20240220読了 キノの旅5
公開 2024/02/20 03:25
最終更新 2024/02/20 03:25
ネタバレ含



・人を殺すことができる国
荒くれ者がたくさんいる国…ではなく、住民は皆いい人。では、「人を殺しても罪にならない」とは?
キノを殺そうとしたモブの男を一斉に殺しにかかる国民。ここでは「人を殺した者」「人を殺そうとした人」「人を殺そうとする者」は危険因子として排除=殺されてしまう国だった。
モブの男が憧れていたかつての罪人に殺される、という皮肉。
「この国での殺人がダメ」なのであって、入国する前に犯した罪(殺人)については不問らしい。まあ、そうでなければキノも排除対象だからな…。

・店の話
店長の日誌形式。「今日も誰もお客さんが来なかった」から始まる、日常生活の日記。そこへキノがやってきて長い日記が始まる。
何の商品を売っているのかが謎だったが、明かされたのは『超強力爆弾』(水素爆弾)。国ひとつ吹っ飛ばせる威力らしい。やべー品なんだろうなとは薄々予想していたが…。キノが旅立った後に店が爆発するとか、そういうオチは無かった。また、店長の日常が綴られていくであろう日誌。

・英雄の国(No Hero)
キノが武装してエルメスを置いてどこかへ行く始まり。
7人の男たちがキノを殺そうとする。が、全員返り討ちに遭う。
最後の生き残りに、何故こんなことをするのか尋ねる。息も絶え絶えだったので詳しい事情はこの時点ではよくわからない。戦争で敵国に行ったけど、負けて帰ってきて、そしたら国が滅ぼされていた…?的な推察しか出来ない。

・英雄の国(Seven Heroes)
No Hero で登場した『フルート』がどのようにしてキノの手に渡ったのか、のいきさつが描かれる。この時点で Seven Heroes は No Hero の前日譚ということがわかる。No Hero で描かれていた男たちは実は…という話。
国の合併前に7人の男たちが調査に行かされる→『彼らは帰ってこなかった』と国が判断し、そこに住んでいた人々が引っ越し→7人の男たち、やっと帰ってくるも既に誰もいない…。この国は俺たちが守るしかないんだ!
という流れ。
跡地に行ってみるといいよ、と勧められキノはかつて人が住んでいた国へ旅立つのであった。

・のどかな国
シズと陸。陸(犬)視点。住んでる人が少なくて、敵国も無くて、農業をするだけののどかな国。…と思ったら、ちょっとした地震で突然地面に大穴が空く。そこに住んでいた家や人や通りがかった人たちに関しては言うまでもなく。どうやら昔は採掘場だったらしくあちこちが空洞になっているらしい。いつどこが陥没してもおかしくない(住民曰く頻度は月に数回程度)。
シズはこの国で暮らすのも悪くない的なことをひとりごちていたが、大穴が空いたのを見て即その考えを取り消し、旅立つ準備に取り掛かる。

・予言の国
キノが国に入ろうとするなり「あさって世界が終わります」。昔どこかの国で出版されたわけのわからない本を解読した人がいて、予言書扱いされているらしい。解読者は司祭と呼ばれている。
3日後、何も起きず。司祭は苦しい言い訳をするが誰も相手にしない。キノ、出国。
しばらく走っていると3人がキノをストーキングしていることを見破られる。彼らは遠くの国の偵察隊員で、自分たちの国にも予言書とその解読者がいる、と聞いてもいないのにペラペラ喋ってくる。自分らの国はあの国(さっきまでキノがいた国)を滅ぼすのだと言う。予言書の最後に書かれていた「緑の皿を割ることしかできない」=「緑の皿っぽい形をしたあの国を滅ぼせば予言は回避できる!」と信じている。
3人は口封じにキノを殺そうとする(勝手にくっちゃべっておいて…)が、返り討ちに遭う。「先のことはわからない」で締めくくり。

・用心棒
師匠とよばれている女性とお付きの男性が主役の話。何巻か忘れたけど、この男女ペア、前にも出てきたことあったよな。
奴隷を運ぶ荷台の護衛任務にあたる。…というのは表向きで、実は二重スパイだった(敵と思われる人物たちが荷台の帰りのルートの情報を欲していた)。奴隷を運んでいた荷台のオーナーの娘を守ったが、すぐに殺されるだろうという予感を残して終わり。

・塩の平原の話
見渡す限り白い塩の大地を突っ走っていたら、後ろから何者かが何度もキノを襲おうとしてくる。キノはそのたび振り切る。(一度追いつかれるがタイヤをパンクさせて移動手段をなくす、にとどめる)
突っ走っているうちに地面に境界線を描くように黒い杭が打ってあるのを発見。杭に沿って走っていたら、杭を打つ初老の男と出会う。男はキノを見るなり襲おうとするが諦める(キノの方が先に銃を構えていたため)。
話を聞くに、故郷の国を飛び出して旅をしていたところ、この塩の大地に行きついたとのこと。元は皆仲間で、塩の大地を削り出して遠くの国に売りつけて生活していたらしい。が、仲違いをしてしまい、今ではバラバラになっている。
実は、仲間たちは男の息子たちで、一家だった。男は彼らを「がめつい奴ら」とののしり、キノを襲ってきたことに関しては「あいつらのやりそうなことだ」。キノが走り去った後も塩の大地に境界を示すための杭を打ち続ける男。
がめついのもいきなり襲ってくるのも…という話。

・病気の国
はちゃめちゃに清潔な国。城壁の中に城壁があり、内側の城壁の中はシティ、外側の城壁の中まではカントリーと呼ばれている。シティ外の領地は未開拓で、今現在、選ばれし者たちが開拓中。開拓村の人々はエリート中のエリートらしい。
泊まるホテルのオーナーに「病気の娘に会って旅の話をしてほしい」と頼まれ、キノは承諾。翌日、娘のいる病院で会食。娘の名は「イナーシャ」。10代前半。2年病気してるらしい。この国特有の病気にかかっている。
ここから先は両親には秘密の話で、いずれ薬が完成し病気が治ったらカントリー(開拓村)に行きたい、と少女。「ローグ」という名の同い年くらいの少年と文通をしていて、会いたいらしい。彼は開拓村の一員として頑張っているから私も頑張らないと…的な話。ローグに手作りのブローチを届けて欲しいと言われ、キノは快諾。
ところが、村に着いても誰もいない(農地と家はある)。そこに「コール中尉」という名の軍人がやってきて、話を聞くことに。
実は、開発中の薬を完成させるために人体実験が余儀なくされていた背景があったこと。ローグとその一家は人体実験の候補だった。滞りなく薬が完成していれば彼らは普通に村で暮らしていける筈だった。しかし、無情にも「使われる」時が来る。彼らは拉致され、地下で「使われ」た。ローグに至っては生きたまま解剖されたらしい。そうして半年前に死んだ。ローグが死んでからはイナーシャにはコール中尉が手紙を書き続けていた。
そろそろおいとま…というところで、コール中尉がキノを殺そうとする(また口封じである)。
「キノ。珍しいね」「一応は、国の中だからね」というセリフから察するに、コール中尉のことは殺さなかったのかな。あの後イナーシャの元に手紙が届いているし。

・夕日の中で(プロローグ・エピローグ)
普段はビルの地下で暮らしていると思われる兵士たちが、外の世界の景色を見て感じること。皆は「いまいましい」と言うが、自分(ウィルという名前)には美しく見える。

全体感想
毎度のことながらキノが強い。殺そうとする→返り討ちに遭う、がもはやお約束である。英雄の国(No Hero)はほとんどが戦闘シーン。地図が頭に思い描けなくてよくわからない部分もあったけど、キノが7人相手に無双していくのが面白かった。単なる銃撃戦というわけではなく頭脳戦な部分も多くて良かった。血痕に関しては、爆発した相手の身体の一部を持って行ったんじゃないかなあとは思っていたけど、頭部か…。病気の国のローグ、解剖する時麻酔使いましたよね!?と信じたい。
読書もしたいしゲームもしたいしアニメも観たいオタク
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