おしおき(バク山)
公開 2023/09/24 12:54
最終更新
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※昔ネットプリントで配布したSS
臍のあたりから、鈍い振動音が聞こえていた。ガクガクと震える腰と足を止める術はない。強く握りしめたシーツの冷たさとは逆に身体はどんどん熱を持ち、時折粘着音が聞こえては溢れたローションが太股を濡らしていく。
「あの程度の男が持つ情報など、その辺のチンピラを締め上げればすぐ手に入るくらい、つまらないものなのですよ。あなたはご存知ではなかったようですが」
椅子に深く腰掛け、長い足を組んで俺を眺める先生の目は氷のように……いや、それ以上に温度を感じさせない。
腹の奥に埋め込まれた激しく震える小さな機械に、前立腺を不規則に押され悶える俺の姿を見ても先生は指一本触れようとはしなかった。ただ淡々と、怒りを滲ませた声で話し続けている。
「せんせ、せんせぇごめんなさ……ン、んぁぁ!」
「あの薄汚い手で触れさせただけですか? それとも舐められましたか? 山田さん、あなたは私の教えをすっかり忘れてしまったのですか?」
「っれてな……ひ、や、わすれ、て、ないぃ……っあ、だめぇ! やぁぁ!」
「勝手な行動をするな。自分を安売りするな。私以外に触れさせるな。……どうやら何一つ守れなかったようですね。あれだけ教え込んだと言うのに」
残念です、と溜め息まじりに呟いて、先生は躊躇なくリモコンの目盛りを一気に数回分上げた。信号を受けた機械は更に激しく震え──もう振動音がはっきり聞こえるほど──ナカを好き勝手に荒らした。そのせいで角度と位置が変わったのか、ちょうど感じる部分をダイレクトに押され続けてしまう。
行き過ぎた快感に、もう悲鳴に近い声しか出なくなった喉が痛い。お仕置きの前に赤いリボンで縛られた陰茎はもうしっかりと張り詰めていて、透明な滴を垂らし続けていた。快楽を教え込まれた身体がより疼く。
もっと熱くて、もっと太い……決定的な刺激を、求めているのだと。
「せんせぇ、せんせぇ……!」
自分の間違いを謝ることも、素直におねだりすることも出来ずに、ただ泣きながら名前を呼んだ。今、俺がこの人に求められているのはそんなことじゃないとどこかで理解していた。
あなたに捨てられたらもう生きていけない。許してくれるのならなんだってすると、視線だけで必死に伝える。俺はあなたの忠実な狗。ご主人様の言葉ひとつで何にでもなれるのだと、証明しなくてはならないのだ。
「……よろしい。では腰を高く上げて、自分でオモチャを抜きなさい。コードを引くだけです。……出来ますね、山田さん?」
リモコンの目盛りは最大のまま。抜く途中でも頭がおかしくなるほどの快楽に包まれるだろう。だけどそんな無慈悲な命令でも、先生が俺を見てくれていることの方が今は嬉しい。そうして震える足を無視して腰を高く上げ、孔から伸びるコードを指に絡めた。
* * *
シーツにボトリと落とされた卵形のオモチャの振動が煩くて、そっとリモコンのスイッチをオフにする。最後絹を裂くような悲鳴を上げていた山田さんは、腰をビクビクと激しく揺らして意識を飛ばしかけている。
下腹部で揺れるリボンを解いてやれば、白濁が一度だけとぷりと出たあとでとろとろと流れた。まるで壊れた蛇口のようだ。
「おしまいですか、山田さん」
「ン、ぃあ、ぁ……」
声を掛ければぼんやりとしていた瞳に光が戻り、少しずつ腰の震えが治まっていく。それでもまだ先程までの快感は消えていないだろう。
「オモチャで満足されてもつまらないのですよ。もっと激しく奥まで責められるのがお好きでしょう? 欲しいときはどうすればいいのか、分かりますね」
うっとりと微笑んで、まるで催眠術にかけられたように山田さんが私の膝に手を載せる。そのままベルトを弛め、ファスナーを歯で下ろす姿は淫靡だった。彼の痴態に僅かながら反応していたモノを躊躇いなく咥え、顔を上下させる。
口に入りきらない分は手と舌で愛した。先走りを舐めとって味わう顔にもはや理性は感じられない。
「後ろも自分で拡げなさい。浅い部分なら指が届くでしょう」
「ん、ンん、……っぁん、ク、ぁあ……っ」
「お上手ですね。ですが舐めるのを止めて良いとは言ってませんよ」
指が良いところを押したのか、その弾みで口を外した山田さんは慌てて肉棒を咥え直しつつ、後ろを自分で抉り続けた。喉の奥から発せられる声が、口の中を質量のあるもので満たされる苦しさのせいなのか、指の刺激に後ろが熱くなっていくせいなのか分からないが、自慰にも似た行為の合間に向けられる視線が何を求めているのかは明白だった。
しっかりと立ち上がった怒張を口から外して、涎塗れの唇を指で拭ってやれば追い掛けるように指を舐め、上目遣いで私を誘う。
あぁ、こんなにも純粋に欲に溺れるなんて、なんて可愛い仔犬だろうか。
「膝の上に乗って、私をその淫らな孔に呑み込みなさい。その後は好きなように動いて構いませんよ。勝手にイクことは許しませんが、そうですね……私を満足させられたら、あなたの望みをなんでも一つ叶えて差し上げましょう」
「はぁ、ん……まんぞく……? おれ、せんせぇの、たべて、いいの……?」
「えぇ、その代わり私もあなたを食べますから」
「……うん、たべて。おれのぜんぶ、あげる」
「当然です。その髪の毛の一本ですら、あなたは私の所有物です。いいですね。これからも私に愛されていたければ、そのことを絶対に、忘れるな……誠司」
首に腕が回されて、身長の割に軽めの体重が足にかかる。ずちゅりと生々しい音を立てて繋がるソコの熱さと食い千切るような締め付けに、もう何も考えずに目の前のご馳走を貪ることにした。
* * *
シーツに飛び散ったものがどちらのものなのか、もう分からなかった。
洗濯するより新しいものを買った方が早いだろうと考えながら、ゴムを付ける余裕もなかったものを蜜壺から引き抜く。ごぷ、という音と共にそこから垂れる白濁の多さに自分でも苦笑してしまう。
山田さんはその感触が気になるのかなんとか孔を締めようと足を動かしたが、結局は力の入らない爪先がシーツを僅かに蹴っただけだった。
「やぁ、こぼれ、ちゃぅ……」
「残したままでは体調を崩しますよ。あとで掻き出して差し上げます。あなたはもう寝なさい」
もう山田さんの前からは色も粘度もないものが垂れるばかりだった。指一本動かすのも苦しいだろうと頬を撫でれば、気持ち良さそうな顔ですり寄る。
「そういえば、ご褒美は何がいいですか」
「ごほうび……?」
「私を満足させたら望みを一つ叶える、と約束したでしょう?」
肝心なところで人に甘えることが下手な山田さんが、この手の話で答えるのは大体が私に絡んだことだった。有名パティスリーの限定ケーキ。丸一日のオフ。手作りの料理を振る舞う権利。
欲のない彼が、今度はどんな願い事をするのか興味が湧いただけだったが。
「なら、おれ、………………しぃ、です」
「え?」
「せんせぇに、キス、してほしい、です」
もうほとんど睡魔に意識を絡め取られながらも告げられた願いに、声を失う。それでも願いを叶えると約束したばかりだ。山田さんの顔の横に肘をついて舌と熱を交わすようなキスをすれば、満足そうに笑って今度こそ眠りについた。
「…………愚か者め」
それが彼に向けてのものなのか、嫉妬に狂った自分に向けてのものなのか判別できないまま────蹂躙し尽くした愛しい仔犬の身体を清めるべく、横抱きにして浴室へと向かった。
臍のあたりから、鈍い振動音が聞こえていた。ガクガクと震える腰と足を止める術はない。強く握りしめたシーツの冷たさとは逆に身体はどんどん熱を持ち、時折粘着音が聞こえては溢れたローションが太股を濡らしていく。
「あの程度の男が持つ情報など、その辺のチンピラを締め上げればすぐ手に入るくらい、つまらないものなのですよ。あなたはご存知ではなかったようですが」
椅子に深く腰掛け、長い足を組んで俺を眺める先生の目は氷のように……いや、それ以上に温度を感じさせない。
腹の奥に埋め込まれた激しく震える小さな機械に、前立腺を不規則に押され悶える俺の姿を見ても先生は指一本触れようとはしなかった。ただ淡々と、怒りを滲ませた声で話し続けている。
「せんせ、せんせぇごめんなさ……ン、んぁぁ!」
「あの薄汚い手で触れさせただけですか? それとも舐められましたか? 山田さん、あなたは私の教えをすっかり忘れてしまったのですか?」
「っれてな……ひ、や、わすれ、て、ないぃ……っあ、だめぇ! やぁぁ!」
「勝手な行動をするな。自分を安売りするな。私以外に触れさせるな。……どうやら何一つ守れなかったようですね。あれだけ教え込んだと言うのに」
残念です、と溜め息まじりに呟いて、先生は躊躇なくリモコンの目盛りを一気に数回分上げた。信号を受けた機械は更に激しく震え──もう振動音がはっきり聞こえるほど──ナカを好き勝手に荒らした。そのせいで角度と位置が変わったのか、ちょうど感じる部分をダイレクトに押され続けてしまう。
行き過ぎた快感に、もう悲鳴に近い声しか出なくなった喉が痛い。お仕置きの前に赤いリボンで縛られた陰茎はもうしっかりと張り詰めていて、透明な滴を垂らし続けていた。快楽を教え込まれた身体がより疼く。
もっと熱くて、もっと太い……決定的な刺激を、求めているのだと。
「せんせぇ、せんせぇ……!」
自分の間違いを謝ることも、素直におねだりすることも出来ずに、ただ泣きながら名前を呼んだ。今、俺がこの人に求められているのはそんなことじゃないとどこかで理解していた。
あなたに捨てられたらもう生きていけない。許してくれるのならなんだってすると、視線だけで必死に伝える。俺はあなたの忠実な狗。ご主人様の言葉ひとつで何にでもなれるのだと、証明しなくてはならないのだ。
「……よろしい。では腰を高く上げて、自分でオモチャを抜きなさい。コードを引くだけです。……出来ますね、山田さん?」
リモコンの目盛りは最大のまま。抜く途中でも頭がおかしくなるほどの快楽に包まれるだろう。だけどそんな無慈悲な命令でも、先生が俺を見てくれていることの方が今は嬉しい。そうして震える足を無視して腰を高く上げ、孔から伸びるコードを指に絡めた。
* * *
シーツにボトリと落とされた卵形のオモチャの振動が煩くて、そっとリモコンのスイッチをオフにする。最後絹を裂くような悲鳴を上げていた山田さんは、腰をビクビクと激しく揺らして意識を飛ばしかけている。
下腹部で揺れるリボンを解いてやれば、白濁が一度だけとぷりと出たあとでとろとろと流れた。まるで壊れた蛇口のようだ。
「おしまいですか、山田さん」
「ン、ぃあ、ぁ……」
声を掛ければぼんやりとしていた瞳に光が戻り、少しずつ腰の震えが治まっていく。それでもまだ先程までの快感は消えていないだろう。
「オモチャで満足されてもつまらないのですよ。もっと激しく奥まで責められるのがお好きでしょう? 欲しいときはどうすればいいのか、分かりますね」
うっとりと微笑んで、まるで催眠術にかけられたように山田さんが私の膝に手を載せる。そのままベルトを弛め、ファスナーを歯で下ろす姿は淫靡だった。彼の痴態に僅かながら反応していたモノを躊躇いなく咥え、顔を上下させる。
口に入りきらない分は手と舌で愛した。先走りを舐めとって味わう顔にもはや理性は感じられない。
「後ろも自分で拡げなさい。浅い部分なら指が届くでしょう」
「ん、ンん、……っぁん、ク、ぁあ……っ」
「お上手ですね。ですが舐めるのを止めて良いとは言ってませんよ」
指が良いところを押したのか、その弾みで口を外した山田さんは慌てて肉棒を咥え直しつつ、後ろを自分で抉り続けた。喉の奥から発せられる声が、口の中を質量のあるもので満たされる苦しさのせいなのか、指の刺激に後ろが熱くなっていくせいなのか分からないが、自慰にも似た行為の合間に向けられる視線が何を求めているのかは明白だった。
しっかりと立ち上がった怒張を口から外して、涎塗れの唇を指で拭ってやれば追い掛けるように指を舐め、上目遣いで私を誘う。
あぁ、こんなにも純粋に欲に溺れるなんて、なんて可愛い仔犬だろうか。
「膝の上に乗って、私をその淫らな孔に呑み込みなさい。その後は好きなように動いて構いませんよ。勝手にイクことは許しませんが、そうですね……私を満足させられたら、あなたの望みをなんでも一つ叶えて差し上げましょう」
「はぁ、ん……まんぞく……? おれ、せんせぇの、たべて、いいの……?」
「えぇ、その代わり私もあなたを食べますから」
「……うん、たべて。おれのぜんぶ、あげる」
「当然です。その髪の毛の一本ですら、あなたは私の所有物です。いいですね。これからも私に愛されていたければ、そのことを絶対に、忘れるな……誠司」
首に腕が回されて、身長の割に軽めの体重が足にかかる。ずちゅりと生々しい音を立てて繋がるソコの熱さと食い千切るような締め付けに、もう何も考えずに目の前のご馳走を貪ることにした。
* * *
シーツに飛び散ったものがどちらのものなのか、もう分からなかった。
洗濯するより新しいものを買った方が早いだろうと考えながら、ゴムを付ける余裕もなかったものを蜜壺から引き抜く。ごぷ、という音と共にそこから垂れる白濁の多さに自分でも苦笑してしまう。
山田さんはその感触が気になるのかなんとか孔を締めようと足を動かしたが、結局は力の入らない爪先がシーツを僅かに蹴っただけだった。
「やぁ、こぼれ、ちゃぅ……」
「残したままでは体調を崩しますよ。あとで掻き出して差し上げます。あなたはもう寝なさい」
もう山田さんの前からは色も粘度もないものが垂れるばかりだった。指一本動かすのも苦しいだろうと頬を撫でれば、気持ち良さそうな顔ですり寄る。
「そういえば、ご褒美は何がいいですか」
「ごほうび……?」
「私を満足させたら望みを一つ叶える、と約束したでしょう?」
肝心なところで人に甘えることが下手な山田さんが、この手の話で答えるのは大体が私に絡んだことだった。有名パティスリーの限定ケーキ。丸一日のオフ。手作りの料理を振る舞う権利。
欲のない彼が、今度はどんな願い事をするのか興味が湧いただけだったが。
「なら、おれ、………………しぃ、です」
「え?」
「せんせぇに、キス、してほしい、です」
もうほとんど睡魔に意識を絡め取られながらも告げられた願いに、声を失う。それでも願いを叶えると約束したばかりだ。山田さんの顔の横に肘をついて舌と熱を交わすようなキスをすれば、満足そうに笑って今度こそ眠りについた。
「…………愚か者め」
それが彼に向けてのものなのか、嫉妬に狂った自分に向けてのものなのか判別できないまま────蹂躙し尽くした愛しい仔犬の身体を清めるべく、横抱きにして浴室へと向かった。
