『捨てられない おばあちゃんの 捨て方』
公開 2025/12/11 11:11
最終更新
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―――年末。祖父母宅の二階、おばあちゃんの部屋。祖父母共に老人ホームへ入居が決まり、春からは姉が家族と共に引っ越して、DIYしながらリフォームして暮らすことになった。既に物は処分したり老人ホームへ送ったりしたため部屋は空っぽ。掃除用具がいくつか部屋に置いてある。ハルト、掃除の手伝いにやってくる。
ハルト お邪魔します。
ハルト 姉ちゃん?
ハルト はーい。
ハルト っすー。うわ。
ハルト いやマジで何も無いじゃん。
ハルト 隣?
ハルト あ、ホントだ。
ハルト そっか、こっち叔母ちゃんの部屋か。
ハルト ねぇ、何でこんな窓全開なん?
ハルト あぁ、まぁ、そっか。
ハルト わかるけど、めっちゃ寒い。
ハルト えー。
ハルト おばあちゃんの部屋の窓ってさ。
ハルト こんなに小さかったっけ。
ハルト 図体言うなって。
ハルト 俺この部屋にばっか居たじゃん。
ハルト 何か、そん時はもっとデッカい窓だと思ってた。
ハルト だから図体言うなって。
ハルト あー、うん。
ハルト 一回帰って荷物置いてきた。
ハルト あ、で、お土産、東京の。そのまま一緒に置いてきたから。
ハルト うん、みんなで食べよ。家で。
ハルト ううん、チャリ。
ハルト いやぁ、何かさ。
ハルト バス使うの勿体ない感じしちゃって。
ハルト わかってるけど、別に金あるし。
ハルト でも何だろうね、癖?抜けないんだよな。
ハルト 今日雨降んないでしょ?
ハルト まぁ、降ったら降ったで。
ハルト え、父さんってさ。
ハルト まだあのアルファード乗ってる?
ハルト あぁいや、じゃあ尚更。
ハルト だって車いす乗るならチャリ乗るっしょ。
ハルト ね。
―――ハルト、ペットボトルを取り出して一口。
ハルト ふぅ。
ハルト マジちょっとは休憩させてよ。
ハルト やっぱ帰省でスゴい、電車めちゃめちゃ混んでた。
ハルト うん、高崎までずっと立ちっぱ。
ハルト 帰って来るのに結局3時間くらいかかるし。お腹空くし。
ハルト 母さんもみんなで昼食い行こうってずっと言ってるし。
ハルト え、俺朝飯食うヤツだった?
ハルト でしょ。
ハルト いつ帰って来るって?
ハルト ふーん。
ハルト じゃあまぁ、とりあえずこの部屋やって、続きは昼食った後かな。
ハルト ね。…え、ちなみにさ。
ハルト 捨てるのどんくらいかかったん?
ハルト マージか。
ハルト まぁでも、そんくらいかかるか。
ハルト 押入れも?
ハルト あ、やっぱり?
ハルト 襖ごといったんだ。
ハルト いや無いなぁとは思ったけどね。
ハルト あ、色鉛筆は?
ハルト あ、取っといてくれた。
ハルト さんきゅー。
ハルト あ、そうなん?
ハルト あー、メルカリ。
ハルト なるほどね、そういう。
ハルト のも、売れんだ。へぇ。
ハルト まぁとは言えでしょ。
ハルト あー、確かに確かに。そういえば。
ハルト おばあちゃん、箱とかタグとか、全部綺麗に取っといてたもんね。
ハルト その分上乗せ出来るんだ。
ハルト いや何か、良いこと知った。
ハルト じゃあまぁ。
ハルト 皆さん帰って来るまで、頑張りますかねぇ。
ハルト んー。
ハルト はーい。
―――ハルト、部屋の掃除を始める。高い所から埃を落とそうと、クイックルハンディを使っていると、天井の模様に気が付く。
ハルト …ん?
―――ハルト、肉眼で見辛く、スマホで拡大したり写真撮ったり。姉が通りかかる。
ハルト んー?あー、いや、これ。
ハルト 何だろうって思って。
ハルト あー、いや、その木の節。
ハルト と、そっちにもう一個あるでしょ。
ハルト その真ん中ら辺。
ハルト でしょ。
ハルト そう。ひび割れとかじゃないし。
ハルト 何かギザギザしてて。
ハルト カミナリみたいな?
ハルト あぁ、それにも見える。
ハルト 母さん何か知ってるかな?
ハルト LINEしてみよっか。
ハルト ね。
ハルト でも案外さ。
ハルト いやマジでこの部屋も最終的に、物で溢れかえってたじゃん。
ハルト だから例えば。
ハルト そうそう、そういうのの、跡とかだったりしてね。
―――ハルト、一応母にLINEしてみる。掃除を再開する。
【続きは劇場&配信で】
(上演時の脚本は加筆修正されている場合がございます。)
【次回は1月11日(日)に公開予定です】
中西崇将 エッセイ『ハチミツはまだ早い』
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