異(常世)界 第7話「言語の分子加速器」
公開 2025/05/22 00:04
最終更新
2025/05/22 00:04
「そうですよ、疫病と情報汚染、そしてドンパチと貧困の21世紀から」
「よろしい。それに知的衰弱も付け加えればパーフェクト」
すぅ――と存立平面が収束していく。なにかひどく残念なものを感じた。
薄いグレーの、石造りの部屋。どうやら世界が転じたようだ。
「まあ理論物理学者であることの方が重要なのだがね。そして実のところ、常温核融合の研究に深く関わっていた、と。それこそ実現可能なレベルまで」
「やべェこと知られてますが、まあそうです。自分を雇った民間企業の……いわゆる社長がボスでしょ?」
「そういうことになるね」
物分かりが良くて助かるとでもいったように、ボスは微笑を浮かべた。
「普通に考えれば恒常的なエネルギーが欲しいってなところですか。未知の物理現象や触媒さえあればって考えてたんですけどね、それって魔法で補えば実現する可能性はあるかな……?」
「魔法によって原子核間の反発力を打ち消したり、反応速度を加速したりできることは実証済みだよ」
「しかし、軍事利用することもできるし、異世界版の核兵器開発競争が始まる、なんてことも考えられますよね?」
「この魔法の世界を吹っ飛ばしてもしょうがないし、ましてやあの21世紀の世界など、放っておいても勝手に吹き飛ぶからね。枝分かれした近傍の並列世界で22世紀を迎えられた例はあったかな……?」
「なるほど、ようするに救いようがないってことですね」
「そうとも言う」
理由を述べるまでもなく、『戦争』が“季語”になることはない。だからこそ銃後俳句は鮮烈なのだが。
戦争には易々と調印、平和とは没交渉。
素晴らしいじゃないか?
「よろしい。それに知的衰弱も付け加えればパーフェクト」
すぅ――と存立平面が収束していく。なにかひどく残念なものを感じた。
薄いグレーの、石造りの部屋。どうやら世界が転じたようだ。
「まあ理論物理学者であることの方が重要なのだがね。そして実のところ、常温核融合の研究に深く関わっていた、と。それこそ実現可能なレベルまで」
「やべェこと知られてますが、まあそうです。自分を雇った民間企業の……いわゆる社長がボスでしょ?」
「そういうことになるね」
物分かりが良くて助かるとでもいったように、ボスは微笑を浮かべた。
「普通に考えれば恒常的なエネルギーが欲しいってなところですか。未知の物理現象や触媒さえあればって考えてたんですけどね、それって魔法で補えば実現する可能性はあるかな……?」
「魔法によって原子核間の反発力を打ち消したり、反応速度を加速したりできることは実証済みだよ」
「しかし、軍事利用することもできるし、異世界版の核兵器開発競争が始まる、なんてことも考えられますよね?」
「この魔法の世界を吹っ飛ばしてもしょうがないし、ましてやあの21世紀の世界など、放っておいても勝手に吹き飛ぶからね。枝分かれした近傍の並列世界で22世紀を迎えられた例はあったかな……?」
「なるほど、ようするに救いようがないってことですね」
「そうとも言う」
理由を述べるまでもなく、『戦争』が“季語”になることはない。だからこそ銃後俳句は鮮烈なのだが。
戦争には易々と調印、平和とは没交渉。
素晴らしいじゃないか?
