異(常世)界 第6話「存立平面」
公開 2025/05/22 00:04
最終更新
2025/05/22 00:04
🐾
衣食足りて礼節を知ったので、ボスとサシで話すことにした。
「で、自分ぁ“転生者”とかいう腑抜けた存在ってワケじゃねーですよね?」
ボスは「ほぅ……」と感心したかのように頷き、「ああ」と言った。
「基本的にこの世界における“異邦人”は“逃亡者”と呼ばれているね。便宜的な物言いだが、現生での死がトリガーとなってこの世界を訪れる者はいない。百聞は一見に如かずだ。コール、“存立平面”」
おやっと思った瞬間、何の根拠もなく時計の中央に立っていると認識した。あの世でもこの世でもない、とにかく変な世界だ。物理現象ではない、断じて。
足元を見ると、やはり同心円状に光の線が伸びている。頭上を見上げるが、視力では認識できない。宇宙空間のようでいて、感覚としてはドーム状の空間。鍾乳洞のように、やや温かみがあるだろうか……?
「私の固有能力のひとつでね。生者の世界、死者の世界、そして中間ともいえるこの“セカイ”を行き来できる」
ボスはさりげなく述べるが、メフィストフェレスもびっくりな能力だ。
「“虚妄なる姿と言葉、意味と所在を転ず。此処にありて而も彼処にあれ”ってところですか。逃亡者を元の世界に送り返すことは?」
「もちろん可能だよ。特にタイムリープ能力を発揮する者に対しては、優先的に察知して送り返している」
その意図は――ふむ、なるほど……。
「“卑怯者は千たび死す、勇者はただの一たびのみ”ですね。まあ文明を急加速させられて、気づいたら全面核戦争に突入なんてコトになったンじゃたまらねェ」
「ところで――」ボスはこちらに目を向けなおして、次のように確認した。
「君もまた21世紀から来た、ということで間違いないね?」
衣食足りて礼節を知ったので、ボスとサシで話すことにした。
「で、自分ぁ“転生者”とかいう腑抜けた存在ってワケじゃねーですよね?」
ボスは「ほぅ……」と感心したかのように頷き、「ああ」と言った。
「基本的にこの世界における“異邦人”は“逃亡者”と呼ばれているね。便宜的な物言いだが、現生での死がトリガーとなってこの世界を訪れる者はいない。百聞は一見に如かずだ。コール、“存立平面”」
おやっと思った瞬間、何の根拠もなく時計の中央に立っていると認識した。あの世でもこの世でもない、とにかく変な世界だ。物理現象ではない、断じて。
足元を見ると、やはり同心円状に光の線が伸びている。頭上を見上げるが、視力では認識できない。宇宙空間のようでいて、感覚としてはドーム状の空間。鍾乳洞のように、やや温かみがあるだろうか……?
「私の固有能力のひとつでね。生者の世界、死者の世界、そして中間ともいえるこの“セカイ”を行き来できる」
ボスはさりげなく述べるが、メフィストフェレスもびっくりな能力だ。
「“虚妄なる姿と言葉、意味と所在を転ず。此処にありて而も彼処にあれ”ってところですか。逃亡者を元の世界に送り返すことは?」
「もちろん可能だよ。特にタイムリープ能力を発揮する者に対しては、優先的に察知して送り返している」
その意図は――ふむ、なるほど……。
「“卑怯者は千たび死す、勇者はただの一たびのみ”ですね。まあ文明を急加速させられて、気づいたら全面核戦争に突入なんてコトになったンじゃたまらねェ」
「ところで――」ボスはこちらに目を向けなおして、次のように確認した。
「君もまた21世紀から来た、ということで間違いないね?」
