『書く習慣』2024/07/03〜2024/07/06
公開 2024/07/08 22:45
最終更新
2024/07/10 14:08
目次
『書く習慣』雑感 #
ご来訪ありがとうございます。
本格的どころか体温を越すような気温の地域もあるそうで、皆様体調を崩されてはいないでしょうか。
こちらも7月の記録に迫る最高気温になりました。本当に、毎年夏は油断ならなくなっていますね。
今回のまとめ4日分は、七夕を目前にしているからか星や願いに纏わるお題が多かったなぁ、と。
その時思い付いたものを徒然と書いてはおりますが、お題を上手く表現出来ていればと思います。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
個人的テーマ #
前回同様、家族から疎まれ世界的災難で全てを失いながらも正義を貫き強く生きる青年と、自らが聖と邪どちらの存在か不明な別世界の魂を持った少女の二人をテーマに書いております。
できる限り簡潔で繊細な表現を目指してます。
時間軸を統一していないので、片思い、両片思い、両思いと二人の関係性が話によって変わります。ご了承下さい。
『書く習慣』再掲文章 #
2024/07/03《この道の先に》 #
「うーん、確かここを曲がって…。」私は以前見掛けた雑貨屋さんに行こうとしていた。
その時は時間がなかったのでちらりと覗くだけだったけど、素敵なデザインのペンやノートが並んでいて、次は絶対にここに行くんだと決めていた。
のだけれど。
行けども行けどもお店の姿は見えず。
あれ、おかしいな。あの日は暑かったし幻でも見てたかな?
そもそも帝都は実際に歩いてみると、同じような建物が並んでいるので迷いやすい。
上から見るならともかく、どこで曲がればよいかが物凄く分かり辛い。
まずい。そろそろ疲れてきた。せめて知ってる場所に出ないと。
夏の太陽も元気な中、きっとこの先に!と当たりを付けて曲がってみる。
…うわー、行き止まり。
しかし、そこにはローブを羽織り深くフードを被ったお婆さんが布を掛けたテーブルに水晶玉を置き、椅子に腰掛けていた。
その身に纏う空気はどこかじっとりしていて、油断ならない雰囲気が漂っていた。
「おや、こんにちはお嬢さん。」
お婆さんは値踏みするような視線でこちらを見たと思えば、掠れた声で挨拶をした。
「…こんにちは…。」
私は緊張を走らせながら挨拶を返した。
こういう手合いは相手をせずに離れるのが一番なんだけど、何故か身体は逃げられない、逃げちゃいけないと反応する。
それにしてもどこかで見たようなそうでないような…と逡巡する。不思議な感覚だ。
「おやおや、そんなに固くならんでいいよ。危害を加えるつもりはない。」
お婆さんは一言言うと、水晶玉に両手を翳した。
すると水晶の中にはどろりとした闇が現れたと思えば、その闇を包み込むように赤い花弁が渦を巻き始めた。
この花弁…!
気付いた私に、お婆さんは面白い物を見たと言わんばかりに私に語りかける。
「ほっほほ。ほうほう。そなたは二つの存在の間で揺れ動いてるね。
こちらの自分が何者か知るところではないだろうが、いずれそなたの心がどちらの存在となるか導いてくれるだろうて。
そなたはそなたの望む先へ行きなされ。そなたの想いが全ての鍵だからね。」
二つの存在?それは、もしかして…。
思い当たる事があった私は、お婆さんにそれを聞こうとした。
「ねぇ、それって…!」
が、その質問が完成する前にテーブルの水晶玉が激しい光を放ち、私は眩んだ目を庇うように腕を当て顔を背けた。
一瞬後に目を開ければ、そこは彼の家へと続く私の知った道だった。
ローブのお婆さんもいない。さっきの袋小路は何だったのだろうか。
あのじっとりと逃げられないような空気も霧散したが、心には重苦しい物が残った。
やはり二つの存在とは、私の持つ白に近い銀髪と赤紫の瞳に関係があるのだろうか。
彼に闇の者だと断じられた、この色に。
私の想いが、全ての鍵。
その想いとは一体何で、どこへ向かうものだろう。
そんな身の置きどころのない思いに駆られ自分の身体を抱きしめていると、無性に彼の顔が見たくなった。
2024/07/04《神様だけが知っている》 #
時は大詰めを迎えた。追う形になっていた私は苦労して策を弄し、ここに来てもう手を伸ばせば敵の背を掴める所まで追い付いた。
さあ、あともう少し。
賽は投げられた。結果は、神様だけが知っている。
「まずいぞ、これ追い付かれるんじゃねぇか?」
「畜生、逃げ切れると思ったのに…。」
ふふ。ここが勝負どころ。
本気で行くからね!
気合を入れて、私は右手を振り翳した。
「5か6!5か6来て!!」
放たれた賽は、たくさんのマスが描かれた盤上をころころと転がる。
私は彼の外交に伴って訪れた国の城で、休憩中の近衛兵達とボードゲームをしていた。
ゲーム中の所持金とゴールの順位を合わせて競うボードゲームで、勝てば高級チーズをゲット出来る。
所持金は貯めた。あとは1位でゴールすれば完全に私の勝ち。
「来るな!来るんじゃねぇ!」
「1だ!1出ろ!!」
一緒に遊んでる兵士達もヒートアップしてる。
ここの国王様は勇猛かつ温和な賢王で知られているけれど、それでも兵士の仕事はストレスが溜まるらしく、外交をする彼に帯同したとは言え何もする事のない私は時間潰しとちょっとした交流を兼ねて兵士達のストレス解消に付き合っていた。
普段とは違う相手とボードゲームがしたいというのは物凄くよく分かる。相手によって盛り上がりの反応とか違うもんね。
賽は動きを緩め、一点でくるくる回り始める。
これもしかして5か6出るんじゃない?
「やった!上がれそう!!」
私は嬉しい興奮で大はしゃぎ。
片や相手の兵士達は敗北が濃厚になり、野太い悲鳴を上げる。
賽が止まりそうになり、場が最高潮に盛り上がったその時。
バン!!!!と大きな音を立てて詰め所の扉が開かれた。
そこにいたのは、和やかな笑顔で私達を見る国王様と、切羽詰まった怒り顔で肩を震わせている彼だった。
「何をしているのですか貴方達はーーーー!!!!」
彼はそう叫ぶや室内に乗り込んできて、ボードゲームの盤を回る賽ごと放るようにひっくり返した。
「「「あああああああああ!!!!」」」
ええええ!勝ちそうだったのにーー!!
勝敗は、まさかの勝負付かず。
勝負の女神様もこんな結果になるとは思わなかっただろうな。
「まあ良いではないか。兵士達の憂さを晴らすのに協力してくれたのだろう?」
穏やかなお声で国王様は仰ってくださったけれど。
「陛下、そういう問題ではございませんので。」
彼はバッサリと斬って捨てた。二国の仲良きことは美しき哉。
ああ、チーズ食べたかったな…。
「いいですか?貴女はあちこち出歩き過ぎないように。慣れぬ土地なんですから。
ましてや兵士の詰め所など、女性兵士がいるとは限らないんですからホイホイ入って行くとは何事ですか。」
その後客室に引き戻された私は、彼からこってりお説教をされる羽目になりました。
2024/07/05《星空》 #
太陽が地の下へと姿を隠し、引き換えに明星が輝き、空は葵を経て青藍に変わる。明星の光を合図に青藍にぽつりぽつりと光が灯る。
夜半にもなれば、天は天鵞絨に砕いた金剛石を散りばめたかのような輝きに満たされる。
細かな輝きは身を寄せ合い、乳白色の河となり天頂を穏やかに流れていく。
金銀の煌きを放つ赤紫の瞳の少女は、天へとその両手を伸ばす。
己が瞳の輝きと同じものを掬い取るかのように。
少女の白銀の髪が、天頂の河のように風に流れ揺らめく。
木々は囁き応えるように、緑の葉をさやさやと鳴らした。
その望みは何れに向かうか。
その願いは何処にあるか。
星々も瞬き語りかける。
泣いても良い。己が想いを捨てるなかれ。
今はその小さな想いを育む時。
彼の人の孤独。
彼の者の悔恨。
彼の方々の慈愛。
その想いが強ければ、何れ全てに手が届く。
想いは紅き弧を描き螺旋となり、全てを繋ぐ。
その時少女の指先で、星が一粒大きく煌めいた。
2024/07/06《友だちの思い出》 #
思えば僕は、親しい友人と言える相手がいない。親と死に別れ家を守っている齢の離れた兄姉に疎まれていた僕は、教育も乳母から個人的に受けていた。
代々皇帝に仕える家系から自然と軍人になった為か気の置けない人物も周りにはおらず、後に非人道的な作戦への参加を拒否した僕を味方してくれる者など全くいなかった。
飛ばされた牧歌的な場所での生活は肌に合い住まう人々とも和やかにやり取り出来てはいたが、自分でもどこか無意識に壁を作っていたと思う。
ある日リビングに入ると、僕に気付いていないのか彼女が窓の向こうを見ながら全く聞いた事のない言語の歌を口ずさんでいた。
メロディラインが軽快なのに気持ちが穏やかになるような旋律が心に残る。
歌詞もどんな内容なのか知りたいと思い、質問しようと彼女に呼び掛け肩に触れると、その小さな肩をびくりと大きく震わせて真っ赤にした顔を僕に向けた。
「え?な、何でしょうか?」
目を泳がせながらあわあわ慌てふためいている彼女に少しの申し訳無さを感じながら聞いてみる。
「驚かせたようですみません。素敵な歌なので、歌詞の内容を教えてほしいと思いまして。」
率直に話すと、彼女が「やっぱり聞かれてたぁ…」と小さく呟き、しばし両手で頭を抱え俯いた。
ここは刺激しないほうがよさそうだと少し待つと、復活した彼女が頬にほんのり赤みを残した顔を上げて答えてくれた。
「えっと…友だちについての歌なんです。
”あなたという友だちにこうします、こうしたいです”という内容の歌詞なんです。」
彼女はフレーズを語り始めた。
”一緒に笑顔になれれば幸せは倍になる”
”寂しさで心が埋め尽くされても分かち合えば心は軽くなる”
”秘密を話してくれたなら絶対に漏らさない”
”あなたが悩んでたら解決を手伝うよ”
”あなたが心痛めていたらそれを取り除くから”
”世界の全てが終わるまで、僕らはずっと友だちだよ”
それを聞いて浮かんだのは、かつての旅の仲間達。
初めは成り行きだった。
自国の皇帝の暴挙で心折れていた僕に「一緒に行かない?」と一人が誘いを掛けてくれたのが切っ掛けだった。
道中諍いなどもあったけれど、旅が進むにつれ確かにそこには繋がりが出来ていた。
蹲っていた僕に声を掛け、立ち上がらせてくれた人。
また術で操られたら力尽くで止めると言ってくれた人。
凝り固まっていた僕の考えを砕いてくれた人。
いつも飄々としながらもその力を発揮してくれた人。
僕とは正反対の考え方を持ちながらも、幻に攻撃されて弱っていた僕を気遣い助けてくれた人。
今も彼らとの交流は続いている。
近況を報告したり、世間話をして笑い合ったり、時には言い争いもしたり。
それでも旅の終わりから3年経った今でも、その関係は途切れていない。
そうか。気が付けば、大事なものは全て僕の手元にあったのか。
僕はしばし眼を伏せ、瞼の中に込み上げて来る物を抑えた。
眼を開けば、そこには心配そうに僕を見上げる彼女。
大事な思い出を掘り起こし、見つけ出してくれた人。
「…教えてくれてありがとうございます。」
精一杯の気持ちを込めて彼女に礼を述べ、よければもう一度歌を聴かせてほしいと何度も乞えば、音を立てそうな勢いで赤くした顔を深呼吸で落ち着かせた後に透き通るような声で友だちの歌を歌ってくれた。
最後に #
ここまで読んでくださりありがとうございます。
毎日の更新にもなるので、基本的には日常の出来事を書き表したいと考えています。
《この道の先に》は、日常の出来事に織り込みながらも割と話の大きな設定に沿って書いてます。実際にこのシーンを使うかはともかく、こんな場面があってもおかしくないようなストーリーです。実はかなりシリアスです。
《神様だけが知っている》は、日常の流れを強く出しました。人間キリッと格好良いところばかり見せて生活しているわけはないので、設定や本筋がシリアスでも気を緩めるシーンはあるだろうな、と。その結果があの盤返しになりました。気を抜けないような生活を送っている青年が無意識で気を抜いている瞬間と思っていただけると。
《星空》は、おそらく七夕のお題が控えているだろうなという予測から物語的な表現は避け、絵画的なシーンの表現に挑戦してみました。綺麗に目の中に星空が表れてくれればよいのですが。
《友だちの思い出》はかなり悩まされました。彼らにとっての友人とは何ぞや、から入ったので相当頭の中で練り込んで文章に起こしました。
青年の過去話から思考としてこういう方向に陥りがちだろうという予測から入りました。そういう意味では青年には申し訳ないことはしてます…コミュ障ではないのですがね…むしろ対話は上手な方なのですよ彼は…。
”友だちの歌”は、ご存知の方はピンと来るかも知れません。続編が今年区切りを迎えて盛り上がってます。
最後長々と失礼致しました。楽しんでいただけたでしょうか。
それでは、またお会いできますように。
