三月三日
公開 2024/03/03 23:08
最終更新
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小池昌代さんの小説集「裁縫師」を読みはじめた。
服の仕立てに纏わる官能。
服とは身体だけではなく、本人の持つ全てに添って作られる、本質的に悦びだろうと思う。
小説を読んで、ずっと抱えていた悲しさが慰められた気分だ。
よろこびであるべきものを奪われたのだ、と言ってもらえたような。
「嫌だったこと」と大雑把な梱包で放置してあるものに、名前をもらえたような。そういう気持ちだ。
三月三日ひな祭りだ。
毎年何かしら節句に寄せたものを食べている。年々好きな方にシフトして原型(というのがあるなら)はとどめていない。ことしは餅のすきな家族が不在なのでぼくの好きにさせてもらった。
ビスキュイとバタークッキーのサンド。
おやつの「サンド不一致」である。花はチューリップ。
花は双子姉妹のように並んでいたのを買い求めた。「ロシュフォールの恋人たち」みたいだなと。
違う個体どうしの融合という意味でマリアージュ、けっこんとはロマンチックだと思う。
異質なものどうしがくっついて違うものになる。
おもちゃを知らない子どもだったので、外に出られないときは空想で遊んだ。今でも覚えているのはお菓子の空き箱にトランプの好きなカードを組み合わせて入れ、カップルたちの住む家だと想像する遊びだ。カップルは赤と赤、赤と黒、黒と黒。すべての組み合わせがある。
けっこんという言葉を知ったとき誰から教わるでもなくごく自然に思った。だから2024年のいま、まだ日本が赤と黒以外のそれを認めてないのが奇態なことに思う。4,5歳の子どもでもあたりまえに考えることなのにと。
服の仕立てに纏わる官能。
服とは身体だけではなく、本人の持つ全てに添って作られる、本質的に悦びだろうと思う。
小説を読んで、ずっと抱えていた悲しさが慰められた気分だ。
よろこびであるべきものを奪われたのだ、と言ってもらえたような。
「嫌だったこと」と大雑把な梱包で放置してあるものに、名前をもらえたような。そういう気持ちだ。
三月三日ひな祭りだ。
毎年何かしら節句に寄せたものを食べている。年々好きな方にシフトして原型(というのがあるなら)はとどめていない。ことしは餅のすきな家族が不在なのでぼくの好きにさせてもらった。
ビスキュイとバタークッキーのサンド。
おやつの「サンド不一致」である。花はチューリップ。
花は双子姉妹のように並んでいたのを買い求めた。「ロシュフォールの恋人たち」みたいだなと。
違う個体どうしの融合という意味でマリアージュ、けっこんとはロマンチックだと思う。
異質なものどうしがくっついて違うものになる。
おもちゃを知らない子どもだったので、外に出られないときは空想で遊んだ。今でも覚えているのはお菓子の空き箱にトランプの好きなカードを組み合わせて入れ、カップルたちの住む家だと想像する遊びだ。カップルは赤と赤、赤と黒、黒と黒。すべての組み合わせがある。
けっこんという言葉を知ったとき誰から教わるでもなくごく自然に思った。だから2024年のいま、まだ日本が赤と黒以外のそれを認めてないのが奇態なことに思う。4,5歳の子どもでもあたりまえに考えることなのにと。