『RACING』とは?
公開 2024/06/06 23:37
最終更新 -
月1本ぐらいは更新したい…と思っていたものの、
5月は見事に忘却の彼方w

ということで、久々の更新ですが、
今回は旧ブログからのライナーノーツ移植ではなく、
前回と同様、かつて自サイトにアップしていた文章の移植です。

初出が2001年2月と古い上に、内容的にも
「当時を知る人&そちら方面に明るい人」以外にはわけわかめですがw
改行位置の修正・追加以外は、記事タイトルも含めて当時の原文ママです。


============
WGPフリークを自認する人間ならば、避けて通れない「事件」がある。
1998年、シリーズ最終戦・アルゼンチンGP、250ccクラス。
…そう、最終ラップの最終シケインで、ロリス・カピロッシ(アプリリア=当時)が、
2位を走る原田哲也(アプリリア)を強引にオーバーテイクしようとして激突。
原田は転倒→コースオフしてリタイア、
カピロッシはそのまま2位でゴールしタイトルを獲得した、あの「事件」だ。

チャンピオンを目の前にしながら、一瞬にして被害者となってしまった原田は、
一躍「悲劇の主人公」として世界中の同情を一身に集めた。
一方のカピロッシは、その行為を「卑劣」と断罪され、
ダーティーなチャンピオンというレッテルを、否応なしに貼られてしまった。
特に、被害者・原田の母国でもあるこの日本では、

 「そこまでしてタイトルが欲しいのか?」
 「わざとぶつかりやがったな、てめぇ!!」
 「お前は全てのWGPファンを敵に回したぞ」
 「ミサイル野郎!!」

…と、半ばヒステリックにも思える罵詈雑言が、
あらゆるメディアを経由してカピロッシに投げつけられた。
そして、あれから2年以上が経った今でも、
カピロッシの行為は断罪され続けているのが現状だ。

しかし、俺は全く違う見方をしていた。
その時点では確かにショックではあったが、一方的に原田に肩入れする気にはならなかった。
なぜなら、俺にはカピロッシがわざとぶつかったとは思えなかったからだ。


このレースも、原田とカピロッシにバレンティーノ・ロッシ(アプリリア=当時)を
加えた3人でトップを争うという、このシーズン恒例となった展開であった。
カピロッシと原田が何度も首位を入れ替え、ロッシが後方から追う展開だったが、
最終ラップに業を煮やしたロッシが首位を奪う。
その直後、コース中ほどの高速コーナーで原田がカピロッシをパスして2位に。
このままゴールすれば、ポイントは220ポイントで並ぶが、
優勝回数の差で原田がチャンピオン…という状況。
だが当然、カピロッシとて5年ぶりに巡ってきたタイトル獲得のチャンスを
逃すワケにはいかない。
もはやオーバーテイク可能な場所は、最終シケインだけ。
戴冠のためにはそこで仕掛けるしかない、…カピロッシならずともそう考えるだろう。
しかも原田は、ブロックラインを取るコトもせず、
通常のレコードラインでシケインに進入して行く。
カピロッシはその考えを実行に移し、そして原田のインにマシンをねじ込む。
その結果がどうなったかは先述の通りであり、もはや衆目の知るところである。


この「事件」の報道においては、カピロッシが原田のマシンの横っ腹に
わざと突っ込んだかのような報道のなされ方がほとんどであった。
だが、VTRで改めて検証してみると、2台が接触したまさにその瞬間、
カピロッシのマシンはホイール半分ほど原田より前に出ているのだ。
もし故意に衝突したのであれば、フロントホイールから原田めがけて
-文字通り「ミサイル」の如く突っ込んでいったのではなかろうか。
あの映像からは、カピロッシには原田をオーバーテイクする意志が
あったというコトが見てとれる。
つまり「故意ではない」、
-イコール「レーシングアクシデントにすぎない」というコトだ。

そして、先述したように、原田は全く通常のレコードラインをトレースしながら
最終シケインをクリアしようとした。
が、この点を問題にしている人間は全くいない。
タイトル争いの緊迫したあの状況を考えれば、
カピロッシがあの場所で仕掛けてくるであろうコトなど、
俺のようなシロートにすら想像がつくというモノだ。
にもかかわらず、原田はブロックラインを選ばなかった。
そしてインを許し、接触してしまった。

俺に言わせれば、あれは原田の「甘さ」である。
タイトルを獲れる位置にいるにもかかわらず、
状況を読めていなかったのではないかと疑わざるを得ないのだ。
あそこで原田がブロックラインを選択し、その結果としてカピロッシが転倒したとしても、
恐らく誰も原田を非難するコトはないであろうと思われる。
それが、タイトルを獲るためにはやむを得ない選択であり、「レース」であるからだ。

にもかかわらず、形は違えど同様の「選択」をしたカピロッシは、
轟々たる非難の矢面にさらされるハメになった。
…それを不公平とは言わないのか?
カピロッシが非難されるなら、原田の甘さも問題にされて然るべきだし、
原田は悪くないと言うのならカピロッシも悪くはない、-俺はそう思っている。


俺は、雑誌や新聞の読者欄における「カピロッシ断罪」を目にするたびに、
苦々しい気分にさせられた。そこに、
「ニッポン!チャチャチャ!」的な、偏狭にして古色蒼然とした
『似非ナショナリズム』を感じたからだ。
少なくとも、そういった各種批判文からは、
「被害者が“日本人”だからヒステリックに騒いでる」という印象しか感じられなかった。
当時、WOWOWの実況解説で、その前年にF1最終戦(ヘレス)で、
M・シューマッハーがJ・ビルヌーブにわざとカブせてタイトル獲得を
阻止しようとした件を引き合いに出して
「カピロッシは全ポイント剥奪にすべきだ」などと公正さのかけらもない
感情論を口走った八代俊二と同レベルの「視野狭窄」とでも言うべきモノだ。

実際、
「こいつら、仮に被害者が原田じゃなくて(オリビエ・)ジャックや
 (ラルフ・)ワルドマンだったらこんなに騒いだりしないだろ。逆の
 状況になってれば、どうせ原田を擁護するんだろ?」
と感じた俺は、そういった論旨の投稿を『ライディングスポーツ』誌に出した。
が、当然のように、俺に同調する人間などいなかった
(ハナから期待もしていなかったが)。

 「日本人が日本人ライダーを応援するのは当たり前だ」
 「あれが『アクシデント』なら、何をやっても許されるようになる」
 「あなたはあれで仮に原田が死んでたとしても悲しまないんでしょ?」

…俺に向けられた返答の数々である。予想していただけに驚きはしなかった。
むしろ「この程度のモンか、やっぱ」と、
底の浅いメンタリティを改めて実感しただけだった。
何しろ、その『ライディングスポーツ』誌の編集長自らが
「レースは格闘技ではない。『ルール』があるのだ」などとのたまうに及んでは、
失笑を禁じ得なかった。

格闘技で選手が死なずに済んでいるのは、もちろんルールがあるからだ。
そして、レースにもルールがあるコトくらい解っている。
だが、そのルールの中で起こってしまった事故については、
我々ファンはその全てを受け入れるべきではないのだろうか?
たとえ、それが心情的に納得のいかないモノであったとしても、だ
(無論、ルールから外れた行為は厳しく処罰されるべきであるし)。


アスリートたちは、全て納得ずくで身体を張り、生命を張って闘っている。
まず我々がなすべきは、彼らの闘いを全身全霊をもって注視し、
その名誉をたたえるコトではないのだろうか。
============


上記の文中にもある通り、
当時『ライディングスポーツ』誌の読者投稿ページでも、
俺の意見はこぞって批判を受けまくりました。
(実際問題「こんな意見はマイノリティだろう」という自覚はあったので、
 全力でブッ叩かれるであろうことも覚悟はしていましたが)

もし、あの当時にTwitterなどのSNSが存在して、
そこでこの意見を開陳していた日にゃ、
確実に大炎上してただろうなー…と、今にして思いますw


ちなみに、あの1件についての個人的意見は、
今でも全く変わっていません。
さすがに、上記文中にある『似非ナショナリズム』のような見方はもうしていないけど、
「あれはレーシングアクシデントにすぎない」という見解はそのままです。
当該レースの最終ラップ、
バックストレートエンドの高速コーナー(7コーナー)で
原田がカピロッシをオーバーテイクした時点で
「あ、これ、カピロッシは最終シケインでムリにでも来るな」
と、瞬時に予感していました。
(当時のコースレイアウト⇒ https://x.gd/A3F6s ※出典:Wikipedia)

TV桟敷の観客でしかない俺ですらそう思ったのだから、
「当事者」である原田にそれが想像できないはずないだろ…と、
あの当時から思っていたし(上記文中でも書いた通り)、
今でもそう思っています。
神沢真実 (mak.kanz@wa)
プロフィールページ
カンザワマコトと申します。
ボカロ界隈でひっそり活動する作詞家モドキ(最近はほぼ休業中w)。
本業は昼だけ働くタクシードライバー🚕
ひとつよしなに。
 
プロフ超詳細はタイッツーのプロフページからドゾー。
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