ファミリー・ディナー 感想 ―因習村、一人前。
公開 2023/12/17 20:52
最終更新 2023/12/17 20:52
コンプレックスを持つ女の子、ヤバいおばさん、謎の儀式。

揃えちゃいけないもの揃えた感がぷんぷんするオーストリア映画、ファミリー・ディナーを観てきました。
太った女の子が大変な目に合う作品はPIGGY以来です。バッファロー・ビルの時代が来た?

あらすじ***

シミーは料理研究家であるおばのクラウディアの家に泊まりに来た。
肥満に悩んでいる彼女に、クラウディアは最初(忙しいから)ダイエットの手伝いはしないと言っていたが、ある出来事をきっかけに減量の協力をしてくれることに。しかしそれはイースターまでの一週間、水のみで過ごすという過酷なものであった。
一方、クラウディアの息子・フィリップは母親(クラウディア)と義父・シュテファンを嫌っており、ダイエットの「弟子」であるシミーにもきつくあたるが…。

*******


登場人物はシミー、クラウディア、フィリップ、シュテファンの四人のみ(+電話でシミーの母親)という、こじんまりとした作品です。
家族という小さな単位ではありますが、閉鎖的な共同体でとある儀式の為に少しずつ綻びが見えてくるさまはプチ因習村と言えなくもないような気がします。

冒頭ですでにラストシーンが目に浮かぶようなとあるセットも見せてくれており、さしずめ一人用因習村セットといったところでしょうか(一人用鍋セットみたいな感じで)。

そういった不穏なモチーフを出しつつも、一方でこの手の映画にかならずあるその場から逃げ出したくなる位のめっちゃくちゃ気まずい空気どうしようもなく追い詰められた様子があまり感じられないのも特徴的でした。

シミーは何故痩せたいのかが明確に描かれていないし、一週間弱何も食べていないのに食欲が無くなるペンダントに触れるだけで乗り切ってしまう。たぶんそれなりに聞き分けの良い、“良い子”なのでしょう。
その他の登場人物もどこかふんわりしていて、良く言えばおとぎ話のような非現実感があります。悪く言えば説得力が足りない。
二時間位あるのかなーって思ってたら一時間半ちょいなんですよね。もう少し尺をのばしてそのあたり描いて欲しかったなぁ。
結局クラウディアは何者…というか、何を目指していたのかというのはシミーが見つけた彼女のメモ(+母親からの電話)から推察するしかないのですが、メモに字幕が無かったところをみるとそんな重要なこと書いて無かったのかな?う〜〜〜ん…。

かる〜くウィキを見た程度ですが、例の絵画の神様を祭る祝祭というのは確かにあったようで、なんとなく本作に通じる雰囲気の儀式もちらほら。
クリスマスの起源のひとつとも言われていて、日本公開の時期とは偶然でしょうがタイムリーだったのかも。ウィキ知識なので信憑性はそこまでですが…。
掘り下げれば結構面白そうなモチーフだし、尺をあと三十分延ばして欲しかった〜…。

イースターの食事のシーンのシミーが凄く綺麗で素敵。ライティングとか全然わからんちんなんだけど、メイクが引き立って見えて良かったな。

曜日ごとに黒背景にテロップ(月曜日、など)が入るんですが土曜日までお洒落で上品な雰囲気のテロップだったのにイースターの日曜日だけ赤くてちょっと無骨?古いホラーっぽいフォントになっていたのが好きです。本性表した感。

シミーが真相にたどり着くところが凄く好き!(だろうな!)
ああいうシーンをアートっぽさ出しつつ撮るの、久しぶりに見た気がするけどやっぱり良いな。もっとみせて。

タイッツーでも書きましたがエンドロールが凄く可愛いです。調理器具にたまにナタとか混じってるのがお茶目よ。
曲もアンティークっぽい感じで好き〜!歌詞の字幕が無かったのが残念。あまり本編にかすらない感じだったのかな。
かえるくん
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怖い話、特にホラー寄りの映画が好きです。
映画をよく観るようになったのがここ数年からなので、古い有名なものとかあまり観られていなかったりします。
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