ホワイトデー
公開 2026/03/14 14:06
最終更新
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ホワイトデー
テストが終わり、高校行事による1年の締めくくりが始まりつつある。そうした中、訪れたホワイトデー。大半の生徒が関係者内でどぎまぎしている中、真行は一人忙しく自慢の金髪を揺らして、アチラコチラへと返礼品を配り歩いていた。
────────────
幼いと評される見た目に対し、料理が得意である。特にお菓子に関しては、ケーキ屋等の商品と比べても遜色ない。
故に、バレンタインデーに大量の女子からお返し目的でチョコレートをもらったのだった。それも、単純な数だけならば、学年一を争うほどにモテる神来社や神楽海を上回る程に。
なので、朝から現在の昼休みに至るまで、真行は学校中を東奔西走していたのだった。
目まぐるしい努力の末、お返しチェックリストに連ねた名前の大半が消えた。後は問題児と言われている魔法実技クラスの仲間に渡してしまえば、完遂である。
喜ばしいことに、今日の5時間目にはその授業がある。昼休みも終わりに近い。勤勉な彼等ならば、既に教室へと移動が完了していることだろう。真行は勢い良く扉をスライドさせ、大声でクラスメイトの視線を集める。真行に気付いた数人は真行の元へとやってきた。
「ホワイトデーだぞ!お返し作ったから、欲しい子は持ってって〜」
真行は籠いっぱいに詰め込まれたお菓子を皆に差し出した。綺麗にラッピングされた透明の箱の中で、様々な種類のクッキーが胸を張っている。
早速、八月一日と宴間が箱を手にとり眺めている。
「これは随分とクオリティが高いわね」
「凄〜い!お店で売ってそう!」
どうやら、二人のお眼鏡にかなったらしい。八月一日は写真を撮りだし、宴間ははしゃいでクルクル回りだした。どちらも余程機嫌が良いときしか見せない動きである。
流石ボク! 審美眼がある二人を射止められるとは!これは食べた後の感想が楽しみなんだぞ!
そうやって、真行が脳内で自画自賛してしていると、あることに気がついた。
食べ物に関連した話題ならば、すぐに顔を出す桔梗と未影がいない。時計は数分後に授業が始まることを示している。いつもならば、この時間帯には二人とも教室には到着しているはずだ。休みなのだろうか。
真行が思案していると、後ろの扉から息を切らした白黒対の髪の毛が教室へと入ってきた。
「なんとか間に合ったぜ!」
「筆箱を忘れるなんて何をしているんですか、全くもう」
「あっ、桔梗に未影、丁度良いところに来たんだぞ!」
真行は二人の方へと駆け寄り、クッキーを差し出した。
二人は意図が分からなかったのか、目をパチパチと瞬きさせて顔を見合わせる。少しして理解できたのだろう。二人とも、納得した様子で、籠に手を伸ばした。
「そういえば、今日はホワイトデーでしたね」
「ありがたく頂戴しよう」
早速、未影が箱を開けてクッキーを食べている。いくら毒で死なないとはいえ、王族としてもうちょっと警戒心を持つべきだろうに。まあ、それ程ボクが信用されているということだろう。忠告するのは後にしよう。
一枚だけ食べ終わった未影は目をキラキラと輝かせて、感想を聞かせてくれた。
「美味しいです!」
「あんな市販品の小袋一つで貰うには気が引けるな。どれ、追加で何かやろうな」
未影の反応を見た桔梗はクッキーを仕舞い、魔法でカバンを漁り始めた。絶対に未影で毒がないか確認したぞ。
「おっ、あったあった。これをやろう」
ほどなくして、桔梗は手を差し出してきた。真行の手に置かれたのは『カカオ90%』と書かれた小袋だった。確かに高いし、良い品ではある。だが、ホワイトデーのお返しというにはあまりにも酷な食べ物ではないだろうか。
真行は反射的に桔梗へ抗議した。
「こんな苦いの食べられる訳ないんだぞ!」
「冗談だ。良いの出すからもうちょい待ってくれ」
焦った真行を見て満足したのか、桔梗は笑いながらカバン内の探索を再開した。
今までのやり取りを見ていたのか、紬ちゃんがこっちへやってきて真行にこう耳打ちしてきた。
「それ、うちも白にバレンタインでやられたわ」
真行は思わず、肩をすくめた。主従でイタズラ好きとは困ったものである。今後、この二人に仕えるようになる自分も似ていくのだろうか。紬ちゃんは既に影響を受け始めている気がする。
全員へクッキーを配り終え、席に着いた真行は将来がだんだんと不安になってきたのだった。
こうして、真行のホワイトデーは終わった。ちなみに、最終的に桔梗からもらったのは紅葉饅頭だった。
テストが終わり、高校行事による1年の締めくくりが始まりつつある。そうした中、訪れたホワイトデー。大半の生徒が関係者内でどぎまぎしている中、真行は一人忙しく自慢の金髪を揺らして、アチラコチラへと返礼品を配り歩いていた。
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幼いと評される見た目に対し、料理が得意である。特にお菓子に関しては、ケーキ屋等の商品と比べても遜色ない。
故に、バレンタインデーに大量の女子からお返し目的でチョコレートをもらったのだった。それも、単純な数だけならば、学年一を争うほどにモテる神来社や神楽海を上回る程に。
なので、朝から現在の昼休みに至るまで、真行は学校中を東奔西走していたのだった。
目まぐるしい努力の末、お返しチェックリストに連ねた名前の大半が消えた。後は問題児と言われている魔法実技クラスの仲間に渡してしまえば、完遂である。
喜ばしいことに、今日の5時間目にはその授業がある。昼休みも終わりに近い。勤勉な彼等ならば、既に教室へと移動が完了していることだろう。真行は勢い良く扉をスライドさせ、大声でクラスメイトの視線を集める。真行に気付いた数人は真行の元へとやってきた。
「ホワイトデーだぞ!お返し作ったから、欲しい子は持ってって〜」
真行は籠いっぱいに詰め込まれたお菓子を皆に差し出した。綺麗にラッピングされた透明の箱の中で、様々な種類のクッキーが胸を張っている。
早速、八月一日と宴間が箱を手にとり眺めている。
「これは随分とクオリティが高いわね」
「凄〜い!お店で売ってそう!」
どうやら、二人のお眼鏡にかなったらしい。八月一日は写真を撮りだし、宴間ははしゃいでクルクル回りだした。どちらも余程機嫌が良いときしか見せない動きである。
流石ボク! 審美眼がある二人を射止められるとは!これは食べた後の感想が楽しみなんだぞ!
そうやって、真行が脳内で自画自賛してしていると、あることに気がついた。
食べ物に関連した話題ならば、すぐに顔を出す桔梗と未影がいない。時計は数分後に授業が始まることを示している。いつもならば、この時間帯には二人とも教室には到着しているはずだ。休みなのだろうか。
真行が思案していると、後ろの扉から息を切らした白黒対の髪の毛が教室へと入ってきた。
「なんとか間に合ったぜ!」
「筆箱を忘れるなんて何をしているんですか、全くもう」
「あっ、桔梗に未影、丁度良いところに来たんだぞ!」
真行は二人の方へと駆け寄り、クッキーを差し出した。
二人は意図が分からなかったのか、目をパチパチと瞬きさせて顔を見合わせる。少しして理解できたのだろう。二人とも、納得した様子で、籠に手を伸ばした。
「そういえば、今日はホワイトデーでしたね」
「ありがたく頂戴しよう」
早速、未影が箱を開けてクッキーを食べている。いくら毒で死なないとはいえ、王族としてもうちょっと警戒心を持つべきだろうに。まあ、それ程ボクが信用されているということだろう。忠告するのは後にしよう。
一枚だけ食べ終わった未影は目をキラキラと輝かせて、感想を聞かせてくれた。
「美味しいです!」
「あんな市販品の小袋一つで貰うには気が引けるな。どれ、追加で何かやろうな」
未影の反応を見た桔梗はクッキーを仕舞い、魔法でカバンを漁り始めた。絶対に未影で毒がないか確認したぞ。
「おっ、あったあった。これをやろう」
ほどなくして、桔梗は手を差し出してきた。真行の手に置かれたのは『カカオ90%』と書かれた小袋だった。確かに高いし、良い品ではある。だが、ホワイトデーのお返しというにはあまりにも酷な食べ物ではないだろうか。
真行は反射的に桔梗へ抗議した。
「こんな苦いの食べられる訳ないんだぞ!」
「冗談だ。良いの出すからもうちょい待ってくれ」
焦った真行を見て満足したのか、桔梗は笑いながらカバン内の探索を再開した。
今までのやり取りを見ていたのか、紬ちゃんがこっちへやってきて真行にこう耳打ちしてきた。
「それ、うちも白にバレンタインでやられたわ」
真行は思わず、肩をすくめた。主従でイタズラ好きとは困ったものである。今後、この二人に仕えるようになる自分も似ていくのだろうか。紬ちゃんは既に影響を受け始めている気がする。
全員へクッキーを配り終え、席に着いた真行は将来がだんだんと不安になってきたのだった。
こうして、真行のホワイトデーは終わった。ちなみに、最終的に桔梗からもらったのは紅葉饅頭だった。
