は映画を積極的に観るようになったのが2020年のミッドサマーからのためそれ以前の状況は存じ上げないのですが、自分の観るA24の作品は高確率で「ミッドサマーのA24の」というキャッチコピーがついてまわっていたような気がします。
それについては良いところもそうでないところもあるのでしょうが、キャッチコピーのバリエーションが増えたのは純粋に良いことだと思います。

ちなみに先日そのミッドサマーのアリ・アスター監督最新作「ボーはおそれている」のジャパンプレミアを観に行ってきましたが、あまりのハイカロリーっぷりに一回観ただけでは到底消化しきれなかったため(良い意味で)本公開後もう一度観て改めて感想を書きたいなぁと思っています。
ボー休暇とか取りたいんですよね。前日しっかり寝て、当日お餅食べて色々万全にして鑑賞して、観たあとはゆっくり湯船に浸かってお風呂の天井を見ながら物語を反芻したい。何言ってんだって感じですが、まぁそれはそれ。

トーク・トゥ・ミーの話に戻ります。

オーストラリアの学生の間で流行っている降霊会。
腕を模したオブジェを握り、「私に語りかけて(トーク・トゥ・ミー)」と呼びかけると本人にのみ”何か“が見える。そしてそれを体内に受け入れるとトリップ状態になるが、90秒以内に手を離さないといけない。

過去に母親を睡眠薬の過剰摂取で亡くしたミアは、友人についていったパーティでその降霊を体験する。

*****

一見派手さや目新しさは無いように見えますが、堅実な中にしっかり遊びを入れている作品で面白かったです。

降霊術もの、今年は「ブギーマン」「エクソシスト 信じる者」でもありましたが、海外の若者の間で流行っていたりするのでしょうか。世代ではありませんがこっくりさんブームみたいなものだと思えばありえなくはなさそうです。降霊術禁止の州とかもでてくるかもしれない。

でも前二作とは違い今作は亡くなった人にもう一度会いたいというしんみりした雰囲気ではなく、トリップして楽しんだり、動画をシェアしてバズりたいというアッパーな理由なんですよね。降霊術自体割と駄目ですが駄目さに輪を掛けている

冒頭でもトリップ後ダウンした男性に皆がスマホのカメラを向けていて、介抱している兄がやめろと言っています。
文字だけ見ると生々しく嫌なシチュエーションですがやはり皆基本アッパーなので実際観るとそこまで悲惨さは感じないし、その後主人公周りで起きる怪異の方が数段上の嫌さを繰り出してくるので生身の人間の悪意なんて正直霞みます。

二回目の降霊パーティで主人公ミアの友人の弟が体験したいと言い出してから物語が動きます。
15歳未満だから50秒までにしようとか根拠の無いリミッターを設けて安心しきるさまが幼稚で良い
そもそもの90秒という制限も、どういったルーツの呪術なのかもわからず濫用する浅はかさがホラー映画の子どもたちとして満点です。

暴走して重傷を負った弟を横目に高校生達が口裏合わせて隠蔽しようとするクズっぷりが最悪で最高だし、その中で特に主人公がひとりその場を離れようとするのが駄目に駄目を重ねていて乾いた笑いが出てくる(褒め言葉)。
主人公・ミアの肝心なところで駄目な保身に走るさまがリアルな真面目系クズ感あってなんだかんだ最後まで縁を切らない友人は割といい奴なのかもしれない。

暴走シーンも充分ショッキングなのですが、その後入院して病室で寝ているところのもう元のお顔には戻らないんだろうなっていう負傷っぷりが地味に辛い。
ホラー映画、ちゃんと死に切っていた方が大抵有情なことが多いですよね。目の辺りなんてぬっぺふほふじゃん……。

主人公の死んだ母親らしき怪異の現れ方がちょっとJホラーっぽくて洋画でやられると逆に新鮮味を感じられ面白いです。
扉の内外でどっちを信じたら良いのかという古典的な恐怖シチュエーションも最悪な流れに繋げてきて非常に好き。

クライマックスで冒頭の台詞を回収してくるところや、どこか落語っぽさを感じる“オチ”など踏むべき点をきちんと踏んだ、手堅さも新鮮さもある面白い作品でした。
悪霊濫用、ダメ、絶対!
かえるくん
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映画をよく観るようになったのがここ数年からなので、古い有名なものとかあまり観られていなかったりします。
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