パール・ネックレス(リチャ正)
公開 2023/09/24 01:18
最終更新
2023/09/24 12:06
「紳士が仔犬をパクッとするWebアンソロ」に投稿したSS
「……もう一度言ってくれないか、リチャード」
「ですから、あなたのぺニスを舐めさせて頂きたいのです。つまり、フェラチオがしたいと」
聞き間違いじゃなかった、と頭を抱える俺とは対照的に、リチャードは至極真面目な顔のままだった。
――話は数十分前に遡る。
お互い単独の出張が続き、時折空港で待ち合わせてお茶をすることもあったが基本的にこの三週間、俺達はほぼ離ればなれだった。
土日のエトランジェでの営業は俺とシャウルさんで片付け、その間もリチャードは買付けと商談で世界中を飛び回る。俺も似たようなものだったが、国内での案件も多かったのでリチャードほど分刻みのスケジュールにはならなかった。
そして今日、ようやく一段落ついて日本の社宅に戻ってきたリチャードをハグとキスで出迎え、腕によりをかけた食事とデザートのプリンアラモードでもてなし、そろそろ寝ようかと言う段階で、俺は何気なく聞いたのだ。
「リチャード、出張続きで疲れてるだろ。もし俺に出来ることがあれば、なんでも遠慮なく言ってくれ」
リフレクソロジーでもアロママッサージでも、中田謹製特大プリンでもリチャードの望むままに叶えてやろうと思っていたのだが。
リチャードは、想定外の言葉を返してきた。
「では、まずあなたのぺニスを舐めさせて下さい」
「……ん?」
ペニス。ペニス、つまりちんこ。生まれたときから俺の股間についている肉の棒のことだ。それをこいつは今、どうしたいって言った?
「……もう一度言ってくれないか、リチャード」
「ですから、あなたのぺニスを舐めさせて頂きたいのです。つまり、フェラチオがしたいと」
頭を抱え混乱する俺に、リチャードは至極真面目な顔のまま話を続けた。
「三週間もの間あなたに触れることが叶わなかったのです。トランジットの合間に空港であなたと話をする程度で、個室に連れ込んでセックスする余裕はありませんでしたから、あなたに飢えているのです。正義が足りない。ですので、あなたの全身を指で、口で、舌で感じさせて下さい。愛するあなたのすべてを」
途中微妙に不穏なことを口にしていたようにも思うが、珍しく早口になっているリチャードに、こいつは本当に疲れているんだなと俺の方が逆に冷静になる。
「本当はあなたに私の前で自慰をしてもらおうかとも思ったのですが」
「えっ、すぐ近くにおまえがいるのに一人で気持ちよくなるなんて嫌だし無理だよ」
「……そう言われると思いましたので、別の提案を」
する、とパジャマの上から俺の股間の膨らみを撫でたリチャードは、断られるなどまったく思っていないだろう顔で俺を見上げてきた。寝室に置いてある淡いオレンジ色の間接照明に白い肌が照らされて、まるで月の女神様のようだ。
「……正義、あなたを充電させて」
俺が言葉を発するより先に、リチャードの指が触れた先がむくりと反応を返していた。
――ああ、もう、好きにしてくれ。
ぐちゅ、ぷちゅ、ちゅぱっ。
ヘッドボードに枕を立てて背を預けて、俺の股間に顔を埋めるリチャードの髪を震える指で撫で続けた。舌が幹と裏筋をなぞり、指が口に入りきらない根元をしごく度に水音が聞こえてくるのに羞恥心が高まり続ける。
俺からの条件は二つ。
一つは、精液を飲まないこと。イくときは口から離してもらって、もし間に合わずに口内に出してしまったらティッシュに吐き出すこと。
もう一つは、フェラで達するのは二回までにして欲しいということだ。それ以上だとこの先――つまり挿入後に与えられる快楽の強さが――辛いので、俺は前戯で何回もイかされるのをなるべく避けていた。
その二つの条件のせいか、リチャードはいつも以上に時間をかけて俺の肉棒を育てていた。舐めて吸って扱いて甘噛みして、でもすぐには達しないように余韻ばかりをバラまいている。
表面張力を試すように一滴ずつ落とされる快感に、俺の意思の方が先に折れた。
ボードから背を離し前屈みになって、柔い髪を軽く引っ張ってこちらに意識を向かせる。髪の隙間から見上げてくる瞳の輝きすら、俺を高める理由になるのに。
「リチャぁ、もう、イかせて……っ! もう破裂しそうなくらい溜まってる、からぁ……!」
「ん、ふ……二回しか許されていないのですよ。まだこの程度では愛し足りません。正義、頑張ってもう少し耐えてください」
「無理、ムリ……! これはカウントには入れないからっ、だから一回出させて、おねがい……!」
「ンぷ、ちゅっ……そういうことならば、喜んで」
あっさりと口から唾液まみれの俺の肉棒を出して、リチャードは括れに手を軽く添えてから先端を強く吸った。ここから出せ、と命じるように舌で尿道口をつつかれて破裂寸前だったものが一気に外へと流れていくのがわかる。
寸前で顔を離したのでリチャードの口に入ったのはごく少量で済んだようだったが、吐精の勢いが強かったらしくリチャードの頬から首筋、鎖骨の辺りまでねっとりとした白濁をつけてしまったことに、数秒遅れで気が付き慌ててしまう。タオルを持ってこようとする俺を制したのは、当のリチャードだった。
「落ち着きなさい。拭くものなどシーツでもなんでもいいでしょう。どうせ洗うのです」
「そ、そうだけどさ……こんなに出るなんて」
「私も少し想定外でした。私がいない間、一人で慰めなかったのですか? こんなに濃くして……」
リチャードが自分の胸の辺りについていた白い粒を指先で掬いとる。それを見て何かに似ている、と考えていると、リチャードがたくさんの白い滴を付けた鎖骨を強調するように手を添えて口を開いた。
「見事な『パール・ネックレス』でしょう」
「…………なんだって?」
「スラングです。男性の精液をこうして首元や胸元に吐き出したときの様子がパールのネックレスを着けているように見えることからそう言われています」
確かに、リチャードの白い肌の上に散る大粒の滴はパールのようだ。自然の産物であるが故に正円にはならず、蕩けるような柔らかい光で輝くあの……。
「……俺、明日からパールの取り扱いやめたい」
「馬鹿を言うな。……さぁ、続きをしましょう。あと二回、私には権利があるのですから」
指で輪を作り、早々にまた俺のモノを口に含もうとしたリチャードを一度制して、飛び散ったものをシーツで拭いてやる。
結局、この日は朝方までお互いの「充電」が続き、俺たちは疲労困憊のまま午後まで眠り続けた。
――後日。結婚三十年のお祝いにとアクセサリーをエトランジェにオーダーしていたお客様を二人で接客していた際、完成したネックレスとピアスをその場で試着して喜ぶご夫婦にリチャードは微笑んでいた。
「大変お似合いですよ。……ねぇ、正義? 素敵なパール・ネックレスだと思いませんか」
そんなことを聞いてくるものだから、俺はあの濃厚な夜を思い出して疼く身体を必死に抑えつつ「ええ、お似合いです」と返すのが精一杯だった。
「……もう一度言ってくれないか、リチャード」
「ですから、あなたのぺニスを舐めさせて頂きたいのです。つまり、フェラチオがしたいと」
聞き間違いじゃなかった、と頭を抱える俺とは対照的に、リチャードは至極真面目な顔のままだった。
――話は数十分前に遡る。
お互い単独の出張が続き、時折空港で待ち合わせてお茶をすることもあったが基本的にこの三週間、俺達はほぼ離ればなれだった。
土日のエトランジェでの営業は俺とシャウルさんで片付け、その間もリチャードは買付けと商談で世界中を飛び回る。俺も似たようなものだったが、国内での案件も多かったのでリチャードほど分刻みのスケジュールにはならなかった。
そして今日、ようやく一段落ついて日本の社宅に戻ってきたリチャードをハグとキスで出迎え、腕によりをかけた食事とデザートのプリンアラモードでもてなし、そろそろ寝ようかと言う段階で、俺は何気なく聞いたのだ。
「リチャード、出張続きで疲れてるだろ。もし俺に出来ることがあれば、なんでも遠慮なく言ってくれ」
リフレクソロジーでもアロママッサージでも、中田謹製特大プリンでもリチャードの望むままに叶えてやろうと思っていたのだが。
リチャードは、想定外の言葉を返してきた。
「では、まずあなたのぺニスを舐めさせて下さい」
「……ん?」
ペニス。ペニス、つまりちんこ。生まれたときから俺の股間についている肉の棒のことだ。それをこいつは今、どうしたいって言った?
「……もう一度言ってくれないか、リチャード」
「ですから、あなたのぺニスを舐めさせて頂きたいのです。つまり、フェラチオがしたいと」
頭を抱え混乱する俺に、リチャードは至極真面目な顔のまま話を続けた。
「三週間もの間あなたに触れることが叶わなかったのです。トランジットの合間に空港であなたと話をする程度で、個室に連れ込んでセックスする余裕はありませんでしたから、あなたに飢えているのです。正義が足りない。ですので、あなたの全身を指で、口で、舌で感じさせて下さい。愛するあなたのすべてを」
途中微妙に不穏なことを口にしていたようにも思うが、珍しく早口になっているリチャードに、こいつは本当に疲れているんだなと俺の方が逆に冷静になる。
「本当はあなたに私の前で自慰をしてもらおうかとも思ったのですが」
「えっ、すぐ近くにおまえがいるのに一人で気持ちよくなるなんて嫌だし無理だよ」
「……そう言われると思いましたので、別の提案を」
する、とパジャマの上から俺の股間の膨らみを撫でたリチャードは、断られるなどまったく思っていないだろう顔で俺を見上げてきた。寝室に置いてある淡いオレンジ色の間接照明に白い肌が照らされて、まるで月の女神様のようだ。
「……正義、あなたを充電させて」
俺が言葉を発するより先に、リチャードの指が触れた先がむくりと反応を返していた。
――ああ、もう、好きにしてくれ。
ぐちゅ、ぷちゅ、ちゅぱっ。
ヘッドボードに枕を立てて背を預けて、俺の股間に顔を埋めるリチャードの髪を震える指で撫で続けた。舌が幹と裏筋をなぞり、指が口に入りきらない根元をしごく度に水音が聞こえてくるのに羞恥心が高まり続ける。
俺からの条件は二つ。
一つは、精液を飲まないこと。イくときは口から離してもらって、もし間に合わずに口内に出してしまったらティッシュに吐き出すこと。
もう一つは、フェラで達するのは二回までにして欲しいということだ。それ以上だとこの先――つまり挿入後に与えられる快楽の強さが――辛いので、俺は前戯で何回もイかされるのをなるべく避けていた。
その二つの条件のせいか、リチャードはいつも以上に時間をかけて俺の肉棒を育てていた。舐めて吸って扱いて甘噛みして、でもすぐには達しないように余韻ばかりをバラまいている。
表面張力を試すように一滴ずつ落とされる快感に、俺の意思の方が先に折れた。
ボードから背を離し前屈みになって、柔い髪を軽く引っ張ってこちらに意識を向かせる。髪の隙間から見上げてくる瞳の輝きすら、俺を高める理由になるのに。
「リチャぁ、もう、イかせて……っ! もう破裂しそうなくらい溜まってる、からぁ……!」
「ん、ふ……二回しか許されていないのですよ。まだこの程度では愛し足りません。正義、頑張ってもう少し耐えてください」
「無理、ムリ……! これはカウントには入れないからっ、だから一回出させて、おねがい……!」
「ンぷ、ちゅっ……そういうことならば、喜んで」
あっさりと口から唾液まみれの俺の肉棒を出して、リチャードは括れに手を軽く添えてから先端を強く吸った。ここから出せ、と命じるように舌で尿道口をつつかれて破裂寸前だったものが一気に外へと流れていくのがわかる。
寸前で顔を離したのでリチャードの口に入ったのはごく少量で済んだようだったが、吐精の勢いが強かったらしくリチャードの頬から首筋、鎖骨の辺りまでねっとりとした白濁をつけてしまったことに、数秒遅れで気が付き慌ててしまう。タオルを持ってこようとする俺を制したのは、当のリチャードだった。
「落ち着きなさい。拭くものなどシーツでもなんでもいいでしょう。どうせ洗うのです」
「そ、そうだけどさ……こんなに出るなんて」
「私も少し想定外でした。私がいない間、一人で慰めなかったのですか? こんなに濃くして……」
リチャードが自分の胸の辺りについていた白い粒を指先で掬いとる。それを見て何かに似ている、と考えていると、リチャードがたくさんの白い滴を付けた鎖骨を強調するように手を添えて口を開いた。
「見事な『パール・ネックレス』でしょう」
「…………なんだって?」
「スラングです。男性の精液をこうして首元や胸元に吐き出したときの様子がパールのネックレスを着けているように見えることからそう言われています」
確かに、リチャードの白い肌の上に散る大粒の滴はパールのようだ。自然の産物であるが故に正円にはならず、蕩けるような柔らかい光で輝くあの……。
「……俺、明日からパールの取り扱いやめたい」
「馬鹿を言うな。……さぁ、続きをしましょう。あと二回、私には権利があるのですから」
指で輪を作り、早々にまた俺のモノを口に含もうとしたリチャードを一度制して、飛び散ったものをシーツで拭いてやる。
結局、この日は朝方までお互いの「充電」が続き、俺たちは疲労困憊のまま午後まで眠り続けた。
――後日。結婚三十年のお祝いにとアクセサリーをエトランジェにオーダーしていたお客様を二人で接客していた際、完成したネックレスとピアスをその場で試着して喜ぶご夫婦にリチャードは微笑んでいた。
「大変お似合いですよ。……ねぇ、正義? 素敵なパール・ネックレスだと思いませんか」
そんなことを聞いてくるものだから、俺はあの濃厚な夜を思い出して疼く身体を必死に抑えつつ「ええ、お似合いです」と返すのが精一杯だった。
