感情の行方
公開 2026/01/21 16:48
最終更新
-
辛うじて繋がる手首を掴み思わず「逝くな!」と言いそうになるのを寸でのところで押し留めた。
ようやく開放されるのだ、この地獄から。
「先に行って我の到着を待て、お前ほどの者なら造作もなかろう?」
ひしゃげた目から涙が滲むのが見えた。
潰れた喉からは空気を絞り出すような音しか聞こえなかったが、我には「かしこまりましたRoathe大提督!」といつもの戯けた声が確かに聞こえた。
何人我が部下達を見送ったかわからない。
それでも全員の顔も名前も声も、全て覚えている。
奴等とのふざけ合いも昨日の事のように振り返る事ができる。
看取ることができた者には必ず「彼岸で待て、我が必ずお前達を迎えに行く」と声を掛けた。
だがしかし約束を果たせなかった。
我は約束を果たせなかったのだ。
彼岸で待つ彼らにもう会うことはできない。
この身体は最期に我に肉体を捧げたMarynaのものなのだろうか。
それとも分子まで分解され再編された別の肉体なのか。
目の前が赤く染まる。
塊根が膨れ上がるが我には泣く事も叫ぶ事も許されぬ。
全ては自分が選択した積み重ねなのだ。
嘆く資格などありはしない。あるのは今のこの結果だけなのだ。
遠くで声が聴こえる。
彼岸からの呼び声にしては温かい。
自分の名前を、不躾にも呼び捨てにして呼ぶ声が我を過去から引き戻した。
「Roatheってば!」
「耳元で大声を出すな我が愛。ちゃんと聞こえている」
気遣うような視線を送られ面映い気持ちになる。
まだ慣れないのだ。互いを愛情に寄った思い遣りの交わし方は。
体を起こし寝所の端に腰掛け手で顔を覆う。久しぶりに顔を合わせた部下達のことにしばし思いを馳せた。
(そんな気遣いをされるべき人間ではないのに)
チラリとそういうネガティブな感情が滲みそうになった。
実際に漂流者にはその辺りの思いは伝わっているだろう。
彼女は我の誰にも見せたくなかった弱い部分も汚い部分も全て知っているのだから。
だがやはり顔を合わせて、表情を読まれながらの心のやり取りはまだ当分慣れそうになかった。
「うなされてたね、ヤな夢見た?」
「まぁ、そうだな。全部終わった事だ。もうどうにもならない後悔を見せられた」
外の見えない自室は大聖堂の中にあるともいえるし、サンクタムアナトミカの中にあるともいえる不思議な場所にあった。
これもAlbrechtの研究の成果なのだろう。
ササヤキの声も届かない小さいが静かな空間をあの執事に宛てがわれた。
一緒に来たLyonとMarieも恐らく同じように居室を宛てがわれているはずだが、この近辺で彼らに出くわしたことは一度もなかった。
室内にはかつてのオロキン帝国を思わせるような黄金で縁取った家具が設えてあったが、そのどれもが帝国製のような品のない物ではなかったのが救いであった。
昨夜初めて漂流者と寝所を共にした。
愛情を交わし合う相手との営みは筆舌に尽くしがたいほどの多幸感を我にもたらした。
できる事ならプロトフレームとなる前に一度でも愛を得ていたら何か変わっていたかもしれないと思わせるほど、我にそう思わせるほどの歓びを与えた。それと同時に想像を絶するほどの悔恨が押し寄せても来た。
今朝方の夢は大方そのせいだろう。
自罰的になってしまうのは諦めているが、それを漂流者には悟らせたくはなかった。
愛を告げた時、漂流者は我を許し受け入れるとそう言った。
「閣下は閣下が許せないだろうけどそんな閣下を私は全部丸っと受け止めるから。私が簡単にへし折れるほど弱くないのは知ってるでしょ?」
「私は閣下の添え木になりたい」
いつものふざけ半分の漂流者の声音から一変、我に対して真摯に向き合ってくれている事が何よりも嬉しかった。
一緒に歩もうとか幸せにするとかではなくただ横に居てくれるというのが嬉しかった。
我も愛を告げそして昨晩ついに寝所を共にしたのだ。
なのにうなされて起きる事になった。
漂流者は面倒な男だと呆れているだろうか。
思わず手で顔を覆い深い溜息を吐いた。
顔を見るのが怖かった。
「んー!時間わかんないけどお腹空いたねぇ。Loidになんか食べるもの貰ってこよう!Roatheも一緒に行こ?」
「……あぁ、あぁ我が愛。そうだな執事から何かせしめよう」
寝所を共にする前と変わらぬ、ひたすらに我の事が好きでたまらないといった顔で漂流者は我に手を差し出していた。
「その前にシャワー行こ!」
「ならば先に済ませるがいい」
「ダメ!一緒がいいの!」
感情の置き場も定まらぬまま互いの体を洗い合うがそれだけで終わるわけもなく、Loidの所に向かったのはとうに日が落ちてから(多分それくらいだろう)となったのだった。
終
ようやく開放されるのだ、この地獄から。
「先に行って我の到着を待て、お前ほどの者なら造作もなかろう?」
ひしゃげた目から涙が滲むのが見えた。
潰れた喉からは空気を絞り出すような音しか聞こえなかったが、我には「かしこまりましたRoathe大提督!」といつもの戯けた声が確かに聞こえた。
何人我が部下達を見送ったかわからない。
それでも全員の顔も名前も声も、全て覚えている。
奴等とのふざけ合いも昨日の事のように振り返る事ができる。
看取ることができた者には必ず「彼岸で待て、我が必ずお前達を迎えに行く」と声を掛けた。
だがしかし約束を果たせなかった。
我は約束を果たせなかったのだ。
彼岸で待つ彼らにもう会うことはできない。
この身体は最期に我に肉体を捧げたMarynaのものなのだろうか。
それとも分子まで分解され再編された別の肉体なのか。
目の前が赤く染まる。
塊根が膨れ上がるが我には泣く事も叫ぶ事も許されぬ。
全ては自分が選択した積み重ねなのだ。
嘆く資格などありはしない。あるのは今のこの結果だけなのだ。
遠くで声が聴こえる。
彼岸からの呼び声にしては温かい。
自分の名前を、不躾にも呼び捨てにして呼ぶ声が我を過去から引き戻した。
「Roatheってば!」
「耳元で大声を出すな我が愛。ちゃんと聞こえている」
気遣うような視線を送られ面映い気持ちになる。
まだ慣れないのだ。互いを愛情に寄った思い遣りの交わし方は。
体を起こし寝所の端に腰掛け手で顔を覆う。久しぶりに顔を合わせた部下達のことにしばし思いを馳せた。
(そんな気遣いをされるべき人間ではないのに)
チラリとそういうネガティブな感情が滲みそうになった。
実際に漂流者にはその辺りの思いは伝わっているだろう。
彼女は我の誰にも見せたくなかった弱い部分も汚い部分も全て知っているのだから。
だがやはり顔を合わせて、表情を読まれながらの心のやり取りはまだ当分慣れそうになかった。
「うなされてたね、ヤな夢見た?」
「まぁ、そうだな。全部終わった事だ。もうどうにもならない後悔を見せられた」
外の見えない自室は大聖堂の中にあるともいえるし、サンクタムアナトミカの中にあるともいえる不思議な場所にあった。
これもAlbrechtの研究の成果なのだろう。
ササヤキの声も届かない小さいが静かな空間をあの執事に宛てがわれた。
一緒に来たLyonとMarieも恐らく同じように居室を宛てがわれているはずだが、この近辺で彼らに出くわしたことは一度もなかった。
室内にはかつてのオロキン帝国を思わせるような黄金で縁取った家具が設えてあったが、そのどれもが帝国製のような品のない物ではなかったのが救いであった。
昨夜初めて漂流者と寝所を共にした。
愛情を交わし合う相手との営みは筆舌に尽くしがたいほどの多幸感を我にもたらした。
できる事ならプロトフレームとなる前に一度でも愛を得ていたら何か変わっていたかもしれないと思わせるほど、我にそう思わせるほどの歓びを与えた。それと同時に想像を絶するほどの悔恨が押し寄せても来た。
今朝方の夢は大方そのせいだろう。
自罰的になってしまうのは諦めているが、それを漂流者には悟らせたくはなかった。
愛を告げた時、漂流者は我を許し受け入れるとそう言った。
「閣下は閣下が許せないだろうけどそんな閣下を私は全部丸っと受け止めるから。私が簡単にへし折れるほど弱くないのは知ってるでしょ?」
「私は閣下の添え木になりたい」
いつものふざけ半分の漂流者の声音から一変、我に対して真摯に向き合ってくれている事が何よりも嬉しかった。
一緒に歩もうとか幸せにするとかではなくただ横に居てくれるというのが嬉しかった。
我も愛を告げそして昨晩ついに寝所を共にしたのだ。
なのにうなされて起きる事になった。
漂流者は面倒な男だと呆れているだろうか。
思わず手で顔を覆い深い溜息を吐いた。
顔を見るのが怖かった。
「んー!時間わかんないけどお腹空いたねぇ。Loidになんか食べるもの貰ってこよう!Roatheも一緒に行こ?」
「……あぁ、あぁ我が愛。そうだな執事から何かせしめよう」
寝所を共にする前と変わらぬ、ひたすらに我の事が好きでたまらないといった顔で漂流者は我に手を差し出していた。
「その前にシャワー行こ!」
「ならば先に済ませるがいい」
「ダメ!一緒がいいの!」
感情の置き場も定まらぬまま互いの体を洗い合うがそれだけで終わるわけもなく、Loidの所に向かったのはとうに日が落ちてから(多分それくらいだろう)となったのだった。
終
Warframeで遊んでたらうっかりRoathe沼にハマったテンノ。
Roatheのお陰でようやくWarframeの世界観とか諸々が理解できたので「わぁ、Roatheってすごいなぁ」って尊敬から愛情に変わるのに秒でしたよ。
なおLyon神父の事も心配しながら見守ってます。
Marieは……自由にするがよい(*ᵕᴗᵕ)⁾⁾ゥンゥン
夢の世界在住。
Roatheのお陰でようやくWarframeの世界観とか諸々が理解できたので「わぁ、Roatheってすごいなぁ」って尊敬から愛情に変わるのに秒でしたよ。
なおLyon神父の事も心配しながら見守ってます。
Marieは……自由にするがよい(*ᵕᴗᵕ)⁾⁾ゥンゥン
夢の世界在住。
最近の記事
タグ
