栗の森の物語
公開 2024/12/11 23:57
最終更新
2024/12/12 00:01
UNEXTで「栗の森の物語」を観た。
スロベニアとイタリアの国境付近の森林地帯が舞台だ。
聞こえてくる言葉はどっちの国のものかよくわからない。男性たちがパブで興じる賭け事のカウントはイタリア語のようだったけど、老夫婦の会話はもっと柔らかな不思議な響きだ。
晩秋の深い色合いの森が美しくて寂しい。
画面はファンタジックな追想が挟まれる。
冷たい川に栗が流れているのは初め幻想かと思ったら違った。川に浸かって栗を拾い集めるシーンは非現実的で良かった。
若い女性と老いた男性はそれぞれ森の栗の樹で生計をたてていたのだとわかる。
男性は腕の良い職人だった。結婚の際に花嫁が持っていく道具箱も作ったのだ。栗の木で。
死の間際、老人がもう一度会いたいと思ったのは偶然出会っただけの女性だった。一人きりの臨終に立ち会う東方三賢人(何と優しい描写だろう)が、彼女のことはぼくたちが面倒をみるよ、と言う。どうやって?と問う老人に「幸運を授ける」と。
死にゆく人間をこれほど安らかにする言葉があるだろうかと思う。
ラスト、乗り合い馬車のポータブルプレイヤーからシルヴィ・ヴァルタンのLa piu bella、La plus belle pour aller danserのイタリア語バージョンが流れてくる。てっきりイタリアの歌手が歌ってるものと思ったら本人だった(日本だと中尾ミエさんが歌った「アイドルを探せ」)。というとこれは1964年頃の物語ということになるけど、おとぎ話のようで年代不詳に感じる。
村の女性たちはどの世代も踊りにいった。質素な色味のスカートと靴がステップを踏む。
スロベニアとイタリアの国境付近の森林地帯が舞台だ。
聞こえてくる言葉はどっちの国のものかよくわからない。男性たちがパブで興じる賭け事のカウントはイタリア語のようだったけど、老夫婦の会話はもっと柔らかな不思議な響きだ。
晩秋の深い色合いの森が美しくて寂しい。
画面はファンタジックな追想が挟まれる。
冷たい川に栗が流れているのは初め幻想かと思ったら違った。川に浸かって栗を拾い集めるシーンは非現実的で良かった。
若い女性と老いた男性はそれぞれ森の栗の樹で生計をたてていたのだとわかる。
男性は腕の良い職人だった。結婚の際に花嫁が持っていく道具箱も作ったのだ。栗の木で。
死の間際、老人がもう一度会いたいと思ったのは偶然出会っただけの女性だった。一人きりの臨終に立ち会う東方三賢人(何と優しい描写だろう)が、彼女のことはぼくたちが面倒をみるよ、と言う。どうやって?と問う老人に「幸運を授ける」と。
死にゆく人間をこれほど安らかにする言葉があるだろうかと思う。
ラスト、乗り合い馬車のポータブルプレイヤーからシルヴィ・ヴァルタンのLa piu bella、La plus belle pour aller danserのイタリア語バージョンが流れてくる。てっきりイタリアの歌手が歌ってるものと思ったら本人だった(日本だと中尾ミエさんが歌った「アイドルを探せ」)。というとこれは1964年頃の物語ということになるけど、おとぎ話のようで年代不詳に感じる。
村の女性たちはどの世代も踊りにいった。質素な色味のスカートと靴がステップを踏む。