三つの想い
公開 2025/01/22 20:49
最終更新 -
「勇気を出してその黒田くんに告っちゃいなよ」

姉が笑顔でそう言った
結果はどうあれ、それが一番いいんだろうけど、なかなか決心ってつかないよね

「今はその時ではない、かも」

冗談めかしに言いながら、私はため息をついてうつむいた
それを見て姉はクスクス笑う

「そんなことないよ
大丈夫だって、うまくいくから
輝理は性格いいし、楽しい子だし
お姉ちゃんが保証しようじゃないか」

保証されてもなあ
ちょっと弱い気がするなあ
それで決心ついたら悩まないよね

「それに、当たって砕けてもお姉ちゃん保険がおりるから」

お姉ちゃん保険?
よくわからないことを言ってる

「保険がおりるとどうなるの?」

「私が外食へ招待する
二人でおいしいものを食べに行って、気の済むまで語り合おうじゃないの!」

それはありがたいな
いい保険に入れたかも
まあ、動かなきゃ始まらないもんね
ここはちょっと、姉の言うとおり勇気を出そうかな
決心がつくのなんて待ってられないから、もう勢いで告白しちゃおう


意味不明だろうが、俺は目の前が黄金に輝いているような、そんな錯覚をするほどテンションが上がっている
俺が片想いしているクラスメイトの雪原輝理に今日こそ告白しようと決意していたら、本人に呼び出され、いつの間にか告白されていた
何を言っているのかわからねーと思うが、俺はわかるぞ
まさかの両想いだったのだ

「あの、返事は、どう?」

そう言われて我に返る
嬉しすぎて呆けてしまっていた
俺は慌てながら、しかしはっきりと返事をする

「よろしくお願いします!」

しかし、告白しようとしておいてなんだけど、俺が雪原さんと付き合うのは絶望的だと思っていたよ
彼女は日村先輩が好きなのかと思ってた
試合とかけっこう見に行ってたし
日村先輩の活躍に喜んでたらしいし
俺がそれについて聞くと、意外な答えが返ってきた

「あれは、黒田くんが日村先輩と知り合いで、すごく応援してるって聞いたから
それで、ちょっと見に行こうと思ったら、試合が面白くて」

あ、なるほど
俺キッカケで部活の方のファンになったわけか
で、俺が応援している日村先輩のことを応援していたと
何はともあれ、告白してくれて感謝だ
本当に絶望的だと思っていたからな
いやしかし、これからが楽しみだな


今日は宴だ!
先日妹は頑張った!
輝理と黒田くんのカップル成立記念に、二人をおしゃれなお店へ連れてきて、ご馳走するのだ!

「すいません、ご馳走してもらっちゃって」

「全然いいよ、むしろ来てくれてありがとね!」

黒田くんは少し緊張しつつも、嬉しそうにしていた
ガチガチに固まってる様子はないし、一安心

「ちょっと大げさじゃないかな?」

輝理が呆れ笑いをしながら言ってるけど、そんなことはないぞ!
愛する妹とその彼氏のためだからね

「黒田くん、ごめんね
姉さん、ちょっとオーバーなところがあって」

「いや、むしろ俺は積極的に自分を受け入れてもらえて嬉しいけど」

なんてできた子か!
輝理は素晴らしい子を好きになったね
正直なところ、けっこう心配してたんだよね
でも、二人がまさかの両想いだったって聞いた時は勝どきを上げたかったよ
上げなかったけどね
さて、ここからは私は司会進行役だよ
余計なことは言わず、二人の絆ってやつを深めるための助けをするのみ!
さあ、存分に楽しみたまえ
君たちの未来はきっと明るい!

「ではまずはどんな感じで告白したのか、そしてOKしたのかを聞こうかな」

「ええ?当日に話したと思うけど?」

「もう一回!もう一回!」

「なんか、恥ずかしいな」

「聞かせて聞かせてー!」
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タイッツー経由でこのシンプルブログを知り、開設
ニックネームはタイッツーと同じです
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