窓ぎわ
公開 2010/09/01 08:56
最終更新
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窓ぎわの畳に座っていると電話が鳴って、弟が「じゃあ行くね」と言った。玄関先では何かの点検をしていて青い作業服の男が二人お喋りをしながら行ったり来たりしている。何を言えばいいのか分からなかったので黙っていると電話の向こうでは砂利を踏む音がして弟が「窓」と言った。見下ろすと、窓のしたに弟が立っている。「お世話になりました、またね」その顔を見てもやはり私には言うべきことも、つくるべき表情も分からない。無言で頷くと弟はひらひらと手を振って踵を返した。弟が去って喪失感にとらわれるほど感傷的ではないが「またね」という言葉を鵜呑みにできるほど楽天的でもない私は再び窓に寄りかかるようにして畳に座り玄関のほうを見た。青い作業服の男たちが何かを言って、頭を下げる。いま私の視線の先では、ゆっくりと部屋の扉が閉じる。
車の運転と犬が好き
他人に話すほどでもなく日記に書くほどでもないメチャクチャどうでもいい話と過去の習作置き場です
「いま私は静かにしている」はいちおう連作ですが、それぞれの話につながりはないです
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