自作詞ライナーノーツ#01「Bye-bye My Blue Bird」
公開 2023/12/13 00:31
最終更新 -
今回から、自作歌詞のセルフライナーノーツも
ぼちぼちアップしていこうかと思います。

まずは旧ブログで最初にアップしたライナーノーツをシンブロに移植、
ということで。
もともとは、今は亡き動画投稿サイト「zoome」に
日記としてアップしていたものを、seesaaブログに移植したものです。
なので、記事としては「2度目のお引っ越し」です。
(旧ブログ掲載:2010年6月12日)
一部細かい修正はしてますが、ほぼ原文ママで掲載します。

本楽曲の作曲は、虹原ぺぺろんことぺぺろんP
現在は「OzaShin」名義でプロの作曲家として活動してらっしゃいます。


============
zoomeの日記から、ブログに場を移しての
第1弾となるライナーノーツは、この作品です。


【PV付きオリジナル曲】Bye-bye My Blue Bird【鏡音リン】
https://nico.ms/sm10981076


歌詞はこちらになります。


【テキスト】Bye-bye My Blue Bird(by mak.kanz@wa)
https://piapro.jp/t/i5Tc


2008年8月に、Kouhei氏(おっさんP)との曲先コラボナンバー
「Blue Rose」を手がけた際にふと思い立ち、
「青」をイメージコンセプトにして、3部作的に作詞してみよう、
と、私的プロジェクト“Tre-Azzurri”を立ち上げました。

本作は、その2本目となる作品です。


「Blue Rose」では、「希望」や「信じるチカラ」を歌詞に乗せましたが、
本作ではそれとは全く対照的に
「絶望」をテーマに書くことにしました。


1コーラス目は、社会(政治)に対する絶望を書いています。

国政・地方自治を問わず、大言壮語と美辞麗句を並べて当選した候補者が、
いざ議員として活動を始めると、選挙の時に掲げた公約はどこへやら…
な状態になることは、昔から往々にしてありました。
(少なくとも自分はそう感じています)

そんな形で目の前に提示される「おとなたちの嘘」。
それに対する絶望を歌詞に乗せました。


 水もないのに 咲き乱れてるバラの花

このフレーズは、選挙事務所の壁一面を埋めるパネルに、
当選者が出るたびくっつけられていく赤い花をイメージしています。
「ノイズの向こう」から流れる「ニュース」は、
言うまでもなく開票速報番組です。


 未来を託してほしいとか 潰れた喉で謳わないで
 どうせ朝になったら もう忘れているんでしょ?

 呼吸をするように嘘を 口ずさむひとたち
 私たちを見下ろす目は 誰も映さない


選挙戦最終日、連日のマイクアピールでガラガラに嗄れた喉で
「この国(orこの街)の未来をわたしに託して(ry」と、
選挙カーの上から有権者を見下ろしながら票を乞う候補者。
その目に、「私たち」の姿は見えているの?
願い叶って当選しても、
祝杯を挙げた翌朝には、どんな理想もキレイに忘れてるんでしょ?

──そんな冷ややかな疑問を、このフレーズには込めました。


ただ、1コーラスのこれらのフレーズは、
決して特定の政治家や政党を批判・揶揄するものではありません。
動画コメントで「民主のことか?」なんてのを見かけましたが、
この作品の歌詞(初稿)が完成したのは、2009年の7月末。
衆院選で民主党が大勝して政権交代がなされるより前の話です。
(あそこまで大勝するとは想像だにしていませんでしたが)

それに、前首相に限らず、過去さまざまな政治家が
有権者の期待を裏切るような言動をしてきたというのが俺の印象です
(上述しましたが)。

1コーラスの歌詞は、
党派を問わず、期待を裏切った政治家全員に対する
ささやかなアイロニーのつもりです。


2コーラス目のテーマは、人間(と宗教)に対する絶望です。
平和を望みながらも、常に争いを止められない、
そんな人類の姿に対する絶望。


 遠くの空を 切り刻みのぼる煙は
 救いの神の名を借りて 生贄をつくる
 信じたものに 裏切られ泣くのはいつも
 何も知らずに生き残る 哀れな旅人


テレビの画面越しに見る、内戦の光景。
(この部分を書いている時に脳裏に浮かんだのは、
 パレスチナ・ガザに対する空爆のイメージでした)

相容れない「カミサマ」が、
それぞれの民に与えた「約束の地」を奪い合う。
その中で死んでいく無辜の民の姿は、
さながら、あまりにも哀しい生贄。

そして、遠く離れた場所でふらふらと生きながら、
傷つけあう愚かさと消えていく生命への悲しみに泣く、
そんな人々(≒我々)をあえて「哀れな旅人」と呼んでみました。


 望んでもいない平和とか すました顔で願わないで
 どうせ私が死ねば 大笑いするんでしょ?


そして、心の安寧や平和を願うフリをしながら、
入信を拒めば「地獄に行くぞ」と毒づき、
不幸に遭った者を「信心が足らん」と詰るゴリッパな宗教。

きっとあなたたちは、私が死ねば
「我々の神を信じなかったからだ」って嘲笑するんでしょ?
そんなひとたちが崇めるカミサマのどこを信じろというの?

──2コーラスで歌ったのは、そんな「世界への絶望」です。


そして最後のBメロ~大サビは、
そんな風にして、何もかもに希望を見出せなくなった
自分自身に対する絶望のモノローグです。


 いいことなんて何もない、
 明日がきょうより良くなるなんてありえない、
 夢なんていくら求めてもかなわない──


 「思い描いた幸福な未来」=青い鳥を
 なす術もなく見送るだけしかできないなら、
 これからの世界にどんな希望を描けばいいの──



最後の大サビに至るパートには、
そんな諦めの感情を散りばめました。



今回、この歌詞をリンに歌ってもらったわけですが、
当初から使用ボカロについてはリン1択でした。

もともと“Tre-Azzurri”3部作は、
全部違うボカロに歌わせたいという願望があったのも事実ですが、
明るさのかけらもない、諦めにまみれたこの歌詞を、
あえてクリプトンボカロの中でもっとも若いリンに歌ってもらうことで、
「絶望」というテーマが強調されるのではないか…
と考えたからです。


そして、コラボを持ちかける相手として
「リン使いといえば誰だろう…」と思案をめぐらせた時、
真っ先に浮かんだのが虹原ぺぺろん氏(ぺぺろんP)でした。

「アミュレット」・「Doubling our Hearts」など、
ぺぺろんPの手がけるリンはいずれの楽曲でも
非常に力強い声を聴かせてくれるという印象がありました。

そこでコラボを依頼しようと思ったのですが、すぐには頼めませんでした。
ぺぺろんPと俺との間には、接点が全くなかったからです。
(せいぜい、にゃっぽんの日記に何度かコメントを書いた程度)


そんな状況でコラボを依頼して、果たして受けてもらえるのか、
不安があり、なかなか踏み出せずにいました。
しかもぺぺろんPと言えば、ボカロPの中でも
歌詞に強いこだわりを持つPのひとりとして知られる存在。
そういう人に対して、俺程度の詞でコラボを申し込んでいいのか
(言い換えれば「太刀打ちできるのか」ということですが)、
という部分での逡巡もありました。

でも、黙ってたところで話が進むわけもなく。
意を決して、歌詞完成から1ヶ月半後に、コラボを申し込みました。
断られたなら、それはそれで致し方ないと思いながら。


届いた返信は「YES」。
心臓がバクバクするような感覚でした。

そこで歌詞を送り、本作のテーマとあわせ
「リンでお願いします」の意向を伝えました。


半年後。
「完成しました」の連絡とともにいただいたmp3を聴いて、
リンのボーカルの圧倒的なパワーと感情表現に
鳥肌が立ったのを覚えています。

その他にびっくりしたのが、
初稿からほとんど歌詞の変更が入らなかったことです。
メロディにあわせて変更が入るのを前提で、
いつでも修正依頼には対応できるよう身構えていたんですが、
結果的にBメロ(3箇所とも)でごくわずかな修正があっただけで、
他の箇所はほぼ初稿のまま。

これだけ文字数多い歌詞だし、
曲仕上げるのも大変だったのではないかと思うと、
ありがたくも申し訳ないような気持ちになりました。


そして、音源完成の連絡からさらに3ヶ月後。

…あんなすごいMVまでつくとは、想像だにしていませんでした。


俺が歌詞に持たせたイメージなど遥かに凌駕する
素晴らしいムービーを作ってくれた、田村ヒロさん・御厨わたさん。

そして、何の交流もないような相手からの
ぶしつけなコラボ申し込みを受けてくれたばかりか、
胸に深く刺さるようなメロディをつけてくれたぺぺろんP。


俺の小さな思いつきに端を発した話を
かくも見事な成果物に仕上げてくださったお三方に、
心から感謝します。


俺の思い以上に、お三方の思いがぎゅっと詰まった動画、
よければ是非、本記事冒頭のニコニコのURLから
見て・聴いていただければ。
神沢真実 (mak.kanz@wa)
プロフィールページ
カンザワマコトと申します。
ボカロ界隈でひっそり活動する作詞家モドキ(最近はほぼ休業中w)。
本業は昼だけ働くタクシードライバー🚕
ひとつよしなに。
 
プロフ超詳細はタイッツーのプロフページからドゾー。
https://taittsuu.com/users/mak_kanzawa/profiles

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