自作詞ライナーノーツ#04 「瓦礫の海」
公開 2024/03/11 23:22
最終更新
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旧ブログからのライナーノーツ移植その4です。
(旧ブログ掲載:2012年3月6日)
今回は、点線囲み部分は旧ブログ原文ママで、
その後に追記を入れています。
============
今回のライナーノーツはこちら。
[ニコニコ動画]
https://nico.ms/sm17162170
[ピアプロ(mp3)]
https://piapro.jp/t/WNcb
[歌詞]
https://piapro.jp/t/Jd7p
nocchi1031氏(パレットP)とのコラボ5作目になります。
誕生日(2/17)の朝、通勤電車の中でぼへーっとTLをチェックしていたら、
クライアントが新着メッセージのバッヂを表示。
開いてみると、それはnocchiさんからの作詞依頼。
「うはwww偶然とはいえ超嬉しい誕プレもろたwwwヒイヤッハー!!!(AAry」
と小躍りしながら、職場に着くなりそそくさとオケをDLし、
昼休みを利用して譜割おこし。
…耳に飛び込んできたのは、みなぎるような疾走感のあるリズムと、
ひりひりと痛む傷のような切ないメロディ。
その瞬間、「この曲には、このテーマを乗せなければ」と思い立ち、
ちょっと前から思い描いていた内容を書きつけはじめました。
すでに聴いていただいた方や、歌詞を見てくださった方には
もう想像がついていることとは思いますが、本作は
東日本大震災の災害廃棄物(震災由来瓦礫)の広域処理受け入れ拒否
が根底のテーマです。
2/9の記事(※)でもちょっと触れましたが、俺の実家の菩提寺は宮城県沿岸の某町にあります。
マイクロバスで寺へ向かう道すがら、車窓から見える海岸近くの住宅地は、
ほとんどの区画が更地か、さもなければ建物の基礎だけを残してすべてが消え失せていました。
かろうじて残った家屋も、1階部分を半分ほど波に抉られたり、
窓ガラスがすっかり割れ落ちてサッシだけになっていたりと、惨憺たるありさまでした。
(※旧ブログ記事: http://mak-kanzawa.seesaa.net/article/251357224.html )
曲冒頭の歌詞は、あの日俺自身があの町で見た、そのままの風景です。
1年近く経っても、何ひとつ終わっていない、震災という現実。
それを目の当たりにした時、全国各地で起きている『瓦礫受け入れ拒否』という問題が、
やりきれない感情をもって、俺のこころの中で鎌首をもたげ始めました。
自分の住まう東京都は、早い段階から広域処理受け入れを表明し、
実際に宮古市や女川町の瓦礫の処理を担当してきました。
それもあって、他の自治体で瓦礫処理に反対する市民
(…と言っていいのか不明な連中もいますが)たちの声に、
違和感と腹立たしさを感じていました。
被災地だけでは処理しきれない膨大な量だから、協力してほしい。
国全体で手をとって、復興を進めるために。
それだけのことなのに、なぜ協力できないのか。
原発から150km以上離れた町(当時の風向き的にも、放射線には汚染されていない)の、
線量的には通常の産業廃棄物と何ら変わるところのない瓦礫を処理するわけであって、
何も福島第一原発の原子炉から持ってきた燃料棒を直接地中に埋めるわけじゃない。
にもかかわらず、地図で確かめることすら放棄したかのように、
東北全域を高濃度汚染地域のように呼ばわり、
「放射能まみれのゴミを我々の街に持ち込むな!こどもたちの健康を守れ!」
などと喚き、線量計測の結果にすら目をそらす、
恐怖におびえた視野狭窄なひとたちの姿が、これでもかと報道される。
そういった報道を目に・耳にするたびに、こころの中に澱のように降り積もる怒りと悲しみ。
この曲のオケをひと通り聴いた時、その感情が自分の中ではじけました。
津波は町を飲み込み押し流し、瓦礫にしてしまった。
そしてその瓦礫が、ひととひととのこころのつながりを押し流してしまった。
そんなことを思いました。
「わたしたち」とは、
復興に向けて、あがきながらでも前に進みたいと願いながらも、
遅々として進まない道のり(瓦礫処理のみならず、政府の施策なども含め)の前に、
悲しみにくれる被災地のひとびとであり、
些細な──それでいて強大なエゴに拠って、
同じ国にいるひとびとと共に手を取りあうことを拒否してのける者がいるという事実に、
諦めそうになってしまう我々ひとりひとりのことでもあります。
今回たまたま、震災から1年が経とうとする節目の時期に、
この歌詞をものすることになったわけですが、
3/11に間に合うかどうかは、作詞する上では全くどうでもいいことでした。
この想いを。
この叫びを。
形にしなければ、自分が自分でいられなくなるような、そんな気がしたから、
俺はこの詞を書き上げました。
そんな俺の気持ちを汲んでくれたかのように、この歌詞をボツにすることなく、
絞り出すようにかすれた声で歌わせてくれたnocchiさん。
(特に「自分の領域だけが~」の部分は、まるでMEIKOが涙声で歌っているようで、
こみ上げるものを禁じえませんでした)
そして、その声に絵という生命を吹き込んでくれたrumecoさん。
[イラスト(ピアプロ)]
https://piapro.jp/t/GCZc
おふたりには感謝してもしきれません。
東北の血を引く民として、今書けるありったけの想いを・魂を、
この歌詞には込めたつもりです。
聴いてください。お願いします。
============
その後、被災財の広域処理も滞りなく進み(一部で低レベルな妨害活動はあったけど)、
宮城・岩手の両県沿岸の各自治体の復興が少しずつ進んでいく様を
ネットのニュースやTwitterのタイムライン経由で見るにつけ、
「…いつかは、この曲をタイムラインに貼らなくて済む日がくればいいな」
なんて漠然と思っていた。
しかしそれから時は過ぎ、
あの頃被災財に対して全国からえげつないぐらいに示された拒否反応が、
今では「福島第一原発の処理水」と「除染土壌」に対して
これでもかと突き付けられている。
ALPSでの浄化処理を経て、科学的安全性が担保されている処理水を
「汚染水」と呼ばわって無用な危険性アピールを繰り返し、
風評加害に加担して何ら恥じるところのない連中。
除染土壌の再利用のための実証実験を全力で拒否し、
あまつさえ「問題ないなら福島に置いておけばいい」と言い放つ連中。
かつて被災財の広域処理を拒否した連中と何が変わるのか。
「穢れ」を東北の人々に押し付けて、
自分たちは安全なところでほっかむりを決め込む連中がいる限り、
何度でもこの曲は貼っていかなければならないのだろう。
今はそう思っている。
悲しいけれど、MEIKOさんの「涙声」はまだ止まない。
(旧ブログ掲載:2012年3月6日)
今回は、点線囲み部分は旧ブログ原文ママで、
その後に追記を入れています。
============
今回のライナーノーツはこちら。
[ニコニコ動画]
https://nico.ms/sm17162170
[ピアプロ(mp3)]
https://piapro.jp/t/WNcb
[歌詞]
https://piapro.jp/t/Jd7p
nocchi1031氏(パレットP)とのコラボ5作目になります。
誕生日(2/17)の朝、通勤電車の中でぼへーっとTLをチェックしていたら、
クライアントが新着メッセージのバッヂを表示。
開いてみると、それはnocchiさんからの作詞依頼。
「うはwww偶然とはいえ超嬉しい誕プレもろたwwwヒイヤッハー!!!(AAry」
と小躍りしながら、職場に着くなりそそくさとオケをDLし、
昼休みを利用して譜割おこし。
…耳に飛び込んできたのは、みなぎるような疾走感のあるリズムと、
ひりひりと痛む傷のような切ないメロディ。
その瞬間、「この曲には、このテーマを乗せなければ」と思い立ち、
ちょっと前から思い描いていた内容を書きつけはじめました。
すでに聴いていただいた方や、歌詞を見てくださった方には
もう想像がついていることとは思いますが、本作は
東日本大震災の災害廃棄物(震災由来瓦礫)の広域処理受け入れ拒否
が根底のテーマです。
2/9の記事(※)でもちょっと触れましたが、俺の実家の菩提寺は宮城県沿岸の某町にあります。
マイクロバスで寺へ向かう道すがら、車窓から見える海岸近くの住宅地は、
ほとんどの区画が更地か、さもなければ建物の基礎だけを残してすべてが消え失せていました。
かろうじて残った家屋も、1階部分を半分ほど波に抉られたり、
窓ガラスがすっかり割れ落ちてサッシだけになっていたりと、惨憺たるありさまでした。
(※旧ブログ記事: http://mak-kanzawa.seesaa.net/article/251357224.html )
何もかも消え失せた町と 空っぽのわたしに雪が降る
あの日を忘れたかのように 凪いだままの海
曲冒頭の歌詞は、あの日俺自身があの町で見た、そのままの風景です。
1年近く経っても、何ひとつ終わっていない、震災という現実。
それを目の当たりにした時、全国各地で起きている『瓦礫受け入れ拒否』という問題が、
やりきれない感情をもって、俺のこころの中で鎌首をもたげ始めました。
自分の住まう東京都は、早い段階から広域処理受け入れを表明し、
実際に宮古市や女川町の瓦礫の処理を担当してきました。
それもあって、他の自治体で瓦礫処理に反対する市民
(…と言っていいのか不明な連中もいますが)たちの声に、
違和感と腹立たしさを感じていました。
被災地だけでは処理しきれない膨大な量だから、協力してほしい。
国全体で手をとって、復興を進めるために。
堆く積もった絶望 その中に希望を探すのは
ひとりじゃできないから 手を貸してほしいだけ
それだけのことなのに、なぜ協力できないのか。
原発から150km以上離れた町(当時の風向き的にも、放射線には汚染されていない)の、
線量的には通常の産業廃棄物と何ら変わるところのない瓦礫を処理するわけであって、
何も福島第一原発の原子炉から持ってきた燃料棒を直接地中に埋めるわけじゃない。
なのに 見えない何かを 疑い恐れて
すべてを 拒絶するのはなぜなの
にもかかわらず、地図で確かめることすら放棄したかのように、
東北全域を高濃度汚染地域のように呼ばわり、
「放射能まみれのゴミを我々の街に持ち込むな!こどもたちの健康を守れ!」
などと喚き、線量計測の結果にすら目をそらす、
恐怖におびえた視野狭窄なひとたちの姿が、これでもかと報道される。
かすかな願いに 耳をふさぎ
穢れはいらないだなんて
勝手な叫びは 誰のためなの
そういった報道を目に・耳にするたびに、こころの中に澱のように降り積もる怒りと悲しみ。
この曲のオケをひと通り聴いた時、その感情が自分の中ではじけました。
津波は町を飲み込み押し流し、瓦礫にしてしまった。
そしてその瓦礫が、ひととひととのこころのつながりを押し流してしまった。
そんなことを思いました。
瓦礫が押し流した 絆を探して
いつまでわたしたちは さまようのだろう
嘆きの海を
「わたしたち」とは、
復興に向けて、あがきながらでも前に進みたいと願いながらも、
遅々として進まない道のり(瓦礫処理のみならず、政府の施策なども含め)の前に、
悲しみにくれる被災地のひとびとであり、
些細な──それでいて強大なエゴに拠って、
同じ国にいるひとびとと共に手を取りあうことを拒否してのける者がいるという事実に、
諦めそうになってしまう我々ひとりひとりのことでもあります。
今回たまたま、震災から1年が経とうとする節目の時期に、
この歌詞をものすることになったわけですが、
3/11に間に合うかどうかは、作詞する上では全くどうでもいいことでした。
この想いを。
この叫びを。
形にしなければ、自分が自分でいられなくなるような、そんな気がしたから、
俺はこの詞を書き上げました。
そんな俺の気持ちを汲んでくれたかのように、この歌詞をボツにすることなく、
絞り出すようにかすれた声で歌わせてくれたnocchiさん。
(特に「自分の領域だけが~」の部分は、まるでMEIKOが涙声で歌っているようで、
こみ上げるものを禁じえませんでした)
そして、その声に絵という生命を吹き込んでくれたrumecoさん。
[イラスト(ピアプロ)]
https://piapro.jp/t/GCZc
おふたりには感謝してもしきれません。
東北の血を引く民として、今書けるありったけの想いを・魂を、
この歌詞には込めたつもりです。
聴いてください。お願いします。
============
その後、被災財の広域処理も滞りなく進み(一部で低レベルな妨害活動はあったけど)、
宮城・岩手の両県沿岸の各自治体の復興が少しずつ進んでいく様を
ネットのニュースやTwitterのタイムライン経由で見るにつけ、
「…いつかは、この曲をタイムラインに貼らなくて済む日がくればいいな」
なんて漠然と思っていた。
しかしそれから時は過ぎ、
あの頃被災財に対して全国からえげつないぐらいに示された拒否反応が、
今では「福島第一原発の処理水」と「除染土壌」に対して
これでもかと突き付けられている。
ALPSでの浄化処理を経て、科学的安全性が担保されている処理水を
「汚染水」と呼ばわって無用な危険性アピールを繰り返し、
風評加害に加担して何ら恥じるところのない連中。
除染土壌の再利用のための実証実験を全力で拒否し、
あまつさえ「問題ないなら福島に置いておけばいい」と言い放つ連中。
かつて被災財の広域処理を拒否した連中と何が変わるのか。
「穢れ」を東北の人々に押し付けて、
自分たちは安全なところでほっかむりを決め込む連中がいる限り、
何度でもこの曲は貼っていかなければならないのだろう。
今はそう思っている。
悲しいけれど、MEIKOさんの「涙声」はまだ止まない。
カンザワマコトと申します。
ボカロ界隈でひっそり活動する作詞家モドキ(最近はほぼ休業中w)。
本業は昼だけ働くタクシードライバー🚕
ひとつよしなに。
プロフ超詳細はタイッツーのプロフページからドゾー。
https://taittsuu.com/users/mak_kanzawa/profiles
アイコンは、片依さんの「タイッツーアイコン…
ボカロ界隈でひっそり活動する作詞家モドキ(最近はほぼ休業中w)。
本業は昼だけ働くタクシードライバー🚕
ひとつよしなに。
プロフ超詳細はタイッツーのプロフページからドゾー。
https://taittsuu.com/users/mak_kanzawa/profiles
アイコンは、片依さんの「タイッツーアイコン…
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