ジャッカルは部下に、長生きしたくば自分より強い男と戦わないことだ、と何度も言ってきました。
そしてそれに従わず、身の程知らずにも複数の組織をひとりで壊滅させた男に絡み、返り討ちにあった部下二人を、俺の部下の資格はない、と処刑しました。
そして、その言葉は自分自身の心にも刻んでおり、決して自分より強い相手とは直接対決しないように行動していたのです。
水を独占できそうな、自分たちのオアシスとなりそうな村を占拠しようと画策した際も時を待ち、先走った部下たちを見捨てながら、村に滞在する、圧倒的強さを持つ男が村を去るのを待ちました。
男が去れば、そこにいるのは戦闘能力を持たない子供たちと、子供たちを保護する女性一人だけです。
ジャッカルは今が好機と、水を独占するため、攻勢に出ました。
しかし、ジャッカルに誤算が生じました。
女性が撃った猟銃の音を聞いた男が村に急いで戻ってきたのです。
ジャッカルは自分たちより強いその男とは戦いたくなかったので、子供の背中にダイナマイトを入れて放つという卑劣な行為で時間を稼ぐことにしました。
男が子供を救う際、もう一人の子供は間に合わず、女性がその子供をかばって死んでしまいました。
ジャッカルは逃げられると信じていましたが、さらに誤算が発生します。
この恐るべき男の怒りに火を点けてしまったのです。
男はジャッカルたちを追い詰めるため、行動を開始します。
まず手始めに、部下の一人に秘孔を突いた後、メッセンジャーとしてジャッカルの元へ送り込み、その死にざまを見せ、ジャッカルへの殺意を明確に伝えます。
ここまでの状況になっても、まだジャッカルは逃げ切れると信じていました。
次に男は、別行動をしている部下にジャッカルの行き先を秘孔で強制的に吐かせた後、殺害。
先回りし、その死体をジャッカルの行き先に置きました。
いよいよジャッカルは自分の立場を理解し、部下ともども恐慌状態に陥ります。
部下は男に取り入ろうとジャッカルを裏切ることにし、ジャッカルは隙を突いて自分を殺しに来た部下をダイナマイトで皆殺しにしました。
そして、極限まで追い詰められたジャッカルは、自分より強い男を相手取るにあたって、その男よりも強い、重罪で投獄された悪魔に頼ることにしました。
ジャッカルは、長らく牢獄に監禁されている悪魔に対して演技し、自分が生き別れの兄だと嘘を吐き、ジャッカルを追って現れた男を、悪魔を閉じ込めた張本人だとでっち上げました。
信じた悪魔は男と戦いますが、返り討ちにあってしまいます。
ジャッカルは悪魔を倒した男を英雄だなどと調子よく言い、逃れようとしますが、助けを求める瀕死の悪魔にがっちり手でホールドされ、身動きが取れません。
男は説得して逃れてみろと、ジャッカルの足元にダイナマイトを置き、去っていきます。
長生きしたくば自分より強い男とは戦わないことだ。
そう言ってきたジャッカルは、うっかり自分より強い男を敵に回してしまい、長生きできませんでした。
ジャッカルは悪魔とともにダイナマイトで爆死してしまいました。
「あろ！！」