ほうよう と ひのけんし とご主人とお嬢様
公開 2025/08/28 16:47
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サーナイトの章
私はほうようポケモン、サーナイト。
トレーナーのために命をかけるポケモンです。
私も多くのサーナイトの例に漏れず、ご主人のためならどんなことだってできます。
私のご主人は賢くて可憐で美しく、そしてとても、とってもお人好しです。
いつか足元をすくわれるのでは?と心配になってしまいます。
だから私が守って差し上げなければいけません。
私と同じく、ご主人に仕える騎士気取りのあんにゃろう……エルレイドは私を心配性扱いしますが、心配して何が悪いんでしょうか?
私のムーンフォースで一撃KOされる程度の分際で知ったふうなことを言わないでいただきたいです。
同じメガシンカ持ちでありながら、メガストーンを渡されているのも私ですし、ご自身の立場を理解されたほうがいいかと。
「僕もたまにメガシンカで戦ってるけどね」
「比率が全く違いますよね?
私のほうが圧倒的にメガシンカしています」
「それはそうだけど、そこ張り合うかな?
適材適所でしょ」
それはともかく、この間もご主人はご友人のために奔走して、最終的に手持ち全員がハサミギロチンを受けて負けたかのような疲れ果てた顔をしていました。
そんなことが頻繁に起こります。
心配しないほうが異常でしょう?
ご主人は頼りにされて嬉しいとおっしゃいますが、いつか倒れるのではないかと思うと22時からご主人が起こしに来てくださる翌6時までしか眠れません。
まあ、ご友人方も調子に乗ったりはしませんし、ご主人を労って様々なことをしてくださるので、あまり文句も言えませんが。
「よく眠れているようでよかったよ」
「よくありません。
私はもっと寝ていたいです」
でも、本当にご主人を危険な目に合わせるような輩が現れたら私はブラックホールを生み出すことも辞さないつもりです。
でもご主人はそれを全力で拒否なさいます。
この間もガラの悪い連中が絡んできて、ご主人の神がかった指揮のもと、私たちが返り討ちにするということがありまして、怒りが収まらずトレーナーに直接鉄槌を下そうとしたら、エルレイドにみねうちされ、その後ご主人に叱られてしまいました。
反省していますが、攻撃してきたエルレイドにはムーンフォースをお見舞いしてやりました。
たくさん叱られましたが、それでも挫けず私はご主人を全力でお守りし続ける所存です。
なぜなら、私は最強のご主人最終防衛ラインなのですから。
「あの時のムーンフォースは痛かった。
本当に痛かった」
「それはそうでしょう。
痛いようにお見舞いしましたから」
ソウブレイズの章
私はひのけんしポケモン、ソウブレイズ。
怨念の宿る鎧と剣を持つ。
しかしそんな怨念など吹っ飛ぶような、お嬢様の愛に私は報いなければならない。
相棒のグレンアルマと共に、お嬢様を守るのが私の使命であり、望みだ。
グレンアルマは本当にお嬢様への忠誠心が厚い。
私も負けてはいられないが、ひとつだけ不満点がある。
彼女は戦いの行儀が良すぎるのだ。
正々堂々を信条としているようだが、手段を選んで果たして本当にお嬢様を守れるのだろうか?
「何を言ってるの。
私たちの戦い方でお嬢様の人となりが判断されるのよ。
あなたのように手段を選ばない戦い方は、お嬢様の顔に泥を塗ることになるんじゃない?」
「我々の戦い方でお嬢様を理解したつもりになる連中など、気にする必要はなかろう」
「そういう問題じゃないでしょ」
まあしかし、言わんとしていることはわかる。
世の中には、単純にしか物事を見られない者たちがいるからな。
だが、そもそも我らソウブレイズは闇打ちなどが得意なポケモンなのだ。
そういう生き様のポケモンなのだ。
その部分を無視してお嬢様を卑怯呼ばわりする人間がいたら、そいつの方が間違っている。
ああ、それを言ったら、グレンアルマもそういうものか。
正々堂々という生き様がグレンアルマなのだ。
不満に思うのはやめよう。
それぞれ個性というものがある。
話は変わるが最近、このあたりの地域でお嬢様のご友人が、バトルでそこそこ名を上げているらしい。
お嬢様は血が騒ぐなどとおっしゃっていた。
お嬢様が望むならば、私はご友人のポケモンと喜んでバトルをする。
それに、私もそろそろ全力で戦いたかったところだ。
「ご友人の相棒って、あのサーナイトだよね。
正直苦手なのよね、あのずれた忠誠心」
「そうか?
全てを滅ぼしてでも主を守らんとする気概は、むしろ賞賛すべきことだと思うが?」
「あー、このソウブレイズもそういう奴だった」
ともかく、お嬢様の神がかった指揮があれば、負けることなどあるまい。
お嬢様は全てにおいて完全。
完璧かつ完了している。
世界はお嬢様を中心として回るべきだ。
お嬢様は常に正しい。
お嬢様が白と言えば黒も白。
お嬢様がマユルドと言えばカラサリスもマユルド、進化すればドクケイルだ。
お嬢様が言えばソウブレイズもグレンアルマなのだ。
「そんなことは絶対に無いからね。
あなたはソウブレイズだよ?」
「当たり前だろう。
ものの例えだ」
「その例えがおかしい気がするのよねぇ」
サーナイトとソウブレイズの章
ご主人のために全力で戦いましたが、情けない限りです。
負けこそしませんでしたが、勝利を捧げることができませんでした。
あまりの泥仕合にご主人とご友人が止めに入り幕切れとなったのです。
それにしても、ご友人のソウブレイズがあれほどの強さだとは、正直予想外です。
エルレイドだったら1分で負けているでしょう。
私はあんにゃろうよりも優秀なので、倒れることはなかったのですけど。
とはいえ、なかなか侮れない奴でした。
ありえないと思うような意表を突く攻撃のしかたを何度もしてきました。
対応するので精一杯なことが多かったと記憶しています。
あれは脅威ですね。
早いところ、攻略方法を見出してあのソウブレイズを叩きのめしておかなければ。
万が一、何かの間違いでご主人に牙を剥かれたらお守りできる自信は普段の1%ほど少なくなることでしょう。
まあ、牙を剥くなんてことは無いと思いますが、念の為。
どちらにせよ、本気の本気になった私に勝てるものなど、ご主人以外に存在し得ません。
ご主人こそ、この世の全ての真実を凝縮した無敵の存在なのですから。
ご主人のためにも、次こそは勝ってみせます。
そして、ご主人の素晴らしさを教え込めれば完璧。
潜在的な脅威も去りますね。
「ソウブレイズが牙を剥くかも、だなんて、やっぱり心配性じゃないか、君。
それに、ソウブレイズに変な洗脳みたいなことするの、やめなって」
「うるさいですよ。
ムーンフォースを浴びたいのですか?」
「それは嫌だけど……」
「では、黙っていてくださいね?」
あのサーナイト、恐るべき戦闘能力だった。
こちらのあらゆる攻めのテクニックを紙一重でかわし、反撃も入れてくるとは。
だが私は感動した。
主のために己の全能力を余すことなく発揮できることに。
彼女の強さは主への思いの強さだ。
主からの愛情がよほど強いのだろう。
サーナイトとその主へは深い尊敬の念を抱く。
なんて素晴らしいのだろう。
グレンアルマは、サーナイトにあまり良い感情を持っていないようだが、一戦交えればその心に感服するはず。
とはいえ、私もお嬢様への忠誠は負けないつもりだがね。
私の全てはお嬢様のために。
そんなお嬢様へ勝利を捧げられなかったどころか、お手を煩わせてしまった自分が許せん。
お嬢様が止めに入るような無様な戦いを見せてしまったこともな。
次こそは熱きバトルを行い、あの強きサーナイトを破り、お嬢様にお喜びいただこう。
そのためには、あらゆる手段を用いて戦わねばならない。
勝負は心の持ちようも大きく関わってくる。
ならばサーナイトに対し、なんらかの精神攻撃を行えば、力を削げるのではないか?
戦闘中に集中できなくなるようなことをすれば、こちらが有利になるはずだ。
どんな手を使っても、お嬢様へ勝利を捧げるのだ。
お嬢様の指示と、私の実力プラス精神攻撃ならば、勝てぬことはあるまい。
「悔しかったのはわかるけど、それ、ソウブレイズの手段を選ばない戦い方の枠を越えて、普通に卑劣の極みだからやめなね」
「……冷静に考えたら、お嬢様の顔に泥を塗ることになるな。
わかった、やめよう」
「他のソウブレイズはそんな考え方はしないのに、なんであなただけ度を越したことを考えるの?」
「個性というやつではないか?」
私はほうようポケモン、サーナイト。
トレーナーのために命をかけるポケモンです。
私も多くのサーナイトの例に漏れず、ご主人のためならどんなことだってできます。
私のご主人は賢くて可憐で美しく、そしてとても、とってもお人好しです。
いつか足元をすくわれるのでは?と心配になってしまいます。
だから私が守って差し上げなければいけません。
私と同じく、ご主人に仕える騎士気取りのあんにゃろう……エルレイドは私を心配性扱いしますが、心配して何が悪いんでしょうか?
私のムーンフォースで一撃KOされる程度の分際で知ったふうなことを言わないでいただきたいです。
同じメガシンカ持ちでありながら、メガストーンを渡されているのも私ですし、ご自身の立場を理解されたほうがいいかと。
「僕もたまにメガシンカで戦ってるけどね」
「比率が全く違いますよね?
私のほうが圧倒的にメガシンカしています」
「それはそうだけど、そこ張り合うかな?
適材適所でしょ」
それはともかく、この間もご主人はご友人のために奔走して、最終的に手持ち全員がハサミギロチンを受けて負けたかのような疲れ果てた顔をしていました。
そんなことが頻繁に起こります。
心配しないほうが異常でしょう?
ご主人は頼りにされて嬉しいとおっしゃいますが、いつか倒れるのではないかと思うと22時からご主人が起こしに来てくださる翌6時までしか眠れません。
まあ、ご友人方も調子に乗ったりはしませんし、ご主人を労って様々なことをしてくださるので、あまり文句も言えませんが。
「よく眠れているようでよかったよ」
「よくありません。
私はもっと寝ていたいです」
でも、本当にご主人を危険な目に合わせるような輩が現れたら私はブラックホールを生み出すことも辞さないつもりです。
でもご主人はそれを全力で拒否なさいます。
この間もガラの悪い連中が絡んできて、ご主人の神がかった指揮のもと、私たちが返り討ちにするということがありまして、怒りが収まらずトレーナーに直接鉄槌を下そうとしたら、エルレイドにみねうちされ、その後ご主人に叱られてしまいました。
反省していますが、攻撃してきたエルレイドにはムーンフォースをお見舞いしてやりました。
たくさん叱られましたが、それでも挫けず私はご主人を全力でお守りし続ける所存です。
なぜなら、私は最強のご主人最終防衛ラインなのですから。
「あの時のムーンフォースは痛かった。
本当に痛かった」
「それはそうでしょう。
痛いようにお見舞いしましたから」
ソウブレイズの章
私はひのけんしポケモン、ソウブレイズ。
怨念の宿る鎧と剣を持つ。
しかしそんな怨念など吹っ飛ぶような、お嬢様の愛に私は報いなければならない。
相棒のグレンアルマと共に、お嬢様を守るのが私の使命であり、望みだ。
グレンアルマは本当にお嬢様への忠誠心が厚い。
私も負けてはいられないが、ひとつだけ不満点がある。
彼女は戦いの行儀が良すぎるのだ。
正々堂々を信条としているようだが、手段を選んで果たして本当にお嬢様を守れるのだろうか?
「何を言ってるの。
私たちの戦い方でお嬢様の人となりが判断されるのよ。
あなたのように手段を選ばない戦い方は、お嬢様の顔に泥を塗ることになるんじゃない?」
「我々の戦い方でお嬢様を理解したつもりになる連中など、気にする必要はなかろう」
「そういう問題じゃないでしょ」
まあしかし、言わんとしていることはわかる。
世の中には、単純にしか物事を見られない者たちがいるからな。
だが、そもそも我らソウブレイズは闇打ちなどが得意なポケモンなのだ。
そういう生き様のポケモンなのだ。
その部分を無視してお嬢様を卑怯呼ばわりする人間がいたら、そいつの方が間違っている。
ああ、それを言ったら、グレンアルマもそういうものか。
正々堂々という生き様がグレンアルマなのだ。
不満に思うのはやめよう。
それぞれ個性というものがある。
話は変わるが最近、このあたりの地域でお嬢様のご友人が、バトルでそこそこ名を上げているらしい。
お嬢様は血が騒ぐなどとおっしゃっていた。
お嬢様が望むならば、私はご友人のポケモンと喜んでバトルをする。
それに、私もそろそろ全力で戦いたかったところだ。
「ご友人の相棒って、あのサーナイトだよね。
正直苦手なのよね、あのずれた忠誠心」
「そうか?
全てを滅ぼしてでも主を守らんとする気概は、むしろ賞賛すべきことだと思うが?」
「あー、このソウブレイズもそういう奴だった」
ともかく、お嬢様の神がかった指揮があれば、負けることなどあるまい。
お嬢様は全てにおいて完全。
完璧かつ完了している。
世界はお嬢様を中心として回るべきだ。
お嬢様は常に正しい。
お嬢様が白と言えば黒も白。
お嬢様がマユルドと言えばカラサリスもマユルド、進化すればドクケイルだ。
お嬢様が言えばソウブレイズもグレンアルマなのだ。
「そんなことは絶対に無いからね。
あなたはソウブレイズだよ?」
「当たり前だろう。
ものの例えだ」
「その例えがおかしい気がするのよねぇ」
サーナイトとソウブレイズの章
ご主人のために全力で戦いましたが、情けない限りです。
負けこそしませんでしたが、勝利を捧げることができませんでした。
あまりの泥仕合にご主人とご友人が止めに入り幕切れとなったのです。
それにしても、ご友人のソウブレイズがあれほどの強さだとは、正直予想外です。
エルレイドだったら1分で負けているでしょう。
私はあんにゃろうよりも優秀なので、倒れることはなかったのですけど。
とはいえ、なかなか侮れない奴でした。
ありえないと思うような意表を突く攻撃のしかたを何度もしてきました。
対応するので精一杯なことが多かったと記憶しています。
あれは脅威ですね。
早いところ、攻略方法を見出してあのソウブレイズを叩きのめしておかなければ。
万が一、何かの間違いでご主人に牙を剥かれたらお守りできる自信は普段の1%ほど少なくなることでしょう。
まあ、牙を剥くなんてことは無いと思いますが、念の為。
どちらにせよ、本気の本気になった私に勝てるものなど、ご主人以外に存在し得ません。
ご主人こそ、この世の全ての真実を凝縮した無敵の存在なのですから。
ご主人のためにも、次こそは勝ってみせます。
そして、ご主人の素晴らしさを教え込めれば完璧。
潜在的な脅威も去りますね。
「ソウブレイズが牙を剥くかも、だなんて、やっぱり心配性じゃないか、君。
それに、ソウブレイズに変な洗脳みたいなことするの、やめなって」
「うるさいですよ。
ムーンフォースを浴びたいのですか?」
「それは嫌だけど……」
「では、黙っていてくださいね?」
あのサーナイト、恐るべき戦闘能力だった。
こちらのあらゆる攻めのテクニックを紙一重でかわし、反撃も入れてくるとは。
だが私は感動した。
主のために己の全能力を余すことなく発揮できることに。
彼女の強さは主への思いの強さだ。
主からの愛情がよほど強いのだろう。
サーナイトとその主へは深い尊敬の念を抱く。
なんて素晴らしいのだろう。
グレンアルマは、サーナイトにあまり良い感情を持っていないようだが、一戦交えればその心に感服するはず。
とはいえ、私もお嬢様への忠誠は負けないつもりだがね。
私の全てはお嬢様のために。
そんなお嬢様へ勝利を捧げられなかったどころか、お手を煩わせてしまった自分が許せん。
お嬢様が止めに入るような無様な戦いを見せてしまったこともな。
次こそは熱きバトルを行い、あの強きサーナイトを破り、お嬢様にお喜びいただこう。
そのためには、あらゆる手段を用いて戦わねばならない。
勝負は心の持ちようも大きく関わってくる。
ならばサーナイトに対し、なんらかの精神攻撃を行えば、力を削げるのではないか?
戦闘中に集中できなくなるようなことをすれば、こちらが有利になるはずだ。
どんな手を使っても、お嬢様へ勝利を捧げるのだ。
お嬢様の指示と、私の実力プラス精神攻撃ならば、勝てぬことはあるまい。
「悔しかったのはわかるけど、それ、ソウブレイズの手段を選ばない戦い方の枠を越えて、普通に卑劣の極みだからやめなね」
「……冷静に考えたら、お嬢様の顔に泥を塗ることになるな。
わかった、やめよう」
「他のソウブレイズはそんな考え方はしないのに、なんであなただけ度を越したことを考えるの?」
「個性というやつではないか?」
