年を取って、歳を重ねて。
公開 2025/07/11 11:11
最終更新 2025/07/11 11:29


また"隣人"に出会えた。 #


 先月。今年に入ってから毎週ずっと楽しみにしていたドラマ『続・続・最後から二番目の恋』がフィナーレを迎えた。小泉今日子演じるドラマプロデューサーの吉野千明と、中井貴一演じる市役所で働く長倉和平が繰り広げる、鎌倉を舞台にしたロマンチック&ホームコメディの作品で、今年11年振りに第三作目として帰ってきた。シリーズ第一作目が2012年に放送され、2025年となった今、自分自身が13年も同じドラマを好きでい続けられたことや、今年放送の新シリーズも同じように好きでいられたことが、何だか嬉しくて、くすぐったくて、誇らしくて、ただちょっとだけ切ない。それでも終わりを見届けられたことが、この上なく幸せだと感じる。

日々の暮らしの中に。 #


 卵が先か鶏が先か、といった具合に、自分自身このドラマを好きになったのが先なのか、それとも会話劇が好きになったのが先なのか、正直もう覚えてはいない。シリーズを頭から観返したり、同じ話を何度も繰り返し観直したり、台詞や流れは大体もう覚えてしまっていても、いつだってドラマの世界に折に触れて引き込まれたくなってしまう。今シリーズも既に何度もリピートしてしまっているのもまた事実で、ドハマりだとかオタクだとか推し活だとか、そういう言葉では括ることの出来ないくらいに、もはや生活の一部と言っても過言ではない。

 ドラマを見ない日でさえも、サウンドトラックを流しながらご飯を作ると、まるで長倉家にいるような気分になれる。改札で定期が見つからない時は、千明みたいだなと思うし和平に見つけてほしいなと思って頭の中でごっこ遊びを繰り広げてみる。嫌なことがあったとしても、テーマソングを一日の終わりに聴くだけで、ちょっぴりその日を肯定できるような気がしている。記憶が薄れていったとしても、そうやって年を取っていくのだろうし、思い出を塗り重ねていったとしても、そうやって歳を重ねていくのだろう。

いつかの未来に恋をして。 #


 聖地巡礼に出掛けてプリンスホテルに泊まった旅行を、もがいて苦しんで深酒しながらドラマに慰められていたあの夜を、いつかまた新しいシリーズが始まらないかなと思い続けていたこの11年を、「よく頑張って生きてきた」と褒めてあげたくなるご褒美のような三ヶ月だった。そして登場人物たちが同じように11年を暮らしていたことを思うと、もしかしたら鎌倉でいつかすれ違う未来があるかもしれないと、勝手に笑みがこぼれてしまう。

 出演が叶わなかったり、携わることが難しかったり、そういうキャストやスタッフもたくさんいることは重々承知ではあるが、2025年の今、奇跡のようなタイミングが幾重にも重なって、生まれた新たな物語を観ることが出来て、本当に心の底から感謝の気持ちでいっぱいだ。それと同時に、こんなにも愛している作品と役に出会えたように、愛される作品を創ることが出来たら、愛される役を演じることが出来たら、なんてことを演劇人の端くれとして思う。自分が今でも変わらずに長く愛し続けているように、どこかの誰かがいつまでもずっとこの先も愛し続けられたら。それがたとえ一人だとしても、お芝居を続けてきた意味となって、自分を支えてくれる拠り所となって、きっとこの先の人生のことを、より一層愛していけるのではないかと思うのだ。

大人になるということは。 #


 最終話を観てから二週間。この気持ちをどうしても残しておきたくてエッセイを書いた。パソコンの前に座って、時々お茶を飲みつつ、主題歌を聴きながら、キーボードを叩く。やっぱりドラマが終わってしまったことが寂しくって仕方がない。『寂しくない大人なんていない』は記念すべき第一作目の第一話のサブタイトル。13年経って随分と大人になったみたいだ。

【次回は8月11日(月)に公開予定です】

中西崇将 エッセイ『ハチミツはまだ早い』
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