ひっそりと佇むやさしい鮨屋 @ 並木町『はちろう寿司』
公開 2025/09/27 00:00
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 浅野川のうめの橋の左岸の橋場町側(町名は並木町ですが・・)の袂に、この「はちろう寿司」さんがあります。この店、共同の屋根の細長い建物を壁で区切った昔ながらの建築物。往時はこの手の建物が川岸に立ち並んでいたのでしょうが、現在はこの店の入っている建物しか残っていません。店の左右は高層マンションが横並びになっています。


 さて、そのはちろう寿司さん、先日の東山探索の際に気づいたのですが、位置的に30年位前に一度伺ったことがありました。で、先日の日曜日に再訪。午前中の所用が何時に終わるかわからなかったので、事前予約はしませんでしたが、せっかく行って満席だったら困るので、店に向かう直前に「今から2人で行きたいのですが大丈夫ですか」と電話しました。女将さんが電話に出られ「どうぞどうぞ、お待ちしております」とにこやかにお答えいただきました。


 店構えは、いかにも歴史を感じさせる渋い外観です。入店すると、予想に反して?先客はなし。観光客であふれているものとばかり思っていたので、やや肩透かしです。でも静かに寿司を楽しめるのは大歓迎です。大将ご夫婦と息子さんですかね、3人で切り盛り。カウンター上のガラスのネタケースは空っぽです。これ別にネタ不足ではなく、別の冷蔵ケースで保管してるんですね。


 カウンター奥の壁にはすし屋によくあるネタの短冊などはありません。その代わりに趣味のいい、加賀友禅の染め物がさりげなく飾られています。また、同じく寿司屋によるある、竹とか松とかの セットメニューの表示などもありません。シンプルと言えばシンプルですが、値段が全く分からないので、若いお客さんには不安だろうなと思います。


 「にぎり2人前お願いします」と若大将にお願いすると、「ご予算は」?との回答。「別に考えてませんでしたが・・」と正直にお答えすると、「では7000円~8000円くらいでよろしいでしょうか」と若大将。「ええ、じゃそれでお願いします」と僕。まあ早い話、「おまかせ握り」が7~8000円ということなのでしょう。


 寿司は若大将が握ってくださいましたが、ずっと大将が側で、昔の浅野川界隈の様子を、やさしい調子で語ってくださいます。単に風景がどうのこうのだけでなく、職人に多かったこの周辺の市井の人々の暮しについて、生き生きと語っていただきました。これ なによりの酒肴ですねえ。寿司は、いずれも味がついている寿司で、結局小皿に醤油は不要でしたが、仕込みをちゃんとした、いい塩梅な寿司が次々供されます。新子の4枚付けなど 過ぎゆく夏への惜別のような、そこはかとない味わいが新鮮でしたね。だって 今までやたら酸っぱい小肌しか食ったことなかったしね。


 味よし、人よし、雰囲気よしの 昔ながらの金沢らしいいい店でした。この日は、日曜日にも関わらす、午後から仕事だったので、ノンアルビールしか飲めなかったのが残念無念です。会計は、おまかせ握り2人前+ノンアルビール2本で、〆て17,000円でした。考えてみれば、金沢で40年近く生きて来て 寿司屋に入って酒飲まないで出てきたのは、今日が初めてです(笑)。


 あと老婆心ながら一言。客側が「予算いくらいくらでお願いします」と言うのはいいけど、店側が「ご予算は?」と客に問うのは粋じゃねえなあ。高いネタ使えば美味しいのは当たり前です。5000円で客を十分に満足させるのが、金沢の寿司職人の矜持ってもんじゃないかい。値段のことで客に余計な気を使わせないことも「おもてなし」だと思うのです。なので、ある程度のコースの値段は表示しておいたほうがいいんじゃないかなあ。その方が客入りも増えると思う。ここ、別に銀座の寿司やじゃねえンだから、ねっ!。今度は夜の部に伺って 美味しい寿司と酒を楽しませていただきますね。

(この記事は 旧gooブログの2015/9/5付記事の再録です)

高校卒業後、進学のためはるばる金沢に来てほぼ半世紀。古里は遠きにありますが、この金沢で人生を閉じることになるでしょう。その選択に一片の悔いなしです。
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