褥の華(リチャ正)
公開 2023/09/24 17:23
最終更新
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蕾を開く
正義の部屋の扉をノックすると、ごそごそと大きな衣擦れの音が聞こえたが、返事はなかった。
「……正義、こんな時間にすみません。中に入ってもよろしいですか」
数秒の沈黙のあとに、小さな返事が聞こえてくる。妙な緊張感に包まれながらゆっくり開いていく視界にベッドの上ですっぽりとシーツに包まれた正義の姿が飛び込んでくる。
──まるで立場が逆転したようだ。
朝に弱い私を起こしにくる正義の気持ちを少しだけ理解できた気がする。シーツの繭からこぼれた黒曜の見た目より柔らかい髪。日に焼けた健康的な肌を包み隠すシーツ越しに見える、しなやかな身体のライン。
目の前にある全部が愛おしくて堪らない。
「正義、あなたに……」
語り掛けながらベッドに近付こうとした私の鼻腔に届いた香りに、一瞬言葉が止まる。
私が正義に贈った香水に混じっているのは、覚えのある仄かな青臭さだった。返事もせず、こちらも見ず、じっとシーツの中で固まっている理由が分かった気がして、笑みが浮かんでしまうのを止められない。
ベッドに腰を下ろすと、正義の繭は一度だけ大きく震えた。強くなった性と精の香りと、髪の隙間から見える真っ赤な耳に愛しさがどんどんと降り積もっていく。
赤い耳を舐めて思う存分啼かせてやりたい気持ちをどうにか抑えながら腰の辺りを撫でてやると、正義の喉の奥からくぐもった声が洩れた。
「……あなたの繭を剥がしても、よろしいですか」
身を焦がしている欲と愛を籠めながら耳元で囁くと、可哀想なくらい震えて反応を返していた。きっと私が訪れる直前まで自分で慰めていたのだろう。腹の奥で燻る熱のせいで甘く熟れている正義の身体を想像するだけで私のものも反応しかけている。
あぁ、本当に愛しくて……抱き潰してしまいたい。
艶やかに咲く
シーツの蕾が開かれると同じタイミングで、正義が身体を起こした。気まずそうな表情と、ほんのり赤く染まった目元に思わず見惚れてしまうが、下半身には何も纏っていないと気付いてしまえば、そこに意識が集中してしまうのは仕方ないことだろう。
拭き取る時間と気持ちの余裕がなかったのか正義の肉棒は先走りと精液に濡れていた。一度達したあともまたすぐ欲が涌き出たのだろう。私の視線に反応しているのか、可愛らしくピクピクと震えている。
「……一人で、シていたのですか? あなたが自慰をするのは珍しい」
指先で雁首の段差を確かめるように撫でてやると、正義が小さく息を飲む音と共に、とぷりと腺液がまた溢れた。
いつもより敏感すぎる反応に、今すぐ正義のナカに私のものを埋め込んだらすぐに達してしまうくらいに気持ちいいだろうとゾクゾクする。
「ずっと身体が変で……おまえが帰って来て、ハグをしてからずっと身体の、お腹の奥がキュンキュンして熱いから……っ」
「だから、一人でこうしていたのですか」
軽く握り数回扱いただけで、正義は短い叫びと共に白濁を吐き出した。そのまま手を動かし続けていると前屈みになった正義の手が私の腕を強く掴んでくる。
「まっ、てリチャ、今はそこ、だめ、だめぇ……っ」
「まだ足りないでしょう? だってほら、またここは硬く勃ち上がっていますよ」
「や、ちが、後ろに……後ろに入れて、リチャードの熱いの欲しい。それじゃないと……っ俺の身体の熱、止まんない……っあ、アアンッ!」
硬い肉棒を強く掴んだまま、正義の身体を押し倒し自分の屹立していたものを一気に奥まで突き立てて、容赦なく何度も腸壁を抉りながら可哀想なくらい張りつめ震える正義の肉棒を愛撫した。
□ □ □
「っあ、ん、あんっ、や、りちゃあ、あっ」
甘えるように私の身体に縋りついた正義の口からはもうまともな言葉は出ていなかった。
何度達したのか数えていないが、吐き出される液はとうに色を失くし、以降はずっとドライでイき続けているせいでずっと小さな死を体感している状態にあるのかもしれない。
こんな風に何度も体位を変え、ただ快楽だけを追い求めたのは初めてではないだろうか。正義とはもう何度も熱を交わしているが、今、本当の意味で隅々まで彼の身体を愛することが出来ている気がする。
私が腹の奥に注いだものが抽挿と共に流れ出てきた時の、快感を感じながらも、どこか切なそうな表情をするところ。
奥のすぼまりを開かれて涙を流しながら唇を舐める欲に染まった姿も。
いつもなら嫌がるのに、後ろだけで達することを受け入れた時の、大輪の花が開いたような柔らかい微笑みも。
全部、私が彼に与えた熱と欲がトリガーなのだ。
「愛しています……愛してる、正義……っ!」
「やぁ、ひっ、すご、きもちい、りちゃ、リチャッ、好き、好きぃ、リチャード……っ!」
足を限界まで開かせて、屹立を抜ける寸前まで引き抜きそのまま一気に沈める。何度も何度も、前立腺を潰す勢いで内壁を攻める。
ぐちゃり、ぶちゅりと肌がぶつかり合う音に混じり淫らな粘着音がしてももう気にならない。
「──……っあ、ぁ………っ!」
「ぅ、ぐっ……!」
──最後の吐精は、ひどく穏やかだった。
トロトロとそのまま眠りに落ちそうな正義の瞳から雫が零れたのが見えて、身体を倒して額に口付ける。それに擽ったそうに微笑んだ正義はゆっくりと意識を手放した。くたりとした身体を丁寧に扱いながら腰を引いて太い栓を抜いた途端に、大量の白濁が流れ出てくるのに──ようやく熱が鎮まるのを感じた。
