『書く習慣』2024/06/30〜2024/07/02
公開 2024/07/03 23:05
最終更新
2024/07/03 23:05
『書く習慣』雑感 #
ご来訪ありがとうございます。
さすがにこちらの地方も暑さと雨量が共に増してきました。梅雨時はこたつを出すくらい冷え込んだこの地域としては信じられない気候で、ここ数年は本当に驚いています。皆様は暑さに負けてはおられませんでしょうか。
今回は3日分のまとめになります。
お題を撚りたくなるあまりに分かり辛くなっていないかと、今頃になって心配になりました。
ただ、バレンタインも恋の告白ではなく友人同士のやり取りが主流になってきている今、この辺りの表現もどこまで通用するかが見えなくなっているのですよね。なので多少不文律から外れた物に挑戦していこうとは普段から考えてまして、その結果が特に《赤い糸》に出てます。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
個人的テーマ #
前回同様、家族から疎まれ世界的災難で全てを失いながらも正義を貫き強く生きる青年と、自らが聖と邪どちらの存在か不明な別世界の魂を持った少女の二人をテーマに書いております。
できる限り簡潔で繊細な表現を目指してます。
時間軸を統一していないので、片思い、両片思い、両思いと二人の関係性が話によって変わります。ご了承下さい。
『書く習慣』再掲文章 #
2024/06/30《赤い糸》 #
赤は魂の強さを示す色。生命、勇気、博愛、情熱。
どれも力強さと高い精神を表している。
人の運命の糸に色があるならば、彼の糸は間違いなく赤い色。
緋衣草の花も霞むような、鮮明で艶やかな赤。
炎のように燃え盛っていても、他を焼き尽くすことは決して無い。
他の心を暖める、慈愛に溢れた優しい炎の色。
運命の糸は出会った相手と繋がるという。
その後紡がれ太くなるか、解れて途切れてしまうか。
それは、各々の心次第。
想いが糸を紡ぎ、繋がりを強くする。
いつまでもどこまでも一緒にいたいから。
私はあなたを想い、見えない糸を紡ぎ続ける。
2024/07/01《窓越しに見えるのは》 #
早くに目が覚めて、カーテン越しに外を見た。空は宵闇の黒から薄紅へ色を変え。
少しだけ顔を出した朝日が、あなたの守る黄金色の街並みをだんだんと輝かせていく。
街はまだ眠っているのか、昼に建物を覆う煙はまだ静かで。
夜明けが過ぎれば、黄金色の機械達が煙を噴いて動き出す。
そこには、たくさんの人々が生きている。
悩み、苦しみ、悲しみ、笑っている。
完全な復興はまだ先だけど、きっと彼はやり遂げる。
ガラスの向こうで輝きを増す街並みは、そんな明るい未来を切り取ったかのようだった。
2024/07/02《日差し》 #
夏の刺すような日差しは、人の心を開放的にさせる。いや、開放的と言うよりは暑さで思考力が鈍るのか。
さすがに砂漠で肌を晒すような事はないが、帝都は普通の夏の気温なので皆薄着になっていく。
暖められ過ぎた身体に少しでも風の爽やかさを受けようと、出来る限り肌を出す。
女性も最近は襟ぐりを大きく開く服が流行り始めた。一時期はその影響で、男の部下達が浮足立って困らされたものだ。
僕はローブ・デコルテを見慣れているので違和感などは無く、その心境が今ひとつ理解出来ていない。いちいちそれに反応していたら切りが無い。
そう思っていたのだが。
彼女が心惹かれ足を止められていたショーウィンドウのワンピースを見た瞬間、時が止まったような気がした。
色は清楚な薄青でスカート部分も膝下まで隠れる長さではあるが、デコルテと肩を大きく出した大胆なデザイン。
デコルテと肩から下は胸下の高さまで薄手のフリルで覆われているが、その分細い腰が強調されている。
女性らしさが存分に引き出される可愛らしいデザインだと分かる。
が、僕の口から出た感想は自分でも意図しないものだった。
「ほう…これはこれは…。」
このワンピースを彼女が纏っている図を想像した時、僕の中で何かが弾けようとしていた。
これを着てほしくはない。
いや、似合うと思う。
色合いも彼女の淡い色彩にマッチしているし、デザインも彼女のスタイルを引き立てつつ清楚なイメージを崩さない。
むしろ似合い過ぎるから困るのだ。
困る?いや何故だ?
肩とデコルテか?
そうか、多分そうだ。
夏の日差しはいっそ暴力的だ。そんなに肌を晒していたら彼女の肌が傷んでしまう。
そうだ、僕が困る理由はきっとこれだ。
平常心、平常心を保つんだ。
僕は心の中でそう唱え続け、いつもの態度を崩さないよう必死に努めた。
ところが僕は思わず、そのワンピースを欲しがる彼女に紫外線と気温差の恐ろしさを捲し立ててしまった。
気が付けば、議会の討論でもここまでは勢い付けないだろうという調子で。
しまった。やってしまった。
僕は良くも悪くも昂るとつい理屈っぽくなってしまう。彼女に引かれていないだろうか。
これ以上驚かせてはいけないと、これまた僕は平常心に努める。
普通に笑えているだろうか。
しかし、そんな僕の葛藤を全く意に介した様子無く彼女は呟いた。
「でも凄く可愛いんだよね。今度の外出の時に着たいな。」
…それは次の休暇に入れている約束の事だろうか。
僕との外出の際に、自分のお気に入りの服を着たいと願う。
もしかして彼女は僕が考えてる以上に共に出掛ける事を喜んでくれているのだろうか。
本当に、貴女にはいつもしてやられてしまう。
僕の心をかき回し、いつもは奥に潜む感情を引っ張り出す。
そして、何故かそれがとても心地好い。
弾けそうだった気は緩み、つい苦笑を浮かべてしまう。
そうだ、ショールを着ければ肩を晒す事もないか。
かき回された心を必死に隠しながら提案すれば、頬を染めて喜ぶ彼女と視線が絡み合う。
その眼差しに、心が見透かされてしまうのではないか。
ギュッと啼いた心臓を合図に、僕は慌てて顔を逸らし、彼女の手を取り店内へと誘った。
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先日6月28日《夏》の別視点です。
最後に #
ここまで読んでくださりありがとうございます。
実は赤い糸の表現は東アジア特有で、元になる中国では足首を赤い縄で繋いでいるそうです。
私のテーマはこことは違う世界のものなのもあり、運命の三女神と混ぜた感じにしてみました。
《窓越しに見えるのは》は、本当に思い浮かばなくてぎりぎりで情景を頭の中で描いたものを書きました。窓枠で区切られるので、絵画的な見え方がよいな、と。
最後の《日差し》も、これまたぎりぎりまで思い浮かばず、最後の手段として過去作の別視点でまとめました。その結果、青年も私も色んなものが弾けました。出来る限り肉体的な表現は用いずに如何に心情を語れるかで勝負を挑みました。再三言いますが、青年は心の傷と恋愛未経験者故に自分の心情に鈍いです。遅れそうになった事と青年に対して反省はしてますが、後悔はしておりません。
楽しんでいただけたでしょうか。
それでは、またお会いできますように。
