少し前になってしまいましたがスペインの田舎町を舞台にした映画、「理想郷」を観てきました。同日に「恐解釈 花咲か爺さん」を観たので一日に二本田舎で犬と暮す夫婦が大変な目に遭う映画を観たことになります。
こちらは犬は無事です(正直殺られると思った…)。

※わたしは毎回必ず動物の生死に言及するというわけではないので他の映画の感想で言及していないからといってその作品で動物が死なないとはかぎらないです。念の為。

スペインのガリシア地方の小さな村に引っ越して有機野菜の栽培で暮らしているフランス人夫婦。二人は地元の住民たちと風力発電所を誘致するかどうかで対立していた。特に二人を敵視していたのは隣に住む中年の兄弟で、彼らからの嫌がらせがエスカレートしていく。

私は人の見分けがあまり得意ではない方なのですが、奥さん役の方、「ヴィーガンズ・ハム」の方だーーー！！！
険しい表情が魅力的な方ですが、シリアスな作品だとこういう感じに映えるんだなぁと思いました。旦那さん役の方も「ハンニバル・ライジング」に出られていた方のようですね。頬肉の人だろうか。今度観返したい。


ポスターには「都会VS田舎」の文字。実際そういった側面が多い作品なのですが、田舎で老いた母親と暮らす加害兄弟の選択肢や想像力の無さ(それが田舎で人生の大半を過ごすということなのでしょう)が観ていて悲しかったです。
フランス人夫婦の旦那さんが兄弟をパブに呼び出して話し合うシーン。風力発電所設置の補償金で何をするのか、という問いかけへの返答、“俺ら東京さ行ぐだ”じゃあないですか…。キツい。

彼らに対して学が無いことをダイレクトに指摘する旦那さんもお前〜！！！って感じではありますが。正しくても「それを言っちゃあおしまいよ」ってポイントが世の中に確かにあって、それを踏み抜いてしまった感じ。

(話が前後しますが)勿論兄弟がそれまでに夫婦に行った仕打ちも酷いのでまぁどっこいどっこいといえばそうです。作物全滅は凄い悲しくなっちゃいましたね…。冒頭でトマトを予約していた人にはどう説明したんだろう。

どちらも「自分が正しいから多少間違った方法を取っていてもいいだろ！」的な思考がどこかにあり、だからこそ泥沼になっていくのだなと思いました。

ある事件を境に後半に入ります。
奥さんと訊ねてきた娘のすれ違いを中心に描かれ、正直若干冗長に感じましたがこちらもとても切ない。
それでもやっぱりリアルな嫌がらせは続いていて、娘や買った羊になにかされるんじゃと終始ひやひやしました…。映画で羊を見たのはラム以来ですが可愛いですね。

ラストそこで終わるんだ？！理想郷〜法廷編〜とかあるなら…観たいかも(悪趣味だよ！)。