はじまりの記憶
公開 2025/08/20 14:06
最終更新 2025/11/03 13:06
プロローグ

わたしはどういうわけか幼いころから、不快に思う事とか、怖いことがあっても、すべてがわたしが感じる恥と結びついて、自然と口を閉ざす。そんな子供だった。今となっては言葉にすることもできるけれど「悪いのはわたしなんだ」とそういうなんとも腑に落ちない感覚だけが残って、自分を責めること、自分で自分の感情を複雑にすることで、無様にも自分を守ってきたところがある。

寂しさは、何か…例えば、物を求めたり、人との関係性の中で形を変えていくことは可能だけれど、訳の分からない、どうしようもない、恥のような、侮辱されたような感覚は確かにわたしの中で恨みのよう感覚を引き連れてくる。その恥のような感覚は人にとってはごくごく、小さなことなのかもしれない。笑い飛ばして忘れられるようなそんなような出来事なのかもしれない。だけど、わたしには悲しかった。

そんなわたしの記憶のはじまり。

年齢は4歳ぐらい。両親は共働きで、夕方まで預かってもらえる幼稚園に通っていた。当時「海組」だったわたしは昼寝の時間で多目的ホールのような場所で目が覚めた。最近近くに住むお祖母ちゃんの愛犬のミントと遊ぶ夢から目覚めた。立ち上がると、見守りの女の先生が寄ってきて、「どうしたの?」とわたしにたずねた。わたしは「おトイレに行きたい」そういった。先生は小さな声で、了承してくれた。そのやり取りで、男の子1人と女の子一人が目覚めてしまった。2人ともわたしと同じようにトイレだったらしい。そして3人でトイレにいくことになった。ちょうど園内の見回りをしていた別の先生がその様子を見て、他の友達を起こさないように、サポートしてくれた。幸い私と男の子は出口の一番端に眠っていた。見守りの先生の誘導でわたしたち3人はトイレへと向かう。それぞれ3人、自分でトイレに入ってトイレを済ませる。1番はじめにオシッコを終えたわたしは、寝ぼけていたのか、掃除用具入れを開けた。すると付き添ってくれた先生が、わたしを「こんなところ開けたらだめよ。寝ぼけてるのかな?」
と優しくしかった。わたしは「ごめんなさい」と素直に謝った。

どうやらお昼寝の時間が終わりそれぞれの教室に帰っていく様子が見えた。わたしたち3人はそんなに仲良しじゃないけれど、同じ「海組」なので3人で教室に戻った。

その時男の子が「なんで先生に叱られたの?」とわたしにたずねた。
わたしは、お祖母ちゃんの家にいるミントがここに居るかな?と思ってと答えた。男の子は首を横に傾げて不思議そうな様子を見せた。けれど、それ以上は聞かない。帰りの時間になり、それぞれの遊び場で、迎えに来てくれるお母さんを待つ。わたしは仲良しの女の子と砂場で遊んでいる。先ほど一緒にトイレに行った、同じ海組の女の子が、別な友達を連れてわたしたちのところに来た。どうやら先ほどのわたしと男の子とのやり取りをきいていたらしい。「ミントって誰?」と答えに迷っていると、「この子のお祖母ちゃんの家の犬なのよ」と答えてくれた。「迷子になっちゃったの?」と別な女の子がわたしにたずねた。

わたしは答えに迷い、わからない…と答えた。そしてわたしは小さな箱の中毛布に包まって眠る、ミントを思い出した。

ー終わりー

この物語はフィクションです。
フィクションで小説を創作しています。


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